何から逃避しようとしているのか
ものごころついたときから、日常と孤独が苦手だった
何でもない日常が来ることが、怖かった
1人きりで、
しん…
という音が聞こえる程静かな家の中で
日常という今の時間が過ぎてゆくことが、苦痛であった
一人でいると何が怖いのかというと、不安な気持ちが黒い霧のように心の中を覆ってしまって、息が苦しくなって、出られなくなるのである。
何かわからないもの、死や、自分の意思と関係なく流れてゆく時間や、不確定な未来や、来るかも来ないかもしれないわからない痛みや苦しみ、が怖い
「わからない恐怖」「見えない敵」
から、私はずっと逃げている。
それで、どうでもいいことで人生を埋め尽くして、時間の流れを感じないようにして、人生の上っ面みたいなところでふわふわとあてもなく彷徨うみたいな時間を、ずっと過ごしているのである。
暇つぶしに塗りつぶされた人生
本当は、おそれるべきものは、おそれそのものであって、
実態のない何かに対する恐怖が実態を蝕んでいる。
そうして指の間から限られた時間が零れ落ちてゆくのである。
そして、精神的余裕を常に失っている私は、○○しなければならない、
に支配されて生きるのである。
本当はどうしたいのであろうか。いや、そもそもどうしたい、というポジティブな思考までもが○○から逃げたいというネガティブな感情に支配されてしまって、もはや自分の意思がどこへ向かったらいいのかさえ、見失ってしまっている。
そうして、いらないところを捨てて、捨てて、捨てて、捨てていったら、芯に何も残らない玉ねぎのような人生を送っているのである。
いや、「何も」ではなくて、空洞が残るのかもしれない。
何かを入れることができる、
穴
が。