出会いからアイデアが生まれる

アイデアがあればそれだけでデザインができるわけではないけれど・・・何かしらの指針みたいなものが見つかると作りたいものの形がだんだん見えてくるのです。

ご注文をいただいて作るときはもちろんお客様に合わせてお作りするのですが、新しいアレンジを作るとき、私は作りたいを掻き立てる「何か」が欲しいのです。

私がまだプリザーブドの資格を取って教室を始めてすぐの頃からお世話になっていた人がいました。

いました、というのは今はもうお亡くなりになったから。

その方が経営されていたレストランを閉めて、アンティークなどを扱うお店を開かれたので私もそのまま気軽に遊びに行っていました。

その帰り際に不意に「この銀のスプーン、レストランで使ういいモノだから何かアレンジしてみなさい。素子さんの好きなように使っていいから、出来たらまた見せに来なさい」ってポンっとお題を与えられたのです。

普通のスプーンより少し大きめで柄の部分の飾りが細かくてキレイだったのすが、写真が残っていなくて残念。

アレンジの器にするには小さすぎる?スプーンをオーナメントにする?スプーンである意味を持たせられるかなぁ?いろいろ悩んだのを覚えています。

そこで思いついたのが「長い物語の中にスプーンを突っ込んでほんのひとさじ分だけ掬い取ったワンシーン」にしようというアイデアです。

今現在も「スプーンアレンジ」としてバリエーションも増えて販売が続いているアレンジなのですが、この時のこの出会いがなかったらきっと今作っていないんだろうなぁ。

少し時間がかかってしまったけれどアレンジを見せに行くと、「よく考えたねぇ。素子さんにどうかなと思ったのはやっぱり正解だった」って。

お世話になっている人からこんなことを言われて嬉しくて嬉しくて、このスプーンアレンジを私のものとして育てるって決めたのです。

育てられているかは分からないけれど・・・。

小さな出会いがアイデアとなり、どんどんデザインとして飛び立っていく、そんな感じだったのです。

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