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学校の掃除について

 日本の学校では、生徒に労働好きな習慣をつけるため、生徒に校舎やトイレの掃除をさせています。それについてのベイシスなことがらをまとめてみました。

海外も注目 日本の学校の掃除

 日本の学校の掃除については、海外からも注目をあびています。賛同して生徒に掃除をさせた国もあります。

学校の掃除に疑問が

 掃除については、例によって技術・スキルの訓練もなされず、目的も目標も示されず、教育効果もわからないので、生徒から疑問が発せられます。

中学生の疑問

“掃除って何のためにするのかしら?”

“学校で「掃除の時間」がある意味って?”

“そもそも、掃除っていつから始まったのかしら?”

https://www.we-serve.co.jp/blog/cat25/post-11.html

大正時代にあった学校掃除論争

 実に大正時代に学生から文部省に対し議論がありました。ただしネット上で読めるテキストがありません。残念です。

56号 学校の掃除は誰がするのか -その2
55号 学校の掃除は誰がするのか -大正3年の論争http://jaem.la.coocan.jp/nhgk/ihgk0055003.pdf

「溝入茂のコラム」バックナンバー
https://jaem.or.jp/?page_id=84

小学校掃除の目的

学校掃除の目的は、次のとおり労働好きの習慣を形成するためだそうです。

ヘルベルト教育学の訓練を日本風に受容した「訓練」が衛生管理活動の掃除にまで及んだ。衛生部門からの反対も『小學訓実践管理法』「勞働ヲ好ミ之ヲ意トセザル習慣」形成のため訓練という期待がされ掃除が義務付けられた

学校保健指導の体系化に関する考察 (2) : 修身科・生徒心得の養生観と「衛生訓練」の成立・展開を中心に
https://ci.nii.ac.jp/naid/110000197736/

アマチュア掃除と専門の掃除人の仕事

 海外のスペシャリストである掃除人の仕事と同一労働同一賃金制度の興味深い指摘です。
 そういえば日本では、スペシャリスト掃除人業務従事者は少ないですね。飲食店でも調理者が掃除していますね。

イタリアに住み始めた頃、私はどこかに出かければゴミを持ち帰り、セルフサービスの店でも日本でしていたのと同じ様にトレイや食器を所定の位置においていましいた。

しかし、ある日、ボリビア人同僚とイタリア人同僚に注意をされたのです。

「彼らの仕事を奪ってはいけない。ここではそのままにしておくのだよ。あなたがやってしまったら彼らの仕事がなくなる。他人の仕事を奪ってはいけない。ゴミ拾いや食器を下げることは担当者がやること。客がやることではない。仕事は作らなくちゃいけないんだよ

その頃私はイタリアとイギリスを往復していたのですが、イギリスでも仕事関係の知人や家人に全く同じことをいわれました。

マナーを守っていたつもりの私は、実は他人の仕事を奪う「マナー違反者」だったわけです。所変われば考え方も違うということを実感した事件でした。

https://web.archive.org/web/20140617182018/https://wirelesswire.jp/london_wave/201406170308.html

上記の記事への反響ニュース

アメリカの場合は、「ワークシェアリング」はまだ少ないのですが、同一労働・同一賃金という原則は極めて厳格に守られています。これに違反すると巨大な訴訟リスクを抱えることになるからです。そのために、「賃金の違う人は、相手の業務を奪ってはならない」ということも徹底しています。

 例えば、学校で床の清掃をするのはジャニターという職種ですが、仮にジャニターよりも時給換算の給与の高い校長先生が、「ちょっと床が汚れているからチャッチャッと掃除してしまった」などということが露見するとマズいことになります。それはジャニターの雇用機会を奪うと同時に「同一労働・同一賃金」に反することになるからです。もちろんアメリカにも臨機応変な現実主義というカルチャーはあるので、実際の運用は柔軟ですが、原則はそうであり、仮にジャニターの側からの「異議申し立て」があればシリアスな問題になります。

https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2014/12/post-699.php

海外の学校掃除人例

学校掃除人についての事例です。

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