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【深掘り】市場の日銀利上げの織り込みをどう確認するか
-- 利上げの織り込み、進む --
先週は日銀による追加利上げへの思惑が急速に進みました。
先月12月に開催された日銀会合において、植田総裁は次の利上げに関し、「ワンノッチ欲しい」と表現し、もう一段の材料が欲しいとの考えを示しました。その一つが春闘のモメンタムであるとしていました。
一方で「全てのデータを待たなければ利上げできないわけではない」という従来通りのメッセージも出していたものの、この考えは無視し、基本的には3月に春闘の内容が分かってくる3月まで利上げを見送るとの見方が強まり、利上げ期待は後退していました。
ただ、先週には氷見野副総裁、植田総裁がコメントを発表する場があり、「日銀の支店長会議では前向きな話も多かった」とするメッセージを発した上で、複数回にわたって「次回の会合で利上げ判断を議論する」と発言したことによって、市場は1月利上げの可能性を織り込む📌形になっています。
-- 利上げの織り込みを何で確認? --
さて、そんな市場の利上げ見通しの織り込みについて、一体何で判断するのが一般的なのか。
利上げの見通しの変化は、日本のさまざまな市場に影響を及ぼします。
例えば、利上げ見通しが強まれば、
・債券利回りの上昇
・円高の進行
・銀行、保険株などへの物色
などが(教科書的には)動きとして見られがちになります。
実際、よく見かけるのは国内長期金利(10年物国債利回り)の動きと関連づける報道はよく見かけます。
しかし、そうした記事を読んでいくと、国内長期金利の高さは日本の利上げ織り込みを確認するのに有用であると錯覚しやすく📌なります。
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しかし、どんどんと日銀の利上げ見通しが強まる中で、長期金利は直近の中で一番高い水準かというと、やや異なっています。
現時点で、直近で最も高いのは先週15日の水準となっています。
これはもちろん、米国で12月CPI(消費者物価指数)の発表があり、米長期金利(10年物国債利回り)が下落したことによる影響を受けたものとみられます。
為替や金融業の利ざやなどに関わるため、どうしても債券に注目しがちになりますが、その債券自体も海外債券の価格や需給に大きく依存します。
では、何を基準にして利上げの織り込み具合を見るのが良いのか……📌
-- なぜ長期金利に注目してしまうのか --
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