「界隈」って言葉があんま好きじゃない

　あたいは寂しがりやなので人が集まる場所が好きだし、基本的に他人のことが好きだ。ただそれは慈愛に満ち溢れているわけではなく、他の人間への興味関心が強いわけでもなく、ただ単純に「他人といる時の自分の気分」が好きだから他人が好きで、だからわざわざ人の集まる場所に顔を出すのだと思う。

　こういう人間ってのは基本的に自己優先で、隠れエゴイストだと思う。疲れていたり気分じゃなければ、無理して他人と会おうとせず、ひたすらに内にこもる。あたいもそうだ。機嫌が悪ければそれを他人に共有しようとあんまり思わない。まぁ愚痴の吐き合いも一興でおもろいんだけど、本当にどん底に落ち込んだ時は自分のケアで手一杯なので、他人のことを考える余裕も無くなる。そしたらいらない衝突や配慮を生むので一人でいた方がマシだと感じる。一人も寂しいけれど。

　なので平生は病めば引きこもり、淋しくなれば人のところに出てくる。冬を過ごすため山に籠り、腹が空けば人里に戻ってくるクマみたいなもんだ。こう聞けば他人との線引きが上手に見えるかもしれないけれど、一歩引いて、一線引いて見てみれば、あたいのような人間ってのは身勝手で好き勝手に生きているエゴイストだと思う。たぶん肝心な時に人に頼れず大惨事になったりするんだろう。