SEARCH/サーチ プレゼン
search/サーチとは2018年に公開された映画。
妻をガンで喪い娘と2人暮らしの男性が、ある日娘が行方不明になる事態が発生する。娘の行方を辿るべくインターネット上から娘の情報を集め娘の行方を探し出すというのが本作のあらすじだ。
まずこの作品の一番の特徴は初めから終わりまで全編通して直接現実の光景が書かれていないという点にある。
ほぼ全てパソコンやスマホ、テレビの画面上かカメラからの視点などで現実の様子は描写される。
これは上述したようにネットを駆使して娘の行方を捜索するというストーリーの都合による演出だが、この演出により観客は実際に自分も操作をしているような没入感を得られる。
本作では演出の都合上人間の動きというのは直接的には描かれない。(人間の動きが描かれるとしてもそれはあくまで映像内での出来事である)
だがその代わりに、怒りに駆られて長文を打った後で冷静になり、長文を消して短く端的なメッセージを送ったりなどの操作の様子を描写する事で登場人物の心理を表現している。
こうした様子は身近に存在する為作品と観客の距離を縮め、より一層現実味を増すのと同時に伏線(物語の謎という意味だけではなくその後の描写を盛り上げるための存在)としても機能している。
更にSNSをメインとした本作は生々しい人間の感情を描いている。
脚色することなくそのまま描写された誹謗中傷や身勝手なコメントなどのSNSの悪意は見ているこちらの感情に強く不快感や醜悪さを訴えかけてくる。
それだけではなく行方不明になった娘の実情が、娘の行方を調べる過程で詳らかにされていく。
不審な消え方をした家族の秘密が少しずつ明らかになっていくというのは他の作品でも描かれているが本作ではやはりSNSで明らかにされていく。
実の父親には見せなかった顔が知られていく様子や、娘がSNS上で何をしていたのかを表す描写もまたリアリティに溢れている。
これらの描写はリアリティ構築や伏線としての機能だけでない。
本作が現代のSNS社会への警鐘と家族との関係というテーマを描くために存在しているのだ。
その為この作品を鑑賞する事で、スリルだけではなく親子の愛情やSNSがもたらす被害などについても深く考えさせられる事になる。
無駄なく設計された描写と真相が次々に明らかにされる怒涛の展開はこちらの目を引き付けて離さない。
ミステリーやサスペンスが好きな人には是非見てほしいし親子モノが好きな人には尚更見てほしい作品だ。