見出し画像

沖縄武徳殿の関係資料寄贈

以前、サービスを終了したYahoo!ブログに「まるふじ文庫」という空手の稀覯書きこうしょを紹介するブログがあった。そのまるふじ文庫の代表の佐藤茂先生が、昨年秋(2022)、沖縄武徳殿の関係資料を沖縄県立博物館・美術館に寄贈された。以下に紹介するのは、そのとき佐藤先生より送っていただいた寄贈を報じる新聞記事である。

記事によると、寄贈された関係資料は14点に及ぶという。とりわけ目を引くのは沖縄武徳殿の開殿式の際に行われた空手・古武道演武のプログラムである。このプログラムには演武者名・演武種目が列挙されている。

たとえば、空手型では、喜屋武朝徳のチントウ、知花朝信のチントウ、許田重発のスーパーリンペー、宮城長順の転掌、長嶺将真の北谷屋良ノ公相君、名嘉真朝増の公相君大等。また、古武道では、添石良富の棒術、又吉真光のトイファ、仲井間憲孝のサイ等。

北谷屋良の公相君の型名はこれが初出ではないであろうか。また奥原宗広の「松村ノ公相君大」はどの系統なのであろうか。松村系統のクーサンクー大にもいくつかの種類がある。

演武者の中には筆者もわからない人物が何名かいる。解明が進めが、誰がどの型を教えていたのか、型の伝系がより明らかになる。また型の名称にも変遷があるので昭和14(1939)年時点の型名がわかって興味深い。以前、筆者は剛柔流と糸東流のソーチンがある時期からシソーチンに名称が変わったと述べたが、この時点では沖縄ではシソーチンとなっている。

寄贈の過程で紆余曲折があったようだが、沖縄県立博物館・美術館がその価値を正しく理解したのは素晴らしいことである。今回の関係資料は空手史研究にとって第一級の資料と言えるであろう。

なお、現在発売中の『月刊秘伝』11月号に、沖縄武徳殿開殿式に関する記事が掲載されている。

上では紹介していないほかの空手・古武道家の演武内容も紹介されているので、空手史に興味のある方にとっては必見である。

冒頭写真:沖縄武徳殿。出典:那覇市歴史博物館。

出典:
「沖縄武徳殿の関係資料寄贈」(アメブロ、2022年12月9日)。


いいなと思ったら応援しよう!