【i shuffle】路頭に迷った祈り/「箒星」Mr.Children
【i shuffle】(アイ・シャッフル)という新しい試みです。アイフォンの音楽アプリで、ミスチルをシャッフル検索し、たまたま1曲目に出てきた曲との思い出について書いてみるコラム。今日は「箒星」。
大学の卒業が近づいていた2007年の1月。これまでともに過ごしてきた同期の仲間たちが、もうすぐ卒業し、それぞれの新しい場所へとバラバラになっていく頃のこと。
卒業論文発表会を終えて、その日はゼミの仲間たちと一晩中飲み明かし、始発列車で家へと帰った。地元の駅に着いたのが朝の6時。駅のホームに、オレンジ色の朝の光が射し込み、とても幻想的な光景だったことをよく覚えている。
大切な仲間たちと別れる季節が近づいている。酒の酔いはほどよく抜けて、疲れているはずの身体は不思議と心地よいけれど、その朝の光を見て、ふと急に寂しくなった。卒業後の新しい環境が不安になった。そこにはもう仲間たちはいない。
もちろん、卒業しても連絡はとれる。死に別れるわけじゃないから、何度だって会える。それでも、変わっていく季節が、消えていく時間が、否応にも自分を違う世界へと押し出していく。
「路頭に迷った祈り」という言葉が浮かんだ。「祈り」というほど大げさなものではないけれど、何かに祈りを捧げたわけでもないけれど、「祈り」という言葉がスッとはまった。仲間との別れを拒んでいるわけではない。自分が向かうべき場所も知っている。それを分かっているから、きっと、この祈りは路頭に迷っている。
『でもね、僕らは未来の担い手』という言葉と、『路頭に迷った祈り』という言葉。この2つの言葉が、表と裏のように、光と影のように、対になっている。2つの言葉が寄り添っている境界線は、明確なものじゃなくて、ぼんやりとした曖昧な場所。そして、そこに佇んでいる自分がいた。
”いつか必ず叶うって決め込んで 路頭に迷った祈り”
(「箒星」/アルバム『HOME』より)