信用創造という言葉は、一般的には以下のような(誤った)意味で理解されているのではないかと思います。
より具体的に言えば、以下のような理解(というより誤解)です。
(いずれも日本語版の信用創造Wikipediaから)
こうした説明は、公民の教科書や経済学の教科書などでも繰り返され、疑うことも出来ずに信じ込んでいる人々が大勢居ると思います。
ここで、比較対象としてイングランド銀行(イギリスの中央銀行)の"Money creation in the modern economy"(現代経済における信用創造)というペーパーの概要を引用してみましょう。
どうでしょう? 冒頭の説明とは明らかに異なることが如実に感じられないでしょうか?
端的に言って、冒頭で挙げたような典型的(通説的)な信用創造論には、いくつもの嘘や矛盾、事実誤認が存在します。
それによる信用創造の誤解、金融システムへの誤解は、実はマクロ経済政策(財政政策や金融政策)の失敗にも繋がっているのです。
今回は、いくつかの資料(記事・論文)を引用・参照しつつ、通説的信用創造論の誤りを逐一正し、より正確な信用創造理解を代替的に提示した上で、その"変化"がもたらす経済政策理解の刷新まで論じます。
関心のある方は、是非ご購読お願いします。
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①英語版の信用創造Wikipediaを見てみよう
日本の学校でよく教えられている信用創造論(金融大学や日本語版Wikipediaと同様のもの)と、イングランド銀行の信用創造解説の間の乖離は一体何を意味するのでしょうか?
その手がかりとなる記述が、実は英語版の信用創造Wikipediaにあります。引用してみましょう。
少し長いので、要約しますと