なにもしないという至福。
楽しみにしていた美容室の予約がなくなって。
せっかく新宿まで来たのになにもすることがなくなった。
さっきまでの雨め上がり、ふらっとテラスに腰を下ろした。
本でも読もうかな。
いや、なんだかぼーっとしたい。
わたしは後者を選んだ。
ぼーっと、ただ電車が行き交う光景をみる。
何本も何本も人を乗せた電車が行き交う。
ひたすら無心でそれを見ていた。
なんだろう。
このゆったりとした至福感。
学生の時、授業がつまらなくて窓の外を眺めていた以来かな。
電車には黄色、緑、オレンジのラインが入っているんだ。
日々忙しさにまぎれ、そんなことも気がつかなかった。
銀色の鉄のかたまりに運ばれていく日々をまた明日から繰り返すのだろう。
いいや。
今だけはぼーっとすることだけでわたしは忙しいのだ。
幸せなのだ。
そう。私は幸せなのだ。