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30歳の誕生日、そして…(アメリカ・ニューヨーク)

2012年9月28日の夜、羽田空港を飛び立ち14時間、ニューヨーク「ジョン・F・ケネディ国際空港」に降り立っていた。
「9月28日」日付は変わっていない。
「時差」という誰もが使える魔法を使い、20代最後の1日を伸ばすことが出来た。そして、誕生日を初めて海外で迎えた後、30代をスタートさせる。

「Motoの英語は、聞き取りやすいよ」
宿泊している家のオーナーである、ケニーの一言に「ホッ」と、気持ちが楽になる。
海外を旅している時、その国の住民や外国人と話をする機会はあるが、10日間もの間、一緒に行動したことはない。同じ屋根の下で、コミュニケーションを取れるか不安はあった。でも、出会ってすぐに、「僕は英語を上手く話せない」と素直に伝えたら、優しく答えてくれたのだ。

日中、ケニーは仕事をしているため、顔を合わせることはない。でも、「困ったことがあれば、いつでも連絡してこい!」と、男気あふれる言葉を残してくれる。異国の地で頼れる人がいるのは、心強い! 夜になり顔を合わせれば、1日の出来事から、お互いの生活や友人のことなどを話し続けるうち、心の距離が縮まっていくのを感じていた。

最終日前夜には、ケニーに誘われ、ブルックリン地区のクラブへと向かった。中に入り、友達を見かけては僕の事を紹介してくれ、どんどんと輪も広がっていく。
知る人ぞ知る秘密基地のような場所で、ニューヨーカー達と音楽を聞きながら踊り、酒を飲みながら、いつまでも語り合う。
「ニューヨークは楽しいか?」
「もちろん! この街もケニーもベリーグッドだよ!」
「まだまだ夜は長いぞ! 明日の事は何も考えず、今を楽しめ!」

目が覚めると気持ち悪い。ニューヨークで2日酔いか…どうやら、国や年齢が変わっても、生活スタイルは何も変わらないみたいだ。と考えると、クスッと笑ってしまう。
荷物を持ち、ケニーの部屋へ向かいお別れの挨拶をしようとしたら、イビキをかきながら、爆睡している。まさに有言実行! 
きっと、今回の旅の記憶が色あせることはないだろう。節目の時を、この街で過ごし、人生で初めて外国人の友人が出来た旅なのだから。そして、鍵を玄関に置き、昨日の記憶を探しながら、空港に向かうことにした。

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