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スタジオアリスに学ぶフロント&バックエンド設計

こちら、2010年に公開した記事のリライト版となります。

娘の1歳を記念して、スタジオアリスに撮影に行った際の話です(そんな娘も、今は15歳。絶賛、思春期真っただ中)。

来店のきっかけは、知り合いから「撮影代半額券」をもらったこと。記念すべき1歳だから、プロに撮ってもらうのも良いかもと夫婦で足を運びました。

予備知識のない状況でスタジオに行ったのですが、まず最初に驚いたのが、子供用の撮影用衣装が豊富にあること。

何着着ても無料。これは、テンション上がります(当時、娘は1歳なので正確には両親のテンションが)。

ちょうど、4歳くらいの女の子がドレスを着て撮影の真っ最中でした。立派なスタジオセットをバックに、気分はプリンセス。最高の笑顔を引き出しながら、シャッター音が鳴り響きます。

ウチの1歳児は、本人が状況を理解できていないので、なかなか集中力が続きません。そんな時は、ぬいぐるみやおもちゃで遊ばせ、それをそっと奪い、「ほらほらぁ...」と話しかけながら、カメラに向けてぬいぐるみを誘導していき、目線が来た瞬間、パチリ。

さすがはプロの技。

子供だけでなく、両親、祖父母などにも気を使いながら、本当に居心地のよい空間を演出してくれます。

衣装を替え、セットを替えで、計6パターン程度の撮影。総撮影枚数は40枚程度。

ここまでの撮影料金は3,150円。そこから、更に半額となります。

はい。ここまでがフロントエンドに該当します。そして、高額のバックエンドが待ち構えています

最初に、撮影した40枚超の写真から、数枚を「取り置き」として選ぶプロセス。ダブルスクリーンの解像度の高いディスプレイに次々と映し出される写真を見ながら、5枚程度に絞り込んでいきます。

この時点で、「選んだ写真=自分の写真=購入すべき写真」という感情が出来上がっています。

次に、選んだ写真をディスニーフレームの可愛いアルバムに挿入したデモ画像がスクリーンに映し出されます。
※下記写真は公式サイトより借用

写真が1枚5,000円程度。アルバムが2万円程度します(当時の価格)。結構なお値段だなぁと思いつつ、夫婦で「どうしよう?」と思案中。

その時、スタッフさんは、急かしたり、無理にクロージングをかけるようなことはせず、ただ笑顔で温かく見守る。

その結果、「一生に一度の1歳の記念だから」という、大多数の夫婦と同じ結論に達し、購入を決断。

更に、そこで終わらないのがスタジオアリス。

「こういうのも如何ですか?」とオプションアイテムが次々と繰り出されます。

両家の両親用の見開きタイプのアルバム2冊(1万円程度)、フォトキーホルダー2個(7,000円程度)を追加購入。あっと言う間に万札5枚が消えていきました。

改めて、ウェブサイトを拝見したところ、最初からパッケージ化された約5万円の商品が用意されていました。

個々にオプションを加えていくと、どのみち、この程度の金額になるので、「であれば、これにするか」となるのではないでしょうか?

スマホカメラの性能があがり、素人がプロ並みの写真を撮れてしまう時代において、写真スタジオは存亡の危機に瀕するかと思いきや。。。

提供する商品を「クオリティの高い写真」と定義するのではなく、「家族の一生に一度の記念日を画像として記録し、想い出の品を提供する」と再定義することで付加価値をつけ、収益性の確保に成功しています。

顧客が成し遂げたい進歩(≒解決したい課題=ジョブ)に着目し、その解決として顧客に雇用(≒購入)される商品を提供する。

というジョブ理論の実践事例とも言えますね。

以前、ジョブ理論の実践例として紹介したアメリカンガールドールの事例も併せてお読み頂けると幸いです。


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マルセロ| 事業プロデューサー
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