![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/150575557/rectangle_large_type_2_2907e62413dc4561ca37490c922801b0.jpeg?width=1200)
百日紅
サルスベリの花が咲いている。真っ赤というよりも少し淡く、ピンクというほど薄くはない。海棠の色にも似ている。
小さい頃はサルスベリというからには「猿滑り」だと思っていたら、素敵な漢字が充てがわれていた。百日紅。本当に百日咲くのか数えたことはないけれど、夏の暑さを長いこと一緒に楽しんでくれるのなら嬉しい限りだ。
太宰治の短編「おさん」には百日紅の花が出てくる。夫婦の噛み合わなさを生々しく書いた話で、ギャグかなと思うほど思考や言葉が噛み合わない二人。百日紅の花や麦酒の黄色、紫のアザなど、想起させる色は鮮やかなのに物語の空気は重苦しく、戦後間もない日本の夏のじっとりとした陰鬱さが印象的な話だ。
そんな真夏の陰鬱さにやられたのか、先日ピラミッドから落ちる夢を見た。夢の中で自分はトゥームレイダーのララ・クロフトばりの探検家だった。そしてピラミッドの内部に入り込み暗くて狭い道を探検していたのだが、とある石をぐぐぐっと押した途端、石がポーンと外に飛び、勢い余って自分も落下したのだ。
同時に、ゴンっと鋭い痛みが額に。慌てて目をあけると、この痛みは夢じゃない。ベッド頭上の棚の角に思いっきり額をぶつけていたのだ。しばらく痛みで悶絶していたが、状況はなかなかつかめなかった。落下したのは夢じゃなかったのかと脳内をぐるぐるさせていたのだが、どうやら夢の中とシンクロして体が少し動いていたらしい。夢遊病というほどではないが、うつ伏せ状態から体を起き上がらせ、腕立て伏せのような体制になったまま前につんのめり、棚にぶつけたのだと思われる。それでもやはり「これすら夢だろう」とおとなしく眠りについたのだが、翌朝鏡で額を見たら見事に赤いあざができていた。こんなんで怪我してちゃ本当にシャレにならない。
なお「大人の夢遊病の原因」を検索したところ、「遺伝・精神的ストレス・過度の飲酒・月経時などホルモンバランスの影響」などがあるらしい。男なので月経はないにしても、精神的ストレスと過度の飲酒!!とちょっとゾッとしてしまった。
百日紅の話から随分遠ざかってしまったが、そんなのが最近の近況である。気持ちはもっとおおらかに、酒はたしなむ程度に、心身健康でありたいと思う。