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ユニクロのバックヤードの貼り紙が、10年越しに心に刺さる

みなさん、ちょっとユニクロの陳列棚を思い浮かべてみてください。

膨大な数の服が、きっちりと畳まれて陳列されているのを思い浮かべた方が多いのではないでしょうか。

あんなにたくさんの服がきれいに並んでいる。なのに、店員さんがあくせく畳んでいるのを目にすることは少ない。

不思議だなぁと思いませんか?

あれだけの量の服をきれいに維持しようと思ったら、「お客さんが広げた服を畳む専門のスタッフ」がいてもおかしくないレベルだと思うのですが。

その秘密を、わたしは昔、ユニクロのバックヤードで見た気がするのです。
バックヤードの壁に貼ってあった、一枚の貼り紙。
そこに書いてあった言葉が、今改めてわたしの中で重みを増してきています。

今から10年以上前。
仕事の関係でユニクロの店舗のバックヤードに入る機会がありました。
(ユニクロで働いていたわけではなく、「関係者」として一度入っただけ)

ふと壁を見ると、一枚の貼り紙が貼られているのが目に入りました。
そこには、こんな言葉が。

『スピードとクオリティを両立させたいなら、まずスピードから』。

その下に説明が続いています。
『クオリティを維持したまま、あとからスピードだけ上げようとしても、絶対に速くなりません。初めはクオリティが低くてもいいので、まずスピードを意識しましょう』

もちろん「だいたいこういう意味のことが書いてあった」というだけで、一言一句憶えているわけではありません。

当時のわたしは、

「ふーん、そうかな?慣れたらクオリティ維持したまま速くできるんじゃないの?」
「ていうか、どんなに速くてもクオリティ低かったらダメじゃない?」

とチラッと思っただけで、すぐに仕事に戻りました。

でも、その言葉はわたしの心の奥にチクりと刺さったのです。
なぜなら、「クオリティよりも、スピードを重視すること」は、わたしのもっとも苦手とすることだったから。

小さい頃から、わたしはなにをするのも時間がかかる子でした。
身支度や食事など日常の動作はもちろん、学校の図工の授業でも、他の子は授業中に作品を作り終えるのに、なぜかわたしは完成させられませんでした。

それが「丁寧に、完璧にやろうとしすぎるから」だと気付いたのは、すっかり大人になってからでした。
程よく手を抜いたり、要領よくやるのが本当に苦手なのです。

きちんとやろうとするあまり、時間がかかりすぎてしまう。
でも「手を抜く」ポイントがわからない。

その悩みは、今、ライターの仕事をするようになってからも続いています。
わたしは「仕事の量」に応じて収入が変わるフリーランス。
当然、1つの仕事に時間をかけすぎてしまうと、受けられる仕事の量が減り、収入も減ってしまいます。

もう少し仕事に慣れたら、きっと速くなるはず……
ずっとそう思っていたのですが、書く速度はなかなか速くならず。

どうやったら、速く書けるんだろう……。
時間を区切ったら、クオリティがガクンと下がってしまう……。
スピードとクオリティを両立するには、一体どうしたら……。

そう考えたときにふと、あの貼り紙の言葉がよみがえりました。

最初にクオリティ「だけ」を意識してしまうと、あとからスピード「だけ」を上げようとしても、難しい。

それはきっと、クオリティを上げることよりも、スピードを上げることの方が難しいから。

だから最初から、スピードを上げる訓練をしておかないといけないのだとわかったのです。

とはいえ、クライアントワークで「最初はクオリティ低くてもスピード重視」をやってしまうと、次から依頼が来なくなってしまうのでなかなか難しいところ。

なので今は、noteを書くときにスピードを意識しています。
1記事にかける時間を区切って、その時間内で書き上げる。
クオリティが低くても、それが自分の実力だと割り切って投稿しています。
(ライターたるもの中途半端な記事を出すなという意見もあるかと思いますが、ここはいったん見逃してください)

新しい仕事を受けるときも、

・この仕事にかけられる時間はどれくらいか?
・その時間内で、納得いくクオリティのものを出せそうか?

を考えるようにしています。

もしかしたらユニクロのスタッフさんも、
「ちょっと粗くてもいいから、この棚を○分で終わらせる!」
みたいな感じで訓練してるのかなぁ。

ユニクロの美しい陳列棚を眺めながら、ボンヤリとそんなことを考えるのでした。

(ユニクロの陳列が美しい理由については、完全にわたしの想像です。もし全然違ったらすみません!)

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