You'll Never Walk Aloneを聴きながら
本の出版に向けて、最後の校正作業をしている。
長く苦しく、暗く、そしてとても孤独で辛い時間だった。3年と言う長期戦は想定外だった。
その間に多くの人に助けてもらったし、多くの人に迷惑もかけた。
感謝とお詫びをしたい気持ちと、どちらも込み上げてくる。
いつかその気持ちをそれぞれの方々に、心から伝えられたらと願う。それが叶わなかったとしても、自分はその思いを持って生きていこうと思う。
"You'll never walk alone"という曲を知ったのは、2000年頃にFC東京がJ1に昇格して初めて試合を観戦した時だった。スタジアムに集う、当時はまだそれほど多くなかったサポーターたちがこの曲を歌っていて、調べるとリヴァプールなどでも同じように歌っているらしいと知った。
たまたまその少し後、2002年6月頭にニューヨークに行く機会があり、カーネギーホールでミュージカルを観ていたら「あれ?この曲、You'll never walk aloneじゃないか?」と驚いた。
なんとそのミュージカルは「回転木馬」というもので、この中で歌われた曲が、後にジェリー&ザ・ペースメーカーズにカバーされてヒットしたのだそうだ。
その夜、外は大雨だった。帰り道の客は雨を見て、「"Walk on through the wind, walk on throug the rainだな、これは」と話している言葉が聞こえた。上手いことを言うなと思った。
昨日も外は大嵐だった。でも、その嵐が去ると青空が広がっていた。気圧が乱高下して頭が痛いけれど、でも青空を見るとこのために嵐もあったのかなと思える。また嵐も来るだろう。晴れる時も来るだろう。それもまた時の流れである。
ニューヨークでミュージカルを観たのは、ちょうどサッカーW杯の日韓大会の頃だった。
20年以上の時を経て、最近はまたFC東京の試合をスタジアムで観戦するようになった。
サッカーを観戦しながら、最近は人生はサッカーに似ていると言うか、サッカーは人生に似ているなあ、とつくづく思う。
J1に上がりたての頃は、テクニックのある選手は限られていて、でもひたむきにプレーする姿に、彼らは自分だなと思った。父親の借金とガンの問題もあって苦しい時だったけれど、彼らを見ることで随分助けられたなと思う。
サッカーにも、いい時もあるし、苦しい時もある。
その時に耐えて頑張っても、うまく行かないこともある。FC東京も2部に降格したこともあるし、日本代表もW杯で全然勝てない頃もあった。そもそもW杯にすら昔は出られないこともあった。
でも、一つずつのことに向き合っていく事こそ大切なのだと。それが成果として報われなかったとしても、そこに向かって苦しい中を生きたことは誰にも侵し得ないものとして残るのだと。
試合には勝ちたい。勝つ試合を観たい。でも、精一杯応援しても勝てない時もある。でもそんな時こそ応援しなければと思う。きっと自分が必要だと思えることで、自分また助けられているように思いもする。
そうやって挑み続けて、歩み続けていくことこそ、本当に大切な事なのかも知れない。
特にこれという結論はないのだけれど、さまざまな思いが今心をよぎっていることを記したかった。