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マーケター必見!ゲーム実況タイアップを成功させるために知っておきたい5つの戦略タイプ〜ゲーム実況タイアップ動画ランキングも大公開〜

これまで「ゲーム実況を制することがゲームビジネスを制す時代」であると何度も書いてきました。まさにそれを示すようにVTuberの2大事務所である「にじさんじ」のANYCOLOR社と「ホロライブ」のカバー社の上場が大きな注目を集めています。UUUM社が上場した2017年から5年が経過した現在、「ゲーム実況」がさらに評価されるフェーズになっていると思います。

それでもまだまだ「ゲーム実況がイマイチ掴めていない」というマーケターの声を聞くのも事実。そこで今回のnoteでは2023年現在における「ゲーム実況のタイアップ動画における最新の動向と成功に導く5つの戦略タイプ」について書いてみたいと思います。

▼この記事で伝えたいこと
① データに基づくゲーム実況動画における最新マーケット情報
②ゲーム実況マーケティングを成功に導く5つの戦略タイプ

今回のnoteもYouTubeのデータベースサービスであるエビリー社の「kamui tracker」にデータ協力をいただき記事を書いています。

YouTubeにおけるゲーム実況動画の投稿数の推移

日本国内におけるゲーム実況動画の投稿数は順調に拡大を続けており、2022年は年間投稿数約275万本規模(チャンネル登録1000人以上のYouTuberの投稿)にまでなっています。内訳を見てみるとライブ配信(プレミア公開含む)がゲーム実況の成長を牽引していて、アーカイブ動画の本数は横ばいです。

ライブ配信は投稿者にも視聴者にも魅力があること、結果としてライブ配信映えを意識したタイトルが増えると予想ができるので、ゲーム実況はライブ配信を中心に今後も成長していくと思います。

2021年からはゲームの #shorts動画の投稿も増えてきました。現在のゲーム実況はアーカイブ動画、ライブ配信、#shorts動画の3種類があり、それぞれの特性を理解した活用が重要になりそうです。

ライブ配信の重要性が高まる中で日本においてもTwitchの人気も非常に大きくなってきました。YouTubeだけではなくTwitchの動向も注目です。

ゲーム実況タイアップ動画の投稿数の推移

次にゲーム実況をマーケティングに活用するタイアップ動画の投稿数を見ていくと、2021年が大きく成長したこともあって、2022年は投稿本数自体は1万本弱で昨年比で横ばいでした。また、2022年はライブ配信のタイアップ動画がアーカイブ動画を投稿本数ではじめて上回りました

視聴者が普段からライブ配信を見るようになっているので、当然タイアップ動画もライブ配信が増えています。つまりタイアップの効果を高めるためには、魅力的なライブ配信の企画を作ることが必要になってきたと言えます。

ゲーム実況タイアップ動画の平均再生数の推移

タイアップ動画の平均再生数の推移も調べてみると、2017年〜2018年の水準から平均再生数は半減しています。これはタイアップ動画の総本数が増えたこと及びライブ配信のタイアップが増えたことが主要因と考えられます。

アーカイブ動画の再生数は減少していますが、ライブ配信はむしろ平均再生数を伸ばしています。必ずしも再生数と効果が比例するわけではないはずなので、この辺りの状況を理解した上でタイアップ戦略を練っていく必要があります。また、#shortsのタイアップ動画も出てきたことにも注目です。

再生数が多いゲーム実況タイアップ動画ランキング2022

続いて2022年に公開されたタイアップ動画の中で特に再生数が多かった動画を見ていきます。再生数が特に多い動画はタイアップ効果としても大成功しているものが多いと思うので、これらの動画を研究することはとても大事なことかと思います。

①公開後30日の再生数が多かったゲーム実況タイアップ動画

動画公開後30日間の再生数のランキングは、ライブ配信の投稿本数の増加と比例するように、意外にもライブ配信の動画が上位の半数を占めています。

再生数のTOP3のタイアップ動画がライブ配信であることは個人的にも驚きでした。アーカイブ動画は公開後も長く再生され続ける「ストックコンテンツ」、ライブ配信は短期間に多く再生される「ライブコンテンツ」という特徴がありますが、ライブ配信であっても大規模にプロモーションを展開できることを証明しています。

ライブ配信の大型企画化=ライブコンテンツ化が進む

ライブ配信のタイアップでは複数人のYouTube/VTuberが集まる配信番組企画が人気です。そもそもコラボ企画はゲーム実況の人気ジャンルですが、タイアップ動画だからこそ実現できる大型企画が増えています。大人数が一堂に会する生配信だからこその特別感、そして普段見れない組み合わせで遊ぶからこそ起きる予想ができないドラマ展開や新たな関係性が人気の理由です。

こうした大型配信企画はeスポーツの魅力にも通ずるため、eスポーツに興味を持つ入口としても機能しているように思います。

②アーカイブ動画は資産=ストックコンテンツを目指すべき

アーカイブのタイアップ動画では「YouTuberの魅力/持ち味」を活かせている動画が成功しているように思います。そうした動画は公開後にも長く視聴されるので、タイアップ動画が資産=ストックコンテンツになります。これもタイアップ動画の理想系の一つだと思います。

③#shorts(短尺) のYouTuberタイアップ動画も増えてきた

2022年に始まったとも言える #shorts によるタイアップ動画は合計で289本が公開されていました。実際にタイアップ動画を見たことがない方も多いのではと思いますので、ぜひランキングを見てみてください(1分尺の動画も便宜上 #Shortsとして集計しています)

#shortsは動画は、ヒットすると動画の再生数が大きく長く再生され続けることが特徴なので、ストックコンテンツとして機能します。普段はタイアップを受けないYouTuberも#shortsなら案件を受けているケースがあったり、タイアップ費用も通常のアーカイブ動画よりも安いこともあることもメリットです。一方で再生数が事前に計算しにくいことは難しいポイントです。

YouTuberタイアップの投稿数/再生数が多いタイトル

2022年に積極的にゲーム実況タイアップを展開していたのはどのタイトルでしょうか。タイアップ動画の公開本数と合計再生数が多いタイトルのランキングを作ってみました。

投稿本数と再生数ともにトップは5年連続で『荒野行動』でした。まさに「ゲーム実況を制することがゲームビジネスを制す時代」であることを証明したタイトルが『荒野行動』ですが、2022年もゲーム実況マーケティングのトップを走っています。「荒野行動スター育成計画」「荒野の光」のインフルエンサープログラムが引き続き強力に機能していると考えられます。

続いては『Apex Legends』シリーズが再生数では『荒野行動』に肉薄しました。2022年はモバイル版のリリースがあり、新規ユーザ向けのプロモーションを積極的に展開したこともありますが、PC/コンソール版でもコミュニティ向けのタイアップ動画展開、「えぺまつり」などの大型配信大会企画、さらには#shorts動画のタイアップ動画も実施しており、最も全方位にゲーム実況マーケティング展開をしたのは『Apex Legends』シリーズと言えそうです。

2022年の新作のアプリゲームの中でも『Tower of Fantasy(幻塔)』『デッドバイデイライト・モバイル』『勝利の女神:NIKKE』が多くのタイアップ動画を展開していました。上記のランキング外ではありますが『遊戯王マスターデュエル』『ヘブンバーンズレッド』『フラッシュパーティー』『ミシックヒーローズ』なども積極的でした。この中には2022年を代表するヒットタイトルも含まれ、ゲーム実況タイアップの重要性を示していると言えます。

コンソールゲームでも『ソニックフロンティア』や『Pokémon LEGENDS アルセウス』も積極的にタイアップを実施していました。アプリゲームと比べるとPCとコンソールゲームのタイアップ動画はまだまだ少ないのですが、任天堂が『メトロイド ドレッド』で積極的に活用していたこともあり、今後はもっと増えてきそうな気がしています。

(おまけ)タイアップ動画本数が多いタイトルランキング推移

アプリゲームがまだまだ本数としては多いのが現状です

ゲーム実況タイアップの5つの戦略タイプ一覧

最後にこれまで見てきた2022年のデータや状況を踏まえて「ゲーム実況タイアップの戦略タイプ」をまとめようと思います。僕の視点での独自のタイプ分類ですが、事例に基づき5つのタイプに分類してみました。

①リリースやキャンペーン時に多数のタイアップを展開する

これはリリース時やキャンペーン時に多数のタイアップを同時期/連続的に展開してターゲットユーザに対するYouTubeでの最大露出を狙いにいく戦略です。YouTuberタイアップの期待値が高まった最近で最もポピュラーな戦略の一つですが、その分プロモーション費用も大きいです。

プロモーション予算があっても、YouTuber側にタイトルの魅力を感じてもらえなければタイアップを引き受けてもらえませんし、もちろんユーザに対してもプロモーション効果も出ません。当たり前なのですが結局は「ターゲットユーザの理解」×「本質的に面白いゲーム作り」がこの戦略の成功のためには最重要ポイントだと言えます。

②多数のYouTuberが参加する大型配信番組企画

ライブ配信の人気が高まり、"生"配信だからこそのライバー自身にファンがが付くようになり、そしてが企画が大型化していく中で、多数のYouTuberが同時に参加する大型配信番組企画が増えています。

コラボという配信者の中での文化があるからこそ、多数の出演者が集まる貴重な番組は視聴者にとっても魅力的ですし、配信者にとっても良い機会になります。みんなが遊んでいるゲームを遊びたくなるユーザ心理にも合致している点でも大型番組は優れた企画であると思います。

大型配信番組企画の戦略を成功させるためのポイントは、①YouTuberが出演の必然性(キャスティング)②出演者も視聴者側が理解しやすいゲーム性(プロダクト)③出演者を応援したくなる企画の仕掛け(番組企画)④単発企画で終わらせないストーリー、の4点でしょうか。

これまでの成功事例のタイトルは、バトロワ、シューティング、麻雀などのテーブルゲームなど、ゲームジャンルに偏りもあるため、成功難易度が高い施策である点は要注意です。

③相性の良いYouTuberを見極めながらPDCAしていく戦略

タイアップ動画の目的には「新規ユーザ向けの認知/利用促進」「既存ユーザ向けのコミュニティ活性」の2種類があります。中には新規ユーザ向けの動画を展開し続けているタイトルもあります。

例えば『逆転オセロニア』がリリースから7年間も新規ユーザ向けのタイアップ動画の展開を継続できているのはPDCAをしっかりしているからと考えられますし、『プロ野球スピリッツA』は元&現役プロ野球選手YouTuberのタイアップ動画を中心に展開しており、相性が良いYouTuberを見つけていると考えられます。共通点は「YouTuberの研究」と「タイアップ効果分析」をしてPDCAをしていることです。

相性の良いYouTuberとの発展型の企画としては、「YouTuberコラボ」があります。そのコラボが「運営」にとっても「ユーザ」にとっても「YouTuber」にとってもWIN-WIN-WINである必要があるため、丁寧な展開が必要になりますが、ハマった時のパワーは非常に強い施策と言えます。

④アクティブユーザ向けのコミュニティ動画タイアップ戦略

「既存ユーザ向けのコミュニティ活性」を目的としたコミュニティ動画のタイアップに振り切っているタイトルもあります。コミュニティ動画とは、ゲームの最新情報、攻略情報、ゲームプレイ日記などの動画で、『テラクラシック』『リネージュM』『サマナーズウォー』などの特にMMORPG系のタイトルが積極的に展開しています。特にコアモチーフのタイトルは一般的に新規ユーザの獲得をし続けることが難しくなることから、よりアクティブユーザ向けの施策の重要性が高くなります。

既存ユーザ向けの動画のポイントは、ゲームに熱量があり、情報発信が得意なYouTuberを起用することです。コミュニティ動画は効果分析が難しいのですが、コアユーザにとって非常に重要な役割になっていることもあります。視聴者に対するアンケート等で少しでも効果を見える化をすることが重要です。

⑤インフルエンサープログラム戦略

最後はYouTube向けの投稿企画などを運営する「インフルエンサープログラム」です。これはタイアップとオーガニックの中間とも言える戦略です。代表的な施策は『荒野行動』の「荒野の光」ですが、他にも『クラッシュ・ロワイヤル』などの「Supercellクリエイターズ」、『フォートナイト』などの「Epicクリエイターサポートプログラム」、『PUBG』の「PUBG パートナーズ」など外資系の大型タイトルではたくさんの事例があります。

長期のプログラムだけでなく、最近は短期のキャンペーンプログラムも増えてきており、『テラクラシック』の「テラクラ育成チャレンジ」、『東方ダンマクカグラ』の「YouTube動画投稿キャンペーン」、『勝利の女神:NIKKE』の「VTuberアンバサダー決定戦」、『白猫GOLF』の「動画投稿&視聴キャンペーン」など事例が増えてきました。

「インフルエンサープログラム」の根本の目的は、ゲームを盛り上げてくれるYouTuberとゲームの運営が一緒に成長していくことです。成果が出るまでには時間が必要なことが多いですが、「ゲーム実況を制することがゲームビジネスを制す時代」において、運営型タイトルにとっては特に「インフルエンサープログラム」の重要性が高まっていくと感じています。

以上、今回はYouTubeのゲーム実況の市場データをもとに「ゲーム実況のタイアップ動画における最新の動向と戦略タイプ」を紹介しました。何度も繰り返しますが、「ゲーム実況を制することがゲームビジネスを制す時代」ですので、ゲーム実況のマーケティング活用は必須であると考えています。タイトルの特性を見ながら適切な戦略を選んでいけると良いと思います。

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