そだてくエッセイ14//あ~、そうだった。あなたとわたしは違うんだ。
「かあさんはそう思っていても私は違うんよ。」
「私はこう思う。」
「ぼくはぼくだから。」
いつものことだけど、子どもたちのことばでハッとする。あ~、そうだった。あなたとわたしは違うんだね。
私は自分が経験したことから、いいと思ったこと、してはいけないと思ったこと、こうしといたほうがあとあと困らないよね。ってことたちを引き出しの中から選んであなたたちに伝えたい。早く生まれてたくさんのこと経験したんだよ。
でも子どもたちにとっては、それは「かあさんの経験」でしかないんだね。母はまだまだあなたたちを自分の一部としてとらえてしまっているのかな。もう離れているつもりなんだけど、こころのどこかであなたはわたしの一部分の気がして、未熟で、自分がどうにかしなきゃ。って思っているんだろうね。
母親風ふかして偉そうに、お説教というか諭すというかあ~だこ~だ言ってるとき、最近では切り替えしてくる。そんなことになるなんて、あなたが小さいときは思ってもいなかった。「ん~、腹が立つ~。」と思う反面、「お~、ここまで成長したんだな」と感心するよ。こんなに大人のことばや行動をよく見ていて、ここぞとばかりにそれらの情報を使い反論してくるようになると、うかつなことは言えないし、考えて行動しなきゃって思えるね。
「あなたとわたし」の関係で物事をみれるのはちゃんと成長していることになるんだろうね。そうなると今までのように母親の考えがすべてと思わないだろうし、100%正しいとも考えないだろうね。今まではなんでも言うこと聞いてくれてたのに、もう自分の意思でいろいろ考えていくのかな。「あなたの経験」はこれから増えていくんだね。
母も「あなたとわたし」で接することにしよう。同じものでも見る角度によって違う形に見えるように、もうあなたとわたしは違う視点から物事を見て、感じて、考えている。だから同じ出来事に対してもちろん同じとらえ方はしないし、次にとる行動も違う。
もしかしたら同じ角度から見ていても違う部分をみているのかもしれない。母が全体を見渡している時、あなたはその一点だけをみていることもあるのかな。
今まであなたのことは全部わかっているようなつもりだったけど、あなたとわたしは違うんだから、「私はこう思うけどあなたは?」とちょっと問いかけてみよう。
でももし自分中心でお説教した時は、ちゃんと教えてね。