文亨進氏世界会長職を剥奪される(韓国時事ジャーナル)

2015年3月8日、韓国旧統一教会は文総裁の五女である文善進氏を世界会長に任命した。この任命は旧統一教会の後継者をめぐる「王子の乱」と関係があるものと思われる。取材の結果、文亨進前世界会長と教権勢力の間で権力闘争があったことが確認された。旧統一教会はこの任命が発表される4日前に教義違反などを理由に亨進氏に職務権限を停止させるという通知をした。時事ジャーナルはこの内部資料を入手した。

「文亨進世界会長の職務権限停止処分に関する件」という題目が示すようにこの文書は、文前会長に対する懲戒内容を盛り込んでいる。「世界会長の法的権限および教会内に付与された職務権限を真の父母様(韓鶴子総裁)の別命があるまで暫定的に停止する」という内容である。これを2月26日付で命じ、処分実施は1月15日に遡って適用するとされている。メディアには8日に発表したが内部には3月6日に伝達された。
これにより息子全員が旧統一教会から手を引くこととなった。特に亨進氏は後継者として認められていた人物であったため影響は大きいものとみられる。亨進前会長が何故罷免されたのだろうか。内部事情に詳しい信徒は「亨進前会長が2月にアメリカで、教権勢力に対抗する演説をし、これが教権勢力にとって不愉快なものとなって、結局罷免されたものである」と伝えた。
記者は亨進氏が教権勢力を批判し、自身が真なる後継者であることを主張した映像を入手した。これには教権勢力を不愉快にするには十分な内容が含まれていた。亨進氏は教権を握っている彼らを異端勢力と規定し、解任すると発言した。説教というよりは教権勢力に対する一種の解任宣言に等しかった。亨進氏は、今日は私が発表する宣言文を準備したとして次のような「解任令宣言文」を読んだ。

「天一国の万王の王であるメシヤによって後継者として冊封された私文亨進は上記の内容を宣言する。真のお父様による多くの宣布文、経典、伝統を変える破綻的であり異端的な裏切り行為に直接的、または間接的に参加した以下の者たちを天一国の全ての公的職分からの解任を命じる」
続いて、金孝律氏をはじめとする統一教会の主要関係者を次々と言及し「天一国の全ての公的職分から免職する」と宣言した。40年以上、文総裁の執事であり秘書を務めた金氏は、韓総裁が「全ての制度の上にある」と言ったほど旧統一教会内部では「実勢中の実勢」とされる人物であった。
次に「韓国教会はこの異端の教義から解放された」と付け加えた。教権勢力を「異端」であると規定した。この解任宣言をした理由を「真のお父様の後継者である相続者の権限で、神性の冒涜と破綻的な異端行為を日常的に行う指導者層から真のお母様を解放する為」であるとした。真のお父様は故文鮮明総裁、真のお母様は韓鶴子総裁を示す。旧統一教会内の主要関係者を解任するという宣言文と同時に、自身が真なる後継者であり、教権を持つ者であることを明らかにした。

この日の説教は、教権勢力に対するクーデターであり、自身が真なる後継者であることを明らかにした場であった。彼は文鮮明総裁死去当時に教権勢力がとった態度に対して強い批判をした。「あなた方は地位と政治的利点を天秤にかけていた。あなたがどれほど真のお父様に従ってきたのかは重要ではない。あなたが50年を真のお父様に従ってきたという話も無駄である」

旧統一教会は韓鶴子総裁体制として続くようであるが、実際には内部に複雑な権力闘争があると思われる。内部では「善進氏が世界会長になったものの教権勢力と亨進氏との争いなどにより雑然とした形」であると心配されていた。青瓦台(大統領府)文件の波動以降、検察の捜査および国税庁による税務調査に巻き込まれた統一教会は、内憂外患に苦しめられているのである。関係者は「(宣言内容は)文亨進氏が個人的に言われただけであって効果はありません。自然人に戻られたと考えればよい」と言った。

「ポスト文鮮明」を争う権力闘争に巻き込まれた旧統一教会は、内外で厳しい戦いを繰り広げている。世界日報の「ジョン・ユンフェ文件」の報道以降、ソウル地方国税庁調査4局で行われている税務調査とソウル中央地検で行われている告発事件が進行中である。ソウル庁調査4局は、統一教会の関連会社である清心と振興レジャーファインリーズ、料食業など清心グループ関連の3社に対して税務調査を行っている。今回の税務調査について統一教会側は「定期調査の延長線レベル」だとして鎮火に出た。しかし関係者などによると、単純な税務調査と規定するのは難しい。定期的な税務調査や特別な税務調査が別に存在するものではない。しかしどこが税務調査をするのかによって性格が変わる。国税庁の関係者は「調査1、2局では、事前に税務調査をすると通知し調査をするが、調査4局の場合は積極的に証拠を収集し、調査に入る。調査4局が出てきた以上、統一教会の調査を単純な定期調査と見ることはできないだろう」と述べた。調査4局は、国税庁の核心調査部所であり、検察で例えるならば、ソウル中央地検の特捜部に比肩される。

ソウル中央地検で行われている検察の捜査も、旧統一教会としては悩みの種である。現在、ソウル中央地検調査部では、韓鶴子総裁の側近3人を対象とした告発事件を捜査している。これは現在の国税庁で行われている税務調査と軌を一にする。金某氏など韓総裁の側近が清心教会と清平修練院を実質的に支配し、信徒たちの献金を振興レジャー開発、振興ランドなど、自分たちが代表や理事として関与している会社に不当融資した疑いをかけられている。旧統一教会内部関係者で構成された統一教会信徒対策委員会がこの疑惑を集中的に提起しており、統一教会としては緊張を緩めることができない状況である。
原文:시사자널


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