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株式公開買付への対処を考える

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

先日、私が保有するエランという会社の株価が急に17%ほど上昇した。理由を調べてみると、エムスリーというネット医療サービスの会社が、エランを株式公開買付(TOB)により連結子会社化することを発表したからだということが分かった。

公開買付価格は1,040円で、現在の価格は990円前後に上昇した。私は、3年前に1,175円でエラン株を100株買った。その後、値下がりしたので更に200株追加で購入した。最近まで含み損を抱えていたが、今回やっと解消された。ただ、利益という程ではない。

今まで私が経験したTOBでは、「全株式を買い付けて上場廃止にする」というケースが殆どだった。だから、TOBのニュースが出ればすぐに保有株を市場で売却していた。

私の株式投資の方針は長期保有なので、TOB以外では売却することがほとんどない。今回の場合は中途半端なTOBである。発行株式の50%強しか買い付けないので、私には保有を継続する選択肢もある。どうすべきかと悩む。

そもそも私がエラン株を購入した理由は、その事業の将来性である。IT系でも新技術系でもないが、病院や介護施設の人たちに衣類やタオルを貸与するエランのサービスは、利用者が一度使いだしたらやめられないと思ったからだ。

業種は全く違うが、スマホ決済のペイペイとか、ウーバーイーツとか、MicrosoftのOneDriveのようなもので、一度使いだしたら止められない、中毒性のあるサービスではないかと感じた。

確かにエランの業績は増収増益が続いていて私の期待通りだ。しかし、株価は2021年から長期下落傾向にある。競争激化や顧客対応で予想以上のコストアップになっているかもしれない。市場の期待する成長スピードになっていないということなのだろう。

エランが発表した公開買付に関する意見表明によると、エムスリーの子会社になると、シナジーが期待できるらしい。両者の共通の土俵である病院での営業シナジー。在宅医療への展開もできる。エランの弱点であるシステムの強化が進む。海外展開もエムスリーの支援を受け加速化できる。

そんなにシナジーが期待できるなら、将来的には株価は2倍、3倍になると思うが、買付価格は年初頃の株価と同じだ。とても1,040円の買付価格は将来の期待値として適正とは思えない。

さらに、意見表明を読んでいくと契約までの経緯が説明されている。当初はエムスリーより買付価格900円の提示があった。エランがそれに不満を示すと1,000円に上がった。それでも合意せず、最終1,040円で契約に至った。

株価を評価算出する方法にはいくつかの方法があり、今回の場合も計算されているが、その通りの金額での契約にはなっていない。つまり、TOBの買付価格は、泥臭い押し合い、へし合いの力関係の交渉で決まり、合理的根拠は希薄だということが分かり、私には勉強になった。

「今、売るか、それとも保有し続けるのか」の判断基準は、今後買付価格以上に株価が上昇するかどうか、と言うことになる。エランがエムスリーの子会社になって事業がどう変わるか、私には会社の説明以上の見識はない。

エムスリーは買った価格以上になることを確信して購入の決断をしているはずだ。エランは株式の半分を売った方が、今後株価が上昇して儲かると判断しているはずだ。

こう考えて、私は保有株をそのまま持ち続けることに賭けてみることにした。はたしてこれが正解なのか? エランの株価が3年後3倍になることを夢見て寝て待つことにしようと思う。
<了>


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