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みんなが先生

こんにちは。
車いすで声楽をしています。もとしです。
 第一回目の今日は、『みんなが先生』に焦点を当てて一緒に考えていきましょう。結論から申し上げますと、現在私は声楽レッスンを受けていません。
私も迷っているんですよ。

 音楽大学生の頃は、1人の先生からマンツーマンで週一回レッスンを受けていました。もちろん学費に入っていました。
 同じ先生から指導を受けること。これ自体は素晴らしいことですよね。ある程度回数を受けていくとその先生の言わんとしてることが汲み取れるようになってきますし、曲中で抑えるポイントや、聴かせどころが判ってきますからね。
 ただ、曲を作り上げていくことと、甘美な声を奏でること、発音、発語…。細かい要素を挙げていくとたくさんあるのですが、それを1人の先生から受けるだけなのは少々無理があるようにも思います。
 声楽レッスンを単に『歌うこと』と捉えるのか、ひとつひとつの『要素』を分解して多角的に緻密に繊細に捉えるのか?
 当然ながら先生が違えば言うことも違ってきます。その度に迷うかもしれません。でも口の開け方ひとつとっても、『こっちの方が頷ける』って言うのが人それぞれある訳で。この部分はこの先生、この部分はこの先生とある種ドライに割り切ることも必要だと感じています。

 さらに極端に言えば『必要ないと思えばそれでいい』とも最近思えてきました。
 『声楽』という枠を飛び出てみて感じたことは、『美しさ』は上手さだけではないということ。技術的なレッスン内容よりも、『この人から盗みたいことを盗もう』ぐらいが丁度いいかなと。
  『この人にさえ付いていれば…』とか、『自分の理想的な声は…』というような『自分目線』から一度離れてみたいなと思い、考え直している最中です。
 観客として久しぶりに聴いたとき、『楽しそうだな』というのが率直な感想でした。上手いとか下手とか、あまりなかったです。私にとっては歌い手みなさまが先生だったんだなと気がつき、『それ自体が私にとっては声楽レッスン』でした。
 とは言え、春夏秋冬の季節ごとに、海外の先生のレッスンを受けるなりしてみると、いいかなとも思います。
個人レッスンの最大の目的は、価値観や視座を合わせる事だと感じています。
 芸術はある程度まで行けば『好み』です。
好きな演奏家がいれば、話したいし、応援したくもなる。その人がどんな音楽を奏でようとしているのかを覗かせてもらう。そんな気持ちでいたいと思っています。

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