DJ WAKO xマザー・ムーン・ミュージック対談
インドネシア音源”Digbonesia”、BPM80~100位の和洋音源をカットアップミックスさせたDOPEな”Groovy Faily Tale”、当店マザームーンとのコラボミックス”Let’s Play Turntable”シリーズで深いリスナーの心をつかんだ長野県のモンスターディガー=DJ WAKO。
マザー・ムーン・ミュージック主宰である僕Asahi Kurataの古くからの友人でもあります。彼の凄さはもう既に体感してますし、彼の作品はお世辞抜きにマジで素晴らしい!
今回は氏の音楽遍歴とそのルーツとリリースしたミックスCDについて対談を行いました。
1. DJ WAKOのルーツとDJを始めるきっかけ
DJ WAKO(以下W) 長野県塩尻市在住 43才(2022年)
たしか98年ぐらい?、NHKのトップランナーという番組をたまたま見てDJ KRUSHと、大江千里のジャズ、アブストラクトHIPHOPセッションを見てやられたかんじです。
DJ KRUSHが古いベスタクスのミキサーでトランスフォーマースイッチを押してスクラッチしたり、エフェクトをかけてスクラッチしていて俺もやりたいと思いました。
そこから右も左も分からずレコードを買っていったって感じです。
W. そうです。この神回です!
DJ KRUSHは高校生の時にたまたま買ったmo waxから出ていたアルバムStrictly TurntablizedのCDを買って聴いていて、その中のKemuriって曲が大好きで知ってはいたのですが、映像で見るのは初めてで衝撃を受けました。
ちょうどその頃、松本市でアパレルやっていた先輩Kさんがレコード集めや、DJをやっていて高校生の時以来またクラブに遊びに行くようになりましたね。
先輩の勧めで地元(松本)のWAVEでCheryl Lynn”GOT TO BE REAL”の入ったLPとJackson SistersのLP(何れも再発盤)を初めて買いました。
その頃はロックやハードハウス、パワーポップ等をCDで聴いたのですが、SOULミュージックを聴いてガツンときました笑
ちょうど都会ではフリーソウルブームみたいなのが来ていた時代ですね。
マンハッタンレコードやDMRの通販もその先輩に教えてもらいました。
都内のレコード屋にも連れていってもらったりもしましたね。
W. そうですね、ソウルミュージック、ダンスクラシックス、HIPHOP、R&B、レゲエ等皆が通った道をいきました。
やっぱり当時のMIXテープの影響は絶大でしたね。
新譜ならDJ KOMORIやTony Touchは欠かさず聴いてました。
DJは、MURO、KIYO、TAIKI、MISSIE、SPINBAD、他にもキリが無いですが、影響を受けました。
W. レコードを買い初めてから1年位、自宅でMIXやスクラッチの練習をしていました。そんな時にオールジャンルのパーティーのDJに誘われました。
その後直ぐに自分でオーガナイズしパーティーを始めました。21~22才位の時です。
HIP HOPやR&B、ダンスクラシックがメインでプレイしていました。たまに国産のHIP HOPやR&Bを混ぜたりして。
当時の思い入れのある5曲をあげるとすれば…
・Nas / Nas Is Like
・Lauryn Hill / Can't Take My Eyes Off Of You
・Michael Jackson / Human Nature
・Terri Gonzalez / Caught up (In one night love affairs)
・Sugar Soul / 今すぐ欲しい feat.ZEEBRA
ですかね笑
時代を感じますね!
W. ありがとうございます!ディガーの倉田氏にそう言って頂けて素直に嬉しいです。
Brainfreezeですが、影響は計り知れなかったですね!FUNK45が世界的に高騰してテクニック的にも圧倒されて…
当時はプロモ盤のメインストリームからSOUL、FUNK、ネタ盤、RAP、等様々なレコードを買っていました。
収集はオークションや、レコード屋の通販で電話(笑)で視聴し買ったり、リサイクル屋さん、近くにレコード市があれば朝イチで狙いにいったり。その辺は皆一緒かと思います。内容はMIXテープのクレジットだけが頼りで必死に探しました。
レコード掲載の本や、雑誌も必ずチェックして、その中で印象に残ってる物は
・フレディ・フレッシュ/RAP RECORDS
・SAMPLING LOVE
・FUNK 45's
ですかね!
特にDJ MURO、KOCO氏のレコード収集や、PLAYスタイルには当時から憧れていました。
W. リサイクル屋さんの話だと当時のハード◯フはかなりおいしかった。今じゃ都内のレコ屋かよってツッコミをいれたいです。笑
今はライバルも多いですよね!なかなか抜けませんね。。。
その通りDJプレイはある程度、かたまりを班分けみたいにして現場の様子を見て変えてく感じでしたね。若い頃は頭の回転も良かったのでスムーズでしたが今はね…なかなか笑
リズム感って衰えてくるのかも!
やっぱりブランクみたいなのかなりありますよ。
現場でのDJの回数が多ければ多いほど冴え渡るんですよね!
テクニックしかり。リハビリ中です笑
2. インドネシア音源オンリーMix CD”Digdonesia”について
W. インドネシア音源を集めたきっかけはちょうど10年位前に、HIP HOPやクラブ活動、DJする事に心身、疲れてしまって、そのタイミングで結婚や転職した事もあり、忙しくなってDJはしばらくの間、自分の中で諦めてしまって、、、。
DJはやらなかったですが、レコードは趣味程度に買ったり、バイヤーみたいな事をしていて、そんな時ふと亜細亜 (アジア) の音楽を掘ってみようと思って韓国、香港、タイ、インドネシア等のファンキーなドラムブレイクを求めて集めだしたのがきっかけです。
その中でも取り分け自分の耳に合ったのと、入手が難しかったのがインドネシアの音楽にハマるきっかけでした。
といってもインドネシアのレアグルーヴは昔から有名なFUNKやカバー物には興味が無かった。
インドネシアと言えば60sガレージやサイケデリックな音楽が人気だと思うのですが、ドラムブレイクや、HIP HOPのサンプリングに使えそうなDOPEなビートを探すのは難しく、見つけた時の喜びも格別でした。
ちょうど2015年~16年位に日本でもCITY POPやアイドル歌謡等を掘り出すDJも増えてきて、そんな中、インドネシアの80sはかなりクオリティの高いCITY POPが多い事に気付いて、さらにDJ心をくすぐらせるのが
インドネシアはカセットテープ文化なので80sのレコード音源はラジオ用のプロモが殆どという点に着目しました。
これはヤバいなと笑
物によっては一生お目にもかかれない物も多いんではないでしょうか?
今では和物よりもインドネシアのDOPEなレコードを掘りたい!
実はインドネシアのMIXは2019年位には出したかったのですが、なかなか重い腰が上がらなかった…
そんな中、2021年3月に東京のグルーヴマスター DJ STEFANY氏がインドネシアグルーヴ・オンリーのMIX『ANGIN TROPIS』を出す事をSNSで知り愕然としました…
自分もインドネシアを出すのは夢で敢えて氏のMIXは聴かなかったんですが、自分もMIXを完成させてから、氏とは名刺(MIX)交換をしました。
氏のMIXは素晴らしく、かなりお勧めなのですが、一曲も被りは無かった。
彼は彼のスタイル、自分は自分のスタイルが出ていてホッとしましたね 笑
もう一つ、なぜまたDJをやろうと思ったかって質問があれば理由はあります。
去年、昔お世話になったDJのRYUHEI THE MAN氏が他界したのがきっかけです。
お世話になったのに、恩返しが出来なかった。中途半端だった自分の中の消えかけた魂に再び火がついた
W. そうですね!丁度、FUNK45が落ち着いて来た時に、Egon氏、madlib氏辺りがインド等のレコードを掘っていて、ちょっと気にはなっていました。
個人的にはディスクデシネさんでレコードを買う機会が多く、フランスやヨーロッパ等のレコードに強いお店なのですが、韓国やインドネシアのレコードも少し入荷したりしていました。
その時に視聴したiis sugianto/salah tingahってアルバムが素晴らしくてインドネシア音楽にハマる第一歩だったと思います。
インドネシアのレコードは国内では取り扱いは極僅かでしたから、レコード買うのが楽しくて。
福岡のレコード店、チクロマーケットさんのインドネシア買い付けブログなどはとても興味深いです。
そして、アジアのレコードはジャケットも何とも魅惑的な雰囲気を醸し出しているじゃないですか?
聴いてみないとどんな曲が入っているか分からないし、ミステリアスでそこも魅力的です!
W. そのインドネシアのコンピは聴いたことが無いですね。
後は、オークションやdiscogs等でGETしたり、アーティストさえ分かればYouTubeでカセットの音源はたくさんアップされているので聴く事は出来ます。
最近の入手経路は㊙️ですが(笑)
実はカセット音源では安く手に入り、入手は楽なんですよ。
現地のDJはカセットでプレイするらしいです🤣
アナログはやはりレア!
W. オープンリールでDJ!上には上がいますね…
ヒップホップ系のDJならカセットテープでスクラッチとかヤバ過ぎますよね😁
日本人でもやってる方いるらしいですが……
もしかしたらこれからの時代CDよりMIXテープの方が売れるかも分かりません笑
とりあえず、今回のMIXには入れていませんが、先ほど話に出た、国民的歌手 IIS SUGIANTO/PENCURI KASIHKU
こちらは入り口、名盤にしてバイナルはウルトラレア盤です。
続いて
インドネシアの友人にこれ良いよと勧められて聴いたら、確かに良くて何処かで聴いたことあるなーと思ってたら家にあったやつ笑
LYDIA KANDOU/AKU SEMAKIN RAGU
メロウグルーヴでサンプリングにも使えそうです。
定番というか鉄板なのは、やはりGRACE SIMONで、どのアルバムも間違い無いですが、今回は個人的に
GRACE SIMON/ADAKAH CINTA KAN BERSEMI
CINTAとはインドネシア語で愛なのですが、実にインドネシア!愛の歌多いです笑!
インドネシアの曲でベッドルーム用に一つMIXを作ればきっと気になるあの子も落とせそうな勢いですw
最後に山下達郎っぽいのを一曲。
delly rollies/cinta merdeka
他にもっと達郎っぽいのあるのですがYouTube音源で見付からなかったです🙇♂️
W. アジアのディスクガイド本出るのは知らなかったです!まだ見ていませんが、
インドネシアのレコード何枚載ってるか気になりますね‼️
いつかインドネシア、オンリーのディスクガイド本が出来るなら提供できるようコレクトしていきたいですね!
W. Digdonesia 2はもちろん考えています。
まだ温めている秘蔵盤も有りますし、更なるヤバいバイナルも入手しています。今年の終わりか来年頭にはリリースしたいですね。
少しでもインドネシアミュージックのファンを増やせたら幸いです。
春過ぎに洋楽と和物グルーヴで少しだけHIP HOPを感じさせるBPM80~100位のMIXをリリース予定でそろそろ制作始めます (現在リリース中。下記商品にて)
3. マザームーン企画の三部作ミックス”Let’s Play Turntable”について
W. マザームーンミュージックの倉田氏からの依頼は正直嬉しかった反面、長いブランクもあり焦りました…
vol.1は正直ぎこちなさを残しつつ、vol.3に向けて尻上がりに上達していく感じですかね笑
もしこの時に依頼を受けなければ今は無いかも知れませんと思いました。
後押しをして頂きありがとうございます!
Vol.1のテーマ、狙いはレアな曲は少なめに定番を多めに入れてありますが、聴き所は”大怪我”ですね。和物からジャパニーズHIP HOPの流れ!
ちょうどBig-O=オオスミ氏が他界してオオスミロスになっていて…
あと同じ長野県の尊敬する凄腕プレーヤーのMASS-HOLE氏のビートも入れたりして、ありそうでなさそうなMIXになってます。
W. そうですね!世代的に上下関係だとか、リスペクトを叩き込まれてきた世代なので、無意識にやってる部分と狙ってやっている部分とですかね。
Vol.1で大怪我行っちゃいましたから、その流れもあります。
ただ普通にかけてもつまらないのでリスペクトを込めたオマージュ作品になったかと思います。
4. Ryuhei The Manさんとの出会い
W. 出会いはひょんなことから…某オ◯クションでRyuheiさんが僕のレコードを買ってくれたのがきっかけです。
本当はモラル的にいけないかも知れませんが…もう我慢できなくて声をかけさせていただきました…
W. 流石、倉田氏ですね!
僕も一枚買ってその後に直接買いに行くスタイルたまにありました。。
Ryuheiさんには速攻でオファーしましたね!
群馬のレコード店ドルフィンの橋本氏、RYUHEI THE MAN氏、Honey Driipin' のDA Stimpy氏、そして倉田氏でパーティーやりましたね!
とっても濃いメンバーでした!
W. そうですね!正真正銘ソウル、ファンク、ヒップホップが体感でき自分の中での思い出に残る熱いパーティーベスト3に入ると思います。
Ryuheiさんはその翌日に地元のレコード屋でTBMの峰厚介 - MINEを100円で抜いてたの思い出深いです。
W. 自分のレーベルCROSSOVER BREAKS RECORDSから3枚目のMIXとして同郷のDJのNAOKI TSUBOTA氏の和ブギーMIXを2022年11月にリリース予定です。
※コチラの作品は諸事情により販売中止となりました
自分のMIXは2023年の春前にはDIGDONESIA 2のMIXをCDとカセットテープで枚数限定でリリースしたいと思っています!
W. ありがとうございました