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NFT総合シンポジウム NFT冬の時代の乗り切り方<後編>

NFT総合シンポジウムで私が気になったプレゼンをピックアップしてご紹介させて頂きます。

<前編>はこちら。

最初にご紹介したいのは、こちら。Nyavatar代表けんけんさんによる「期待を売るNFTから機能を売るNFTへの挑戦と苦しみ」。

今回のシンポジウムの中で、個人的に最も刺さったプレゼン。NFTプロジェクト(PFP関連)のファウンダーは、「クリエイター」あるいは「優れた嗅覚を持つフットワークの軽い人」が多い印象。

その中で、けんけんさんは、しっかりと事業経験を積まれた方なので、分析及び展望に説得力がありました。

要約すると、AI VTuberプロジェクト実現に向けた資金調達とコミュニティによるブーストを期待してNFTプロジェクトを立ち上げたが、「NFT投資クラスター」と「VTuber推しクラスター」では価値観が全く異なり、同床異夢となってしまい想定通りに機能しなかった。となります。

Nyavatarに関しては、別途、VCからきちんと資金調達できているので、NFTコレクションからの資金調達に頼る必要はなかった。結果、回り道になってしまった。という事例紹介です。

多くのプロジェクトが、「NFTで資金調達してIPを立ち上げてマネタイズするぞ」と奮闘していますが、今回のケース紹介は貴重な示唆になると思います。

「成功事例に再現性はないが、失敗事例には必ず再現性がある」という格言にある通り。

これは、私自身が感じる違和感でもあるのですが、NFT市況が厳しくなった途端、ファウンダーたちが一斉に「NFTは投資対象ではなく、コミュニティ連帯の証である」と言い始めたこと。

最初から「推し活です」と発売し、購入者サイドも価格に納得して購入しているのであれば何の問題もありません。

実際は、「爆益」を期待して、十分に値が上がってしまった時点で高値掴みをして、身動きできなくなった人が多数居る中で「NFTを投資対象として見るべきでない」と言うのは論理のすり替えでは??と感じます。

私は、投資対象としてNFTに参入したので、「投資は自己責任。高値掴みして損した人は自身が未熟であった」との立場。従って、フロアプライスが下がったことは運営に責任はないのに(信頼は失いますが)、無理に論理をすり替えようとしていることに違和感を感じるのです。

冬の時代の説明として「Blurが市場を乱したせいだ」等、色々な説が出ていますが、私はもっとシンプルな理由と思います。

「素人が無限に商品を供給できてしまう市場で価値を保つのは難しい」に尽きると。イケハヤさんの「商品としての魅力の乏しさ」にも通じます。

では、「NFTはオワコンか」というと、それも違う。価格に見合った価値や体験を提供できれば良い。そこにNFTという新しいテクノロジーが活かされることで、大きな発展の余地があると思っています。

今回のシンポジウムでは、そんな将来を感じさせるプロジェクトがあったのでご紹介させて頂きます。

「流行に流されない、価格重視のマモーケティング手法の成功要因について」 by Tochiさん。

シンプルに「価値のあるアートを価値に見合った価格で購入し、転売益を狙うのではなく、保有する体験自体を楽しむ」という設計。

詳細は動画をご覧頂きたいのですが、私がもうひとつ良いなと思った点は、初期販売の収益が、きちんと運営メンバーに還元されたこと。

アーティストのまもるさんは「サラリーマンの平均年収程度」。モデレーター等の運営メンバーにも100万円近い還元があったと聞いています。

サステナブルなプロジェクト運営として大変参考になる事例と思います。

「NFTとパトロン 盆栽支援の革新的なアプローチ」 by 盆栽マン

盆栽マンさんとは、本プロジェクト企画段階から色々と意見交換させて頂いています。

一番の共感ポイントは、「盆栽は世界を狙える、日本が誇るリアルアートである」という点。NFTというテクノロジーと掛け合わせることで盆栽を世界に届けていこうという志。

私が20年前、ブラジルに駐在していた頃、ブラジル人の部下(日系人でない)が普通に盆栽を栽培していて驚いた原体験があります。「浪平の様な爺さんしかやらないもの」と思っていたので(ごめんなさい)。

「そうか、これは日本発のクールなアートとしてブランディングできるのでは?」と私のマーケティング脳が反応したことを覚えています。

今回の盆栽マンさんのプロジェクトは、まずは支援NFTの所有を通じてパトロン(応援団)になってもらい、将来的には「引換証NFT」的なものに発展させていくというもの。

盆栽の世界には既に「預け盆栽」という仕組みがあるので、所有を証明するNFTを保有し、実際の盆栽の管理はプロに任せるという仕組みは違和感なく浸透すると思います。

自分の盆栽を展覧会に出品したり、自分の盆栽に会いに香川に旅行したり等、様々な楽しみ方が考えられます。

更に、この仕組みなら海外の方も取り込めます。「自分の盆栽に会いに香川に/日本に遊びに行こう」と関係人口の創出にも繋がります。自治体も巻き込み、地方創生にも繋げていけるのでは?と夢は膨らみます。

是非、盆栽マンさんのnoteもご覧ください。


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マルセロ| 事業プロデューサー
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