『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』で学ぶ人生の本質
「決めなければ、何も始まらない。」
これは、マグロ船の船長が放った一言です。齊藤正明氏が書いた『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』は、この言葉を軸に、仕事や人生で大切な「決断」「行動」「努力」について深く掘り下げた一冊です。
大学を卒業し、企業の研究所で働いていた齊藤正明氏が、ひょんなことからマグロ船に乗り込むことになり、海の男たちから教わった生きるためのリアルな知恵。その一部始終をひも解いていきます。
マグロ船で学ぶ、人生の知恵と挑戦の意味
齊藤正明氏は、研究者として「マグロの鮮度保持剤」を開発するプロジェクトに携わっていました。
その過程で、実際にマグロ船に乗るよう求められます。この乗船経験が、彼の人生を大きく変えた。
船長や漁師たちが日々繰り返す「選択と決断」「努力と忍耐」、そして「才能と生き方」への向き合い方は、企業や組織で働く人々にとっても非常に示唆に富んでいます。
以下に、その具体的なエピソードと学びを紹介。
決断は行動のスタートライン
船長の「決めなければ、何も始まらない」という言葉は、人生そのものに通じるメッセージです。
齊藤正明氏がマグロ船に乗る決断をしたとき、彼は不安や恐怖に押しつぶされそうでした。しかし、船長はこう続けました。
「海では、うろうろしていてもマグロは釣れない。ここだと思ったら、まず竿を下ろすんだ。」
このエピソードから学べるのは、完璧な選択肢を探すよりも、まずは決断して動き出すことの重要性です。仕事でも同じで、「迷ってばかりいては結果が出ない」という教訓を得られます。
努力は報われないこともあるが、報われる可能性は努力しないとゼロになる
漁師の一人が言った言葉が印象的です。
「努力が報われるとは限らない。だけど、努力をしなければ何も得られない。」
社会では、学校と違って正解の範囲が教えられません。
例えば、齊藤さんが鮮度保持剤の研究に打ち込んだ結果、成功を手にしたのは「努力が報われる」と思い込んでいたからではなく、「何があっても続ける覚悟」があったからです。
この視点は、現代のビジネスパーソンにも当てはまる普遍的な真理。
才能は「後付け」で見えてくるもの
齊藤正明氏が船長に自分の才能について尋ねたとき、船長はこう答えました。
「成功した人間は後から『自分に才能があった』と思い込むものだ。才能なんて考えずに、目の前のことに全力で向き合え。」
才能に悩む現代人への答えとして、シンプルで力強い教えです。「マグロがクラゲにはなれない」のように、個々の特性に応じた生き方をすることが大切だと感じさせられます。
幸せは「気づく」ことから始まる
船酔いに苦しむ齊藤さんに、ベテラン漁師が言った言葉が忘れられません。
「飯が食えてるだけで幸せだと思え。世界には飯が食えない奴が山ほどいる。」
これは、日本人が当たり前と思っている幸せを再認識する重要なヒントです。「ないもの」を探すのではなく、「あるもの」に目を向ける。その姿勢が、人生をより豊かにしてくれます。
海の人生哲学から学ぶ多様性
マグロ船では、さまざまな漁師がそれぞれの役割を果たしながら働いています。
クラゲのように漂うだけの生き物がいれば、マグロのように泳ぎ続けなければならない生き物もいます。この多様性を見て、齊藤さんは次のように気づきます。
「人にはそれぞれ合った役割がある。それを見つけ、全うすることが大事だ。」
結論
齊藤正明氏の『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』は、仕事や人生の本質を問い直す貴重な教科書です。
マグロ船で学んだ知恵は、どれもシンプルですが深い意味を持っています。まずは一歩を踏み出し、努力を惜しまず、才能を信じ、多様性を受け入れる。それが人生を豊かにする鍵です。
人生の航海に迷ったとき、マグロ船の教えを思い出してみてください。それはきっと、あなたを新しい道へ導いてくれるでしょう。