「ネガティブな体験も捉え方を変えると、失敗力を育てるチャンスに」| 中曽根陽子の今月の探究 2024年2月
こんにちは
あっという間に1月が終わりましたね。
でも、旧暦ではこれから1年が始まるので、これまでの時間は2024年の助走期間と言えるかもしれません。
このように、もう1ヶ月経ってしまったと思うか、これまでは準備期間で、これから始まるんだと思うか。過ぎた時間は物理的には同じなのに、捉え方によって、気持ちに変化がありませんか?
私はこれまでポジティブ心理学と発達脳科学を学び、それらをベースにした子育て講座や講演をさせていただいているのですが、最近脳神経科学を学んでいて、さらに新しい発見がいろいろありました。
その一つが、世界の何をどう見て、どう感じるか、そして、それを自分の中で強く意識して記憶化していくことで、それが脳のデフォルトになるということです。
脳の中では、よく使っているネットワークがデフォルト化されて働くので、ものごとをいつもネガティブに捉えていると、それが癖になって、ネガティブなことに目が行くようになる。
反対に、いつも物事の良い面を見ようとしていれば、それが脳の中に書き込まれて、無意識に良いことが目につくようになるのです。
だから、ネガティブな体験も「成長を促してくれた体験だ」と捉えることができれば、ポジティブな体験の記憶に書き換えることができます。
運がいいとか悪いとか言いますが、いつも何に目を向けてどういう考え方をするかで行動が変わるということなら、運が良い人はそうなる考え方が脳の中でデフォルトになっていて、そういう行動をしているのではないでしょうか。
これを子育てに置き換えてみると、子どもたちのネガティブな体験も、それを成長の機会と捉えることができたら、子どもの脳の記憶も書き換えられていき、失敗しても、「じゃあどうする?」と前向きな気持ちを持つことができるようになるのではないでしょうか?
でも、脳はもともとネガティブなことに敏感に反応する本能があるので、ほっておいてそうなるわけではありません。
子どもが失敗をした時に、それを成長の機会を捉えられるような声かけをしてあげることが大切なのです。そして、そういう体験が多いほど、デフォルト化されていきます。
先日、マザークエストの初期からのメンバーでもある鈴木みゆきさんにお話を伺ったのですが、その取り組みがとても素晴らしいので少し紹介しますね。
みゆきさんは6年前から、友達と二人で、子どもたちがお仕事体験をするイベントを仕掛けています。
初回のイベントで、子どもたちは自分の得意なことやりたいことから企画をして、お店を開きました。お店を開くにあたっては、事業計画書を作り、採算分岐点も考えて値付けをすることなど商売の基本を教えますが、みゆきさんたちは、運営には口を出さず、見守ったそうです。
当日、全く人が集まらないお店があったのですが、子どもたちは最初何もできませんでした。
お昼近くになって、やっと相談に来たので、なぜ人が集まらないのか、自分たちの店と人が集まっている店を比較して考えてみるように伝えたそうです。
すると、何をする店なのかが分かりにくいということに気づき、看板の位置を変える、呼び込みのパフォーマンスを店の外で行うなどのアイデアが出てきて、それらを実行した結果、人が集まってきて、最終的には成功したそうです。
みゆきさんたちが行ったのは、視点を変えて、何ができるか考えるという提案だけ。
でも、それで子どもたちは自分たちで考え、行動を変えることができたのです。
そして、やり終えた子どもたちからは「大変だったけれどまたやりたい!」という声が上がったそうです。
日常生活の中でも、子どもが困っていたら、失敗力を育てるチャンスです。
すぐに救いの手を差し出すのではなく、ネガをポジに書き換えるきっかけになる言葉掛けをしてみませんか?
6年前に7店舗から始まったこのイベントは、今年はさらに、地域の大人たちも巻き込んで、250人の子どもたちがお仕事体験できる大イベントに成長して開催されるそうです。いろいろなお仕事体験を通して、楽しみながら学べるチャンスです。
お近くの方は参加してみませんか? 当日は、私も行ってみようと思っています。
詳しくはこちらのチラシをご覧ください。
追伸
今日から東京・神奈川で中学入試が始まりますね。精一杯力を発揮することができますように。受験生の皆さんとご家族の皆さんの健勝をお祈りしています。
中曽根陽子の著書が「子育ての悩みに今すぐ役立つ本10冊」に選ばれました★☆★『成功する子はやりたいことを見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)
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