『ええっ?じゃあ・・』 『そう・・』
「?!誰?そこにいるのは? ほの暗い灯りが点る窓際に立ち、目を凝らせば濃紫色と分かるサテンのインバネスを纏(まと)い、中世ヨーロッパにおける由緒正しき家柄と一目で分かる佇まい・・・ ・・な貴方は誰?」
「・・・フフッ。我々にとって夜というものは“闇”ではない。貴方たちにとっての“光”の時間(とき) 色で例えるなら“白”でもない。無論、“闇”の“黒”でもない。言うなれば“蒼”である。
その蒼い伝説に従えば十字架を恐れ、流れ水を越せず、鏡にその姿は映らず、心臓に杭を貫くことにより滅びる・・・ ・・なワタシは吸血鬼。」
「ええっ?じゃあ・・
毎夜、けがれなき血を求めし人間(ひと)・・いや、人にあらず。 ただただそれのみを望みて生きるもの・・・
・・な吸血鬼なのね?」
「そう・・
白い喉元に乱杭歯を突き立て永遠(とわ)の命を刻む。
しかし、賛美歌には耳を覆い、光を嫌う・・・
・・な吸血鬼だ。」
「ええっ?じゃあ・・
その長身のどこか寂寥を湛えた蒼い影。真白き柩(ひつぎ)に身を横たえ来るべき・・そう貴方が言う“蒼”の世界がくるまで静かに眠る・・
・・な吸血鬼なのね?」
「そう・・
聖なるタリスマン(御印)に追われた夜だけを生きる運命(さだめ)を背負う。
そして、我が柩(ひつぎ)に白い薔薇を投じれば真紅に染まる・・
・・な吸血鬼だ。」
「ええっ?じゃあ・・
古代ルーマニアの古城。壁には蔦(つた)を絡めつつそびえる白亜。
空には蝙蝠たちが飛び交う それはどこか哀しげに・・
・・な吸血鬼なのね?」
「そう・・
我々の世界では月も蒼く輝き・・(以下52文字)
・・な吸血鬼だ。」
「ええっ?じゃあ・・
赤い葡萄酒(ワイン)も黒き血潮に・・(以下61文字)
・・な吸血鬼なのね?」
「そう・・
陽光に溢れし昼は、自らを闇深き夜に・・(以下78文字)
・・な吸血鬼だ。」
「ええっ?じゃあ・・
「そう・・
「ええっ?じゃあ・・
「そう・・
「・・・・そして、光の朝を迎えました・・
こうしてわたしは吸血鬼から身を守ったのです。」
曲『これ、なんの話? 危機管理の話です。』 休憩つき