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VOl.3 多様な子どもに合わせた柔軟な教育に挑戦! 世田谷区立桜丘中学校の事例

こんにちは 中曽根陽子です。
前回、千代田区立麹町中学校のことを書きました。
定期テスト、宿題、クラス担任、服装や頭髪の指導などを廃止するなど、さまざまな学校改革を進めている学校です。公立中学校でもここまでできると話題になっていますが、特別な事例だと受け止める人も多いかもしれません。
しかし、他にも思いきった改革を進めている学校や地域が出てきています。
そのうちの一つ世田谷区立桜丘中学校の西郷校長先生と保坂世田谷区長の公開トークイベントに参加してきました。
 この学校のモットーは、「Enjoy Difference,Enjoy Diversity!」
例えば、教室に入りづらい、気分が悪い、部活に行きたくない、不登校、発達障害……。どんな子も個性を生かして生き生きと中学生活を送り、勉強できる環境を整えます。もしそのための障害となる「学校の常識」があれば、取り払うのがこの学校のスタンス。もし書くことが苦手な生徒が、タブレットを持ち込みたいとしたら、その生徒だけでなく持ち込みたい生徒にはそれを許します。(結局必要を感じない生徒は持ち込まないので、そんなに広がらなかったそうです)
 職員室前の廊下は第2の教室。机と椅子が置いてあり、授業に出られない(出たくない)生徒はそこで過ごすことも認められています。教員全員で、SOSを出す生徒を見る仕掛けでしたが、自然と、いろんな子が朝も放課後もこの机を入れ代わり立ち代わり使うようになったのだとか。もし授業中に寝ている生徒がいたら、その生徒を叱るのではなく、眠くなるような授業をしないように先生に工夫を求めるといった具合で、先生も変化を求められます。
 制服もなく、チャイムも朝一度なるだけ。生徒を押さえつけていた枠を取り払ったら、自分で考え行動するようになったと、9年間の変化を話す西郷校長先生の言葉には、生徒に対する愛情と、多様性を認め合うみんなの学校を実現したいという揺るぎない信念が感じられました。信頼されていると感じると、人はその信頼に応えようとするのでしょう。これは親子関係にも言えることです。 
 校則のない学校も、チャイムのならない学校も私学にはありますが、当たり前と思っていた学校のイメージを覆すような取り組みを次々と実現しているのが、都会の公立中学校ということに、この国の教育の変化の兆しを感じます。誰もがもって生まれた個性が輝くような教育が他にも広がっていくために、私も情報発信などをしていきますが、なにかおもしろい取り組みをしているところなどありましたら、ぜひ教えてください。取材します。


●中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表  
教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。
オフィシャルサイト  http://www.waiwainet.com/
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