CEDEC2021を終えて②
さて、舞い上がってばかりもいられません。
その②ではちょっと真面目な話を。
CEDECの準備をする中で感じたのは「悔しさ」でした。
まず我々モーションアクターが理解しないといけないのは、我々が担うのはあくまで3DCGにおけるアニメーションの『基礎のアニメーション』だということです。
いわゆる通常の役者さん、モデルさんとは状況が違い、撮影された情報がほぼそのままの状態でメディアで out put されるわけではありません。
撮影が行われた後、その動きは各キャラクターに流れ込み、様々な調整が行われます。
スピード、手足の角度、表情、指先の表現、揺れもの、埋まり、カメラに対しての微調整、間引など、自分が聞きかじっただけでもすぐこれだけ出てきます。
3次元の人間が実演する、どんなに迫力のある、どんなにスピードのある、どんなに高低差のあるパフォーマンスも、そのままでは仮想現実の世界では満足を生み出せません。
それは日常動作でのシーンも同じく、普通に演技するだけではキャラクターの魅力は引き出し切れません。
世界中のモーションアクターは、どの程度の誇張がちょうど良いバランスなのかを、キャラクターや世界観によって、日々調整しながら演技されてることと思います。
もちろん、可能な限りそのまま使って貰えるような、質の良いでデータを提供する努力は、モーションアクターとしての最低限の誠意だと思います。
でも、前述のとおりモーションキャプチャーで取得できるデータは基礎アニメーションのデータであって、もしモーションアクター達が
「この子の全ては自分です」などど勘違いを言い始めたら大変なことになってしまいますww
クリエイターさんの、その後の膨大な調整によって、ようやく我々の動きは仮想現実の世界で生きていけるだけの存在になれる。
わかってる。わかってはいるのです。
わかっているけど…やっぱり悔しいww
なぜなら、リサーチすればするほど、クリエイターさん達が最終的にイメージしているもの、求めているものが「それではない」ということがわかってしまいますので。
「それ」ではないけど、現実的に人間で出来るのはこれが限界だから、あとは加工でなんとかしよう、というのが現状なのです。
CEDECに向け調査が進んで、洞察の精度が上がれば上がるほど「それ」が詳細に把握できてしまいました。
もし自分が「空が飛べたら」「瞬間移動が出来れば」「物理法則を超えられたら」「床や壁をすり抜けられたら」
そんな事が出来れば、イメージをそのまま表現して差し上げることが出来るんだけどな〜と葛藤しましたww
まあ、無理なことをいってるんですけどね。
それを求め始めると人間やめなきゃいけなくなってしまうのでww
でもだからこそ、その溝を埋める為に自分ももっと勉強が必要だと感じましたし、
それに果敢に挑んでいくクリエイターという人種の方々は本当にすごいな〜と改めて感じました。
そして、それにいつか現実が追いついて世界が進化していくって流れじゃないですか?
人間の想像力の力ってすごいんだな〜という使い古された表現が、自分の身に起きてちょっと実感できました。
さて!
では最後、そんな中でも我々でないとできない事がある!
という希望の話を次回に託して、今回は締めたいと思います!
もう一回続く!