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【電話魔】となる母

夕方、家の電話が鳴る。
実家の母からだ。
次女が出ても応答はない、生活音が聞こえるが母の声は聞こえない。
「もしもし」「ばあちゃん」と問いかけても
返答なし。
しばらくスピーカーオンにしていたが変化ないので切る。

ほどなくしてこちらからかけるが、話中。

しばらくしてまた家の電話が鳴る。
「私、電話かけた?」と母。
私「そうだよ」
母「今家?」→(家電へかけている)
「家だよー」

母「あの正月ね、こっちおせちも頼んでないから無理して来なくていいよ」
「え??」「2日は行くよ、前から言ってるよ」

母「え?そうなの?来てくれるの?」
「おせちも頼んでるって言ってたよ」

母「だれが頼んだの?」
「お母さんだよ」

母「覚えてないわ、大変だ、すっぽり抜けてるわ」
「2日行ってもいいの?」

母「いいよ、来てくれるのありがとう」と会話をして切る。


切ったあと、すぐさま今度は私の携帯が鳴る。

母は「(姉)がこないだチョコレート持ってきてくれたから、早めに取りに来てくれる?」
「わかった、2日に行ったときもらうよ」

母「今日来てくれるの?」
「今日は無理だよ、2日に行くよ」

母「わかった」

またかかってくるかと思ったが、もうかかってこなかった。
ただ姉にも電話はかけてるのではと思っていた。

そうしたら夜、姉からLINEがきた。
母から何度も電話がかかってくるそうだ。

最初は
「正月2日はお父さんと二人で過ごすから来ないでね」と言ってきて

2回目は
「おせちを頼んでいるから2日は来てくれるよね」と言うらしい。

毎日何回も電話がかかってくるようだ。


”母の頭は、記憶してくれないんだね。
頭から抜け落ちるから不具合がいっぱいだね。
きっちりした性格だから不安が募ってしまう、だから電話するんだね”

姉は連日電話かかってくることに、「大変だー」としつつ、
「来年はJ子ちゃん(母)の【電話魔】覚醒だね」

私は、
「忘れっぽいけどちゃんとしなきゃ意識が強いJ子ちゃん、すぐ電話する~」
と返した。
”J子ちゃん”の呼称が母のかわいらしさを強調する。

理屈が合わなくても、その都度言うことが違っても
その瞬間が母の気持ちなのだから聞くよ。


でも母は【不安、不明解消=電話】となっている。
私や姉など家族ならよいが、かかりつけ医にも【電話魔】や【通い魔】になっているので、そこが悩みの種。
今は年末年始休みのため少し安心ではあるが。


覚えられないということは酷だ。
やったこともわからない、
何度も確認しないといけなくなる、
母はそんな世界を毎日生きている。


なるべく想像しようとするが、雲をつかむようで、
どんな不安なのかまでは知りようがない。

電話が鳴るとどきっとする。

不安で困っている母に対して
どうやって不安解消の助けをしてあげられるのか、
まだまだわからないことだらけだ。




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