屋部憲通の掛け手
昨年末(2019年末)、屋部憲通の弟子の屋比久孟徳に関する記事を書いた。その記事がきっかけで、私は屋比久先生のひ孫の方と連絡を取ることができた。そして、先週、その方から空手の写真を何枚かいただいた。それらの写真は、それぞれ貴重な写真であるが、特に私の興味を引いたのは掛け手の写真である。
本部朝基も著書で掛け手の写真を何枚か掲載している。しかし、それ以外の掛け手の写真は、初めて見たように思う。
三木二三郎、高田瑞穂著『拳法概説』(1930)に掲載のインタビューで、屋部先生は、本部朝基と長年組手の研究をしてきたと述べている。それゆえ、二人はおそらく、掛け手の稽古も一緒にしていたはずである。
掛け手は、首里手や泊手に――そしておそらく古流那覇手にも――伝承されていた古流の組手である。しかし、空手が学校体育に採用された頃から、一般には見られなくなった。しかし、屋部先生は、屋比久孟徳など一部の弟子には掛け手を教えていたのであろう。それゆえ、上の写真は、古流の組手を解明する上で貴重な写真であると言えよう。
出典:
「屋部憲通の掛け手」(アメブロ、2020年2月9日)。