見出し画像

経営企画の意外な戦略!新部署設立を使ったM&A実践(前)訓練の6ヶ月の記録【後編】

前編として、新部署設立に際して”PMI実践訓練として計画をどう考えて作ったか”までを描きました。後編は実践内容と、その結果はどのような形になり、M&A実践訓練としてどのような学びを得たか、書いていきたいと思います。


チーム統合を実践するための土台作り

前編で述べましたが、具体的メンバーとして、事業推進部は、1.もともとコンテンツ部内部所属のオペレーション改善のチーム、2.プロダクト部所属の商品データベース設計/データ入力のチーム、3.経営企画の中のアライアンスを担うチームが合流した部署です。
PMI主導するのは3(岸本)ですが、キモとなるのが1と2の統合です。フロアも別、作業としても、1は商品を購買、管理したり、モニターさんを募集、案内したり、アルバイトさんと共にコンテンツ作りをサポート(モノを運んだり、商品検証に必要な準備をしたり)、「物理的な作業」が多い一方で、2は開発用のPRDを書いたり、もちろんエンジニアは実装作業を行っています。いわゆる「デジタルな作業」を担当しています。同じ会社ながらも「お互いの仕事については何もわかってない」という状態でした。
そんな中、岸本は「作業分担ではなくチームを統合する」という意図をもって下記のことを実行しました。

  • ユーザーからみると誰が何をやっているかは一切関係なく、よりよいデータベースができている(選択に役立つ商品のデータが正確に取得でき、最新の情報が更新され続ける)ことが重要であり、そのためにワンチームとしてこれまでの業務分担をゼロから見直し取り組むことを宣言する。

  • チーム1の管理する倉庫室にチーム2の席を用意し、「デジタルな作業」は要件整理などせずチーム2に即座に相談するよう推奨する。

    • 上記の「恩」を下記の「チーム2から1への相談事項」につなげる。

  • チーム2の担当作業のなかでも、人手が必要なこと/物のデータ化については、チーム1で柔軟に対応できるよう依頼する。

    • その準備として、チーム1のアルバイトさんの業務分担を横断的に変更し、シフトを一定余裕ある時間入れたバッファ時間に、チーム2の業務も含め対応できる形に調整。

  • 週次の定例で、「統合的に動いたことでうまくいったこと」をピックアップし、称賛するとともに、「ユーザーからみたプロダクトにどう影響するか」を説明する。

  • 月次でアルバイトさん含めた事業推進部全体で、「ランチ交流会」と、事業推進部全体でどのようなことができたか共有する「全体会」を開催。お互いを知る&成果を知るきっかけを作る。

あとはとにかく、現場の課題解決のことあるごとに、「その作業の意義・背景の確認」と、「確認出来たらその言語化と共有」を繰り返し行いました。前者はM&Aの際のPMIでもそうですが、「素人が来た」段階(PMI期間)であらゆる箇所について改善が望めるアプローチです。後者は「異なるチームの統合における強度を決める重要要素」で、さらに広く共有しておけばPMIチームで見落としがあっても、幅広い人物から複眼的なチェックを受けれるという意味で有用です。

統合の結果事業推進部として実現したこと

前編でObjectiveが「ユーザーがまた見たいと思う、独自の価値を持つ商品データベースをつくる」と書きましたが、これはとても広範な意味を持ちます。例えばマイベストは商品を紹介しているサイトとして「オールジャンルであること」が独自性の一つですが、すべての商品横断で購入、検証支援を行っているオペレーションチームが気づいた違和感、見える課題を商品検証やコンテンツ制作を担うチームに申し送りできるようになれば、「独自の価値」はあがりますし、商品データベース設計/データ入力のルールは制作現場や検証現場の解像度があがり、連携距離が短くなるほどユーザーニーズをとらえ、より効率的/効果的なものに進化させることができ、「また見たい」と思うような変化をもたらすことができます。
この半年で、かなり奥深くの根本的な改善をもたらすことができたと思っているので、主要なものをいくつかあげてみます。

  • コンテンツ制作の作業記録をとれるよう整備。レベル感としては、メインのPjMは作業工程を細分化&作業工数を時間単位で記録をとり、ジュニア→シニアの成長差分や、コンテンツ種類別(”家電””生活雑貨””コスメ”といった区分)の難易度による変動もとらえることができるようになった。なお、今回実数時間としては半年で3,915時間分改善でき、作業別/ライン別等いろんな課題を数字から語れる基盤を作ることができました。

  • モノの管理を統一で管理できるよう整備。これまでは各コンテンツジャンル別に、検証~コンテンツ制作を担うチームが管理するサポートとして動いていたものを、事業推進部内部で完全管理し、検証/制作側は何をいつ使うか要望すれば準備できている、という役割分担に変更しました。ちなみにマイベストでは、常時約3万点の商品/備品が保管されている中、毎日数十~数百の商品が貸出返却を受けており、また、月に数千の新規商品/備品を購入、保管商品/備品が売却されています。

  • 商品データの連携を整備。これまではとにかくデータチームがイレギュラーも含め一回受け止めつつ全体整合性をみながら対応していたため、CVRや各種データを見てユーザーの信頼できる状態にする視点より、作業的な対応に追われている状態でした。それを一度オペレーションチームと連携して分担することで一時的に余裕をもって整備でき、またコンテンツチーム全体へのデータ構造理解を促し対応分担するなど新たな役務/フローで効率化した運用が可能となりました。

  • 制作コスト全体の可視化、管理ができるよう整備され、1本当たりの制作にかかるコストとリターンを把握しながら調整できるようになりました。マイベストは短期利益<ユーザー体験として、継続的なユーザー体験改善を行えるよう適正なコスト管理が求められます。コストは単純に削ればいいのではなく、逆にかけまくればいいものでもない中、この管理レベルの向上はとても大きな意義を持ちます。

今後事業推進部は自分の手を離れますが、今後生産性をあげつつ、ユーザー視点で意味のあるコストは増やしていくような判断が自分たちでできる、そういうチームになったと思っています。また、統合作業の過程で様々な数字やオペレーションが可視化されたので、今後細かく改善を積み上げる領域と、大きく変革を起こして革新的な打ち手が必要となる領域もそれぞれ明確化されており、「あとはやるだけ」という状態で、今季を迎えることができたことから、岸本も今後全社目線で新たな取り組みに集中することができる形となりました。

M&A実践訓練観点ではどうだったか?

もちろん同じ社内、同じプロダクトに向き合う仲間としての共同作業でしかなく、M&AにおけるPMIとは格段に異なる難易度でしょう。一方で、M&A実践訓練、つまりPMIを意識したことで、シンプルにより良い横断PJ成果(業務統合成果)が得られた実感がありますし、下記のような副次メリットがあったと思っています。

  • 社内PJとして進行すると当たり前になりがちな「業務命令」ではなく、業務を「経営理念や経営戦略から落とした業務」として「一人一人に考えさせる/考えてもらう」きっかけになった。

  • 細かな工数や採算が把握できることで、逆転してマネジメントフレームワーク(もたせる権限や経営管理の内容)もアップデートできた。

  • 意識統合レベルとして、分断されがちな職種やロールの壁(エンジニア、PdM、コンテンツ系専門職、アルバイト 等)も超えて対話浸透が行われた。

  • 上記のような、「PMIのレイヤ別」に「詳細な解像度で振り返れる」という一定の自身をもち、今後のPMIに取り組みへの心構えができること

また、これは完全に偶然で狙ったわけじゃないのですが、今後のM&AにおけるPMI担当として1名経営企画に引き連れていくことができました。最近noteも執筆しているので、ぜひご覧いただければ、よりリアルなドタバタ具合が伝わると思います^^

おわりに

ということで、マイベストでは今後、「最高の選択体験実現」に向けて、自社単体の取り組みだけではなく、資本市場全体から選択肢を探し、一緒に取り組む仲間/武器を得る方法として、M&Aを活用したいと思っております。
いきなり売り買いの話ではなく、完全な事業シナジーベースでの対話から始めたいですし、もちろんPMIプランを見据えた進行をワンチームで対応しますし、なんなら業務提携で距離を縮めつつ時間をかけた検討ももちろんウェルカムですので、TwitterDMで気軽にご連絡くださいませ。
また、いつも通りではありますが、そんなマイベストは、引き続き全職種絶賛採用強化中です!下記から各種募集は確認できますし、これに限らずカジュアル面談等お気軽にご連絡ください!
https://open.talentio.com/r/1/c/my-best/homes/4200?group_ids=8784

それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?