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【書籍紹介】人類の未来を語る 田坂広志著
多摩大学大学院名誉教授で田坂塾も運営されている田坂広志氏の著作。私が所属するコミュニティで物凄く評判が良いので必ず読まなければという自分へのクリッピングとして掲載させて頂きます。
以下、同書の解説として東洋経済に掲載された「AIに仕事を奪われる人・奪われない人の決定的差」からの要約&抜粋です。
■AIが優れている点
AIは、「論理的思考」(Logical Thinking)と「知識の活用」(Knowledge Management)については、人間ではまったくかなわない圧倒的な強みを発揮するため、この「2つの能力」によって行われている知識労働は、いずれ、その大半がAIによって代替されていくことになる。
■人間の方が優れている点
AIが圧倒的に優れている 「論理的思考」と「知識の活用」の能力ではなく、AIに比べて人間が優れている「直観的判断」(Intuitive Decision)と「智恵の活用」(Wisdom Management)の能力を、身につけ、磨いていくことである。
・「知識」(Knowledge)とは「言葉で表せるもの」であり、書物や文献から学ぶことのできるものであるが、 「智恵」(Wisdom)とは 「言葉で表せないもの」であり、経験や体験からしか掴めないものである。
・「直観的判断」の能力もまた、経験や体験を積むことによって身体的に掴むものであるため、本来、人間の方が優れた能力を持っている。
■AIで代替できない3つの能力
ホスピタリティ
マネジメント
クリエイティビティ
■ホスピタリティを構成する2つの要素
非言語的コミュニケーション力
対人的深層共感力
第1は、「非言語的コミュニケーション力」である。すなわち、ビジネスの顧客や職場の同僚など、相手の無言の声に耳を傾け、その気持ちを推察し、また、言葉を超えて、こちらの温かい気持ちを伝える力を磨いていく必要がある。
第2は、「対人的深層共感力」である。これは、相手の立場に立って物事を考え、感じ、共感する能力であるが、非言語的コミュニケーション能力を最高度に発揮するために最も大切な力である。そして、言うまでもなく、この「非言語的コミュニケーション力」と「対人的深層共感力」は、AIでは決して代替できないものである。
■マネジメントを構成する2つの要素
成長力マネジメント力
心理マネジメント力
第1は、「成長マネジメント力」である。これは、組織のマネジャーやリーダーとして、メンバーが能力を高め、プロフェッショナルとして成長していくことを支える力であるが、その力の基本となるのは「コーチング力」である。
第2は、「心理マネジメント力」である。これは、組織のメンバーが、対人関係などで精神的な問題を抱え、悩み、苦しむとき、そこから立ち直ることを支える力であるが、その力の基本となるのは「カウンセリング力」である。
■クリエイティビティを支える2つの要素
集合知マネジメント力
組織内アイデア実現力
第1は、「集合知マネジメント力」である。これは、組織のメンバーが集まり、それぞれの知識と智恵を出し合い、議論し、そこから新たな知識や智恵が「創発」(Emergence)してくるプロセスを促す力である。そして、この力を発揮するためには、組織のメンバーがわくわくするような魅力的ビジョンを語る「ビジョン・メッセージ力」と、メンバーが小さなエゴを超えて、互いに協力し合える場を創る「エゴ・マネジメント力」が求められる。
第2は、「組織内アイデア実現力」である。これは、組織において、単に新たなアイデアを「発案」するだけでなく、そのアイデアを周囲に魅力的に説明し、上司をうまく説得し、組織を円滑に動かすことによって、そのアイデアを「実現」する力である。実は、企業や組織において真に求められる「クリエイティビティ」とは、単なる「新規アイデア発案力」ではなく、これら「集合知マネジメント力」や「組織内アイデア実現力」であり、この「2つの力」もまた、AIでは決して代替できないものである。
■AI時代の対処法
これからのAI革命の時代には、大量失業に対する解決策としては、やはり、失業する可能性のある人々に対する「能力開発教育」を行い、AIでは代替できない「高度な仕事」に取り組んでもらい、十分な給料を得られるようにすると同時に、より充実した「働き甲斐」を感じてもらえるようにすることが、政府や企業の基本的責任となるだろう。
以上、要約と抜粋になります。この言語化力、痺れますね。
マーケティングコンサルタントのAhiragaさんが書かれている「アナロジー思考」も、まさに経験や体験を通じて培ってきた知恵や直感をフル活用する事例と思います。
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