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「誰かの黒字は誰かの赤字の原則」→「財政"黒字"の危険性」
「もしAからBへ資産が移動すれば、Aの資産は減り(Aの赤字)、Bの資産は増える(Bの黒字)」ということは、容易に理解できることと思います。
これをさらに、「金融資産・負債の生成」という段階にまで掘り下げて適用して考察することで、金融システム全体の大まかな構造理解に至ることが出来ます。
また、タイトルの通り「財政"黒字"」(赤字ではなく)の経済上の危険性についても理解することが出来るのです。
以下の章立てで論じていきたいと思います。
①「誰かの黒字は誰かの赤字」「誰かの金融資産は誰かの金融負債」
②”腫瘍マーカー”としての財政黒字
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※※※このコラムは、望月夜の経済学・経済論 第一巻(11記事 ¥2800)、望月夜の財政論まとめ(7記事 ¥1600)にも収録されています。※※※
①「誰かの黒字は誰かの赤字」「誰かの金融資産は誰かの金融負債」
冒頭では、単に資産の移動だけについて「誰かの黒字は誰かの赤字の原則」を論じました。
これをさらに、金融資産・負債の生成に拡張して論じます。
ご存じの通り、金融資産というのは、それ自体に実質的な価値はありません。単に所有関係や支払・返済関係を記述するものに過ぎないわけです。これは当然、反対側では金融負債として機能することを意味します。
金融資産・金融負債は両建てで発生するのです。
「通貨」という種類の金融資産についても例外ではありません。
「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?や「お金」「通貨」の実態・正体の方で詳しく解説したように、現代の通貨というのは、銀行負債、ないし中央銀行負債として発行されているのであり、トータルで見ればプラスマイナス0の発行物なわけです。
上記のことから、金融資産は経済全体のトータルでは金融負債に相殺されて価値はプラスマイナス0になり、純資産にはなりません。誰かが金融資産を形成する(誰かの黒字)とき、誰かが金融負債を負う(誰かの赤字)というわけです。
尤も、実務会計的には以下の三つの論点があることに注意してください。
Ⅰ実物投資を行う場合
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