「NPO法人Mother’s Tree Japan事務局便り始めました♪」
NPO法人Mother’s Tree Japan事務局便りの第一弾は、アフリカから来ている難民申請中の妊婦さんの話から始めたいと思います。
なぜなら、「Mother’s Tree Japan」名前は、カナダ人メンバーが「アフリカでは大きな木の下に母子、祖母3世代、4世代が集まり、みんなでおしゃべりしながらゆったり子育てをしているのよ」と教えてくれたことからつけたからです。
この3月から立て続けにアフリカからやってきて、日本に難民申請を出しているご夫妻からサポート依頼の連絡がありました。
その多くは紛争地域から逃れてきた人たちで、いずれも奥様のお腹の中には赤ちゃんがいます。
ほとんどの方は、旦那さんは英語が少し、奥様は母国の言葉とフランス語しか話せません。
こうした場合、難民支援協会を軸に、仮住まいの地域の保健センター、居宅支援をやっている団体などと協力してサポートします。
ご存知の通り、日本は住民票をもっていて保険に入っていないと、たとえ妊婦であっても受け入れてくれる病院はなかなかみつかりません。
難民申請中の方はほとんどが2、3ヶ月の仮のビザであるため、住民登録をすることができず国民保険に入ることができません。
所持金が尽きるまではカプセルホテルやネットカフェなので寝泊まりしたりながら暮らして、なんとか居住支援のNPOにたどり着き、仮の住居を確保します。
その後RHQの家賃補助と妊婦の栄養を支えるには充分とは決して言えない額の食費補助を受けながら約8ヶ月間、6ヶ月のビザ(短時間のアルバイトができます)が下りるのを待ちます。
日本には国籍に関わらず安全に赤ちゃんを産む環境を保証するという人道的な母子保健法があるため、無事に生まれるまでみんなで力を合わせて動くことができます。
とは言え、なかなか各部署の扉は開かないのですが(汗)。
無事に生まれたとしても、その後の生活は苦難の連続です。
日本語ができない中で仕事を見つけるのは本当に困難で、掃除の仕事や倉庫の遅番などのアルバイトをしながら、何とか食いつなぎ、希望をつなぎます。
また、日本国民からの当たりも暖かいものばかりではありません。
「それなら日本に来なければいいじゃない」
「日本の税金は日本人だけに使うべきだ」
色々な声があります。
私自身も正直この状況下でのお産はどんなに怖いだろう、とよく思います。
しかし、同時にいつも思うのです。
生まれ育った祖国を、家族、友達を、暮らしを捨てて、全く言葉の通じない異国の地で、身重の妻を抱えて、こんな苦労を好きでしたい人がいるだろうかと。
日本にこうした形で来られるアフリカ出身の方の多くが、国の民主化運動やデモなどに参加していた人たちです。
祖国で何度も投獄されたことがある人たちもいます。
そうした事情や決して明るくない日本での暮らしのことを思うと、時にやるせない気持ちになってしまいます。
しかし、どの方も非常に礼儀正しく
「お母さん、サポートしてくれてありがとう。家が見つかったよ」
「区役所が妊婦検診のクーポンをくれたよ。本当にみんなありがとう」
「奥さんの状態は安定したよ。日本のみなさんありがとう」
とまめに連絡をくださり、生まれてくる命を命掛けで守ろうとしている姿に、こちらが生きる力をもらうこともしばしばです。
私たちは小さなNPOなので彼らの生活や彼らの日本での暮らし、未来をサポートすることはできません。
けれど、日本で生まれてくる、もうすぐうぶ声を上げる新しい命には、そしてその母なる人には、安心の中でお産の日を迎えてほしいと、心から願い微力ながら活動しています。
親子に明るい未来が待っていますように。
そして、日本を好きな子が育ち、日本人・外国人の枠を超えて、子供たちが手を取り合って未来を作って行ってくれますように。
それが私たちの活動の、大切にしている想いです。
事務局長つぼみ