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福岡市博物館
リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ
先日、福岡市へ行ってきた。一日目は博多の駅前や中心部の天神を一通り歩き回ったが、翌日は福岡市博物館を見に行った。
博多駅からバスで30分ほど行ったところにある博物館は、以前に博覧会の会場になったところだそうだ。
博物館は、昔学校で習った漢委奴国王と書かれた国宝の「金印」の展示から始まった。発見の経緯や、なぜ歴史的に重要なのか、とわかり易い説明があった。
特に印象に残ったのは、福岡と言う土地は、遠い昔から大陸からの玄関口だっとという点だ。改めて地図を見れば明らかだが、大陸から近い。対馬、壱岐を経由すれば渡航が容易だ。
江戸時代に長崎の出島が西洋との窓口だったと歴史の時間に教わった記憶はあるが、朝鮮半島からの往来ははるか昔から頻繁にあったそうだ。
中国や朝鮮からの使節団の迎賓館であった「鴻臚館」が福岡にあったこと、日宋貿易など対外貿易に活躍した「博多綱首」など私には初めて聞く話だった。
1980年頃に、大野晋著の岩波新書「日本語の起源」を読んだことがある。私の記憶では、大野さんは日本語の起源を調べるために、いろいろな言語の文法や発音などを調べ、もっとも類似しているのは中国語や朝鮮語ではなく、インドのアルタイ語であると結論づけていた。
言語の中でも基本語というか、原始的な言葉の発音が似ているということが最も重要とのことだった。日本人の祖先はインドから南洋の海を渡って沖縄へ、そして本州へと移動してきたという説だ。縄文人のルーツと言うことなのだろう。
それから年代を経て、稲作文化とか弥生人が朝鮮半島から福岡へ入ってきたのだろう。日本語の起源も稲作伝来のルートも諸説あるらしいが、福岡でそんなことを思い浮かべると臨場感があってワクワクする。
近年DNA解析・ゲノム解析による研究が進んで、日本人は縄文人と弥生人の混血だとか、さらには3重構造になっているいうことが分かってきたらしい。
最近、少子化と高齢化で労働人口が減少しているという。人手不足に悩む人は移民を積極的に受け入れるべきだと主張し、反対する人と対立している。
昔、イギリスで働いていた頃、アジア系の人が多く住んでいる地域に住んでいたことがある。家の前に停めておいた車に石を投げられて割られたこともある。
親切で尊敬できるイギリス人にもたくさん出会ったが、一部には冷たい差別の視線や対応を感じることもあった。
移民問題とは人種差別問題であると思う。つまり、移民を受け入れるということは、その人たちを差別しない社会を作らなければならないということと同義である。移民を受け入れるべきと言う人たちは、そんな覚悟を持っているのだろうかと疑問に思うこともある。
数千年前から、いや数万年前から福岡は移民問題の最も激しかった地域であったに違ないと想像する。長い年月をかけて同化するのを待つしかないのだろうか?
不法移民問題を抱えるフランスで、以前にサルコジ大統領が「フランス語を話せることがフランス国民のアイデンティーだ」と言ったような記憶がある。だから移民局の係官は、フランス語でしか応対しないのだと聞いたことがある。実際はそうではなかったが、、。
ただ、日本語を話すということが同化の第一歩に違いないとは思う。欧米では移民政策反対の右翼の台頭が著しい。だが、日本では移民問題は労働力問題にすり替えられ、正面から本質の議論がされていないように私には思えてしまう。
<了>
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