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身体イメージとスキル習得
はじめに
人生はスキル習得そのものともいえるにもかかわらず、研究があまり目立たないスキル習得法。なので、まとめてみました。
運動スキルは無意識のスキルなので表層意識でわかってもできません。
あしからず。
人間のスキル習得特性
1 五感以外の感覚
スキル習得にあたって五感以上に重要な感覚があります。それが深部感覚である固有受容覚 と筋感覚 です。これにより身体の動き・位置、力加減を感覚し思いどおりに身体を動かしています。
琉球大学玉城絵美先生のXRKaigi講演を拝聴。
— Dr.(Shirai)Hakase #AI神絵師本 #GREEVRStudioLab (@o_ob) November 18, 2021
深部感覚を固有感覚の重要な要素として研究開発されていらっしゃるのね。
XR, アバター, 人間拡張, BodySharing -サイバーとフィジカルの体験融合と共有方法とビジネス化の注意点- pic.twitter.com/GUuKuuX3z6
また、脳は手に持った道具を身体と認識しています。
2 小脳の学習
「わざ」は小脳で以下のとおり学習されます。
小脳の学習メカニズムを、次のようなたとえ話で解説してみます。教室に、先生とたくさんの生徒がいるところを想像してください。この場合、先生は、脳の大部分を占める大脳で、生徒が小脳です。先生は始め、たくさんの生徒(図2の赤い枠で囲った部分)にまんべんなく教えていますが、次第に、まともな答えを出す生徒(図2の青い部分)の周辺に、的を絞って教えるようになります。最終的に、他の生徒は居眠りをし、先生までが休んでも、一部の生徒(青い部分)だけで答えを出せるようになります。緑の曲線で示した活動は、先生からの教え(赤い曲線)を差し引いて、青い部分の生徒たち自身が出した答えを反映していると考えられます。面白いことに、先生は正解を教えるのではなく、生徒の間違い(誤差)を指摘するだけです。「わざ」の修得は、このような「淘汰」の結果
(科学技術振興事業団川人学習動態脳プロジェクト・
郵政省通信総合研究所関西先端研究センター知覚機構研究室)
このように失敗した時のことを自覚して練習を重ねるべきのようです。
🔖運動学習について
— やまもと (@motoyam54617946) August 15, 2020
運動の予測をしながら動くこと
(フィードフォワード制御)
👇
生じたエラーを小脳が感知
👇
大脳に伝わり運動学習がされていく
📝臨床メモ
誤差から学習がうまれます💡
この過程では、
自分でエラーを感知すること、
他者にエラーを教えてもらうこと、
が重要とされています😄! pic.twitter.com/NL4r1xyb2D
早い速度で運動すると感度が鈍るので動作ゆっくりするほうがよいようです。
3 小脳の内部モデル
小脳でスキルができるよになるとそこに「内部モデル」が作成されます。
「心の中の身体」一つだけできるのではなく、手足や目線などで複数できます。
4 トランス
人間は通常歩行などやり慣れた動作を無意識にしています。これがトランスです。
イデオモーター:観念運動 模倣、予測
トランスが顕著になっているのが催眠状態です。これをイデオモーターといいます。例えば、振り子、Oリング、ダウンジング、こっくりさんなどがそうです。トランスは、内部モデルに類似し、言葉で呼びかけると動いてくれます。ただしこの答えは正解ではありません。模倣・予測したものなどを現しているのです。
イデオモーターは無意識になされる予測と模倣により構成されています。
イメージトレーニングは模倣が入り口となります。
5 意識・言語はスキルを妨げる
意識、言語、内言などは運動・スキルを妨げます。
「実践においては言語化の弊害さえ生ずるとトゥアンは主張している すなわち,「意識した知識というものは,ある技能の習得をさまたげることすらある.」p109 トゥアン(Tuan),山本浩訳(1988) 空間の経験.筑摩書房
— 石部統久 (@mototchen) November 14, 2020
J-STAGE Articles - 運動実践における言語の役割とその限界 https://t.co/CpezWgXWld
6 できるようになった後に感覚できるようになる
バイオフィードバックでは動かせるようになった後に感覚できるようになることが知られています。
biefeedbackの実験事実からわかってきたことは,こうした意識しにくい「内的」な過程が実はある程度感じとしてつかめ〔知覚でき〕意識できるようになるということであり,しかも,それは,そうした過程をある程度制御できるようになった,その後で意識できるようになる、そして,それがまた次の動きに影響するのだが,「意識できるから制御できる」「知覚した情報によって動きが生じる」という常識的考えが破綻したことは事実
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004042805
効率的スキル習得方法
モデリング
人間の模倣を利用して昔から3年間の見取り稽古などスキル習得法があります。現代ですと動画を利用する「モデリング」が新たに実践されています。
初心者をずっと見ているとエキスパートも下手になる事が知られていて、モデルは世界で最高であるのが理想的です。
情報通信研究機構 広報部
— 共同通信PRワイヤー (@kyodonewsprwire) November 14, 2014
下手な人を見たら自分も下手になったエキスパート ~他者動作の予測と自己動作の生成に共通脳内プロセス~http://t.co/s3FpVDKGzE#プレスリリース pic.twitter.com/saM6lEcPcb
反復練習ではない練習
あなたの練習というもののイメージはどういうものでしょうか。多くの方は一つの練習方法を変化なしで、ずっと続ける反復練習の方がスキル習得ができると思いがちです。
ところが実験をしてみると以下のようにいろいろことがわかってきました。
○ ランダム練習
これは関連はあるが異なる学習をランダムに行う方が一つの方法を集中して行うより効果的であるというものです。
○ 少しずつ変えること
○ 休憩時間に習得していること
実は練習中ではなく休憩中習得しているそうです。そしてひんぱんに休憩したほうがいいそうです。
練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明https://t.co/OjLinSLmKA
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) June 16, 2021
スキルの上達には休憩も必要です。米NINDSの研究により、休憩中に脳は練習内容を20倍の速度で何度も再生していると判明。素早い上達を目指すなら適度な休憩が大事なんですね。 pic.twitter.com/E7MTax44bl
プレスリリース:運動学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要: http://bit.ly/kYfKX8 #riken_bsi
— RIKEN-tan (@riken_news) June 15, 2011
https://www.riken.jp/press/2011/20110615/index.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/50/9/50_631/_pdf
○ 少しずつ忘れること
スキル習得は習得して少しづつ忘れたほうがよいようです。