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明治17年の 剣術 柔術調査による利点欠点

現在の剣道や柔道などのいわゆる武道は人格が陶冶されるといわれています。
ところが、剣術や柔術など武術が衰退した明治初期には、体操として学校教育に採用要望があり、体育として採用した場合の利害得失を調査された結果、採用が見送られた経緯があります。
ここに引用しておきます。
なおこの時代には、まだ人格用語、人格の完成、人格陶冶概念がない時代であること留意願います。


撃剣柔術調査答申

剣術柔術の害あるところ(抜粋)
④激しやすく粗暴な人間になりやすい
⑤勝ちにばかりこだわる闘争心のかたまりになりやすい
⑥競争で正しくない勝負の心を養いがち

撃剣柔術調査答申
明治17年10月13日
此の日是ヨリ先キ豫テ本省ノ達二基キ本邦剣柔二術ノ教育上二於ケル利害適否等取調ヘシカ,其大体ニ渉リテハ既ニ調査ヲ遂ケ,粗ホ視査ヲ了セルヲ以テ乃チ取調書ヲ案シ,意見ヲ具シテ之ヲ復申セリ。

二術の利とする方
(一)身体の発育を助く
(二)長く体動に堪ふる力量を得しむ
(三)精神を壮快にし志気を作興す
(四)柔惰の風恣を去りて剛壮の姿格を納めしむ
(五)不慮の危難に際して護身の基を得しむ

害若しくは不便とする方
(一)身体の発育往々平等均一を失はん
(二)実修の際多少危険あり
(三)身体の運動強度を得しむこと難く強壮者脆弱
  者共に過劇に失し易し
 (四)精神激し易く輙もすれば粗暴の気風を養うべく
 (五)争闘の念志を盛にし徒らに勝を制せんとの風を成しやすし
(六)競進に似て却て非なる勝負の心を養ひがちなり
(七〉演習上毎人に監督を要し一級全体一斉に授けがたし
(八)教場の坪数を要すること甚大なり
(九)柔術の演習は単に稽古着を要するのみなれど
  も剣術は更に稽古道具を要し且常に其衣類及
  道具を清潔に探つこと生徒の業には容易ならず

その結果
(一〉学校体育の正科として採用することは不適当なり
(二〉慣習上行はれ易き所あるを以て彼の正科の体操
  を怠り専ら心育にのみ偏するが如き所に之を施
  さば其利を収むることを得べし

近代における体操科教材史(1) : 明治10年代の柔術採用論
中村, 民雄
https://hdl.handle.net/10270/1614

スポーツでは

スポーツを行う人は自己解放型の傾向 が強く、自分の直感や感情で行動しがちになる。そのため周 りへの配慮や思いやりのある行動に欠けることが多々ある。 特に、個人競技者はこの傾向が強い。

スポーツが人格形成に与える影響 1200482 中島 悠輔 高知工科大学 経済・マネジメント学群

https://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/pdf/2019/03/15/a1200482.pdf

ある講演では

スポーツが人間形成に役立つことを立証することは困難である。それ以上に,武道における立証には大きなハードルが横たわる。

1997年12月17日 創価大学の最終講義に当って:工藤英三
hdl.handle.net/10911/3131

人格の完成、人格の陶冶

powerを持つと人はどうなるのか


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