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MOOONのひみつ。

「オリジナルのボードゲームを作りたい」

と、5年ぐらい前から思っていたが、僕は締め切りが無いと何もできない人間なので、気がつけば5年の歳月が流れていた。

40歳を目前にしたある日、「このままではボードゲームを1作も作らないまま人生が終わってしまうかもしれない」と謎の焦燥に駆られ、ゲームマーケットへの出展を決意。

ここから苦悩の日々が始まった。

せっかくならドミニオンのような革新的なシステムを発明したいと思い、ボードゲームの神様に祈りを捧げる日々を送ってみたが、なかなかアイデアが降りてこない。

季節が春から夏に移り変わる頃、革新的なシステムは次回作に譲るという英断を下し、今回は既存のジャンルで「自分の欲しいゲーム」を作ることに決めた。

今の僕には締め切りがある。
締め切りがあると、人間は変わる。

(前置きが長くなりましたが、この記事は僕が初めてボードゲームを作った時に考えたことをまとめたものです)

◼️構想の話

まずは「自分が欲しいゲーム」の条件を書き出してみる。

条件①:軽いゲーム
ちょっと暇な時に気軽に手に取って、短時間でサクッと遊べるゲームが好き。
プレイ時間には、実質「ルールを覚える or 思い出す時間」も含まれるので、できるだけシンプルな作りにしたい。
また、ボードゲームは無限に増えて嵩張るので、物理的なサイズも小さくて軽い方が嬉しい。

条件②:2人で遊べるゲーム
息子と2人で遊ぶことが多いので、2人プレイでベストな体験ができるようにしたい。3人以上でも遊べたら尚良し。

条件③:TCGっぽいゲーム
遊戯王世代なので、TCGっぽい要素があるとテンションが上がる。TCGの本質をわかっているわけではないので、あくまでもTCG風味(化学調味料)である。

条件④:手番の無いゲーム
大半のボードゲームには手番(2人用の場合は先行・後行)の要素があり、各手番で有利不利が出ないように調整されている(2人用の場合、先行はドローできない等)が、完全に平等にする調整は難しいと思うので、そもそも手番の要素は無くしたい。

当時の構想メモ
・1回10分以内(インスト込み)
・カード20枚以内
・スタンダードサイズ
・準備や片付けが楽
・記憶力がいらない
・2人で遊べる
・デッキ構築
・カードの効果
・拡張性
・先行有利、後行有利が無い

これでゲームの輪郭は見えてきた。
あとは作るだけだ。

◼️ルールの話

試作版

最初にできあがったルールがこちら。


・5枚のカードでデッキ構築
・カードを1枚同時に出してジャンケン勝負
・勝ったら1ポイント獲得
・負け or あいこはカードの効果を使用
・5回繰り返して獲得ポイントが多い方の勝利

試作版のカード

遊べないことはないが、シンプルすぎて様々な問題が発生してしまった。

・カードのパラメーターが「ジャンケンに負けた時に使用される効果」しかないため、必然的に効果がインフレし、最終的にジャンケンに負けた方が強いゲームになってしまった。

・あいこの時は両方の効果が発動するため、同時に使っても矛盾の無い効果しか作れない。
(このデメリットを回避するために、世のゲームには手番の要素があるんだと実感した)

・相手の持っているカードが予想できないため、脳死でパワーカードを連打する展開になりがち。そしてこれが強い。

完成版

試作版の反省を踏まえて調整を重ねた結果、最終的に以下の形となった。


変更前)5枚のカードでデッキ構築
変更後)6枚のカードでデッキ構築

→5ターン目(最終ターン)が消化試合になる確率を下げるために変更。

変更前)1枚ずつカードを出してジャンケン勝負
変更後)お互いの手札を公開した後、1枚ずつカードを出してジャンケン勝負

→運ゲーを回避するために変更。

変更前)ジャンケンに勝ったら1ポイント獲得
変更後)ジャンケンに勝ったらATKの数値だけダメージを与える

→勝った時のリターンを調整するためにATK(こうげき力)のパラメーターを追加。

変更前)負け or あいこはカードの効果を使用
変更後)負けはカードの効果を使用、あいこはSPDの数値が大きい方から効果を使用

→あいこの時、効果の使用順を交通整理するためにSPD(すばやさ)のパラメーターを追加。

変更前)5回繰り返して獲得ポイントが多い方の勝利
変更後)「相手のライフをゼロにする」または「5回繰り返して残りライフが多い」と勝利

→ゴールをわかりやすくするため、ポイント制からライフ制に変更。

完成版のカード

運ゲーだった初期verから一転、勝ち筋を通すために盤面を整え、お互いの最善手を読み合うインテリジェントなゲームになった。

当初の想定よりも頭を使うゲームになってしまったが、今回はこれがベストな調整だと判断。
ライトに遊びたい時は、6枚のデッキをランダムに選ぶとちょうど良いかもしれない。

今回15枚のカードを作ったが、シンプルな効果で我ながらバランスの良い調整ができたと思う。

3人以上で遊べるルールも検討したが、ルールを大きく変えないと成立しないことがわかり、今回は2人専用と割り切ることにした。

◼️デザインの話

ジャンケンがベースのゲームなので、いろいろなものを3つにすることにした。

タイトル

「MOOON」と命名。
「O」が3つ入ったそれっぽい単語。
最初は「OOO」だったが、このゲームに変身要素は無いので却下となった。

キャラクター

ゼロからキャラクターを作るのは苦手なので、既存のスタンダードな世界観を下敷きにすることにした。採用したのは以下の3つ

・ハロウィン(HalloWeen)
・不思議の国(WonderLand)
・百鬼夜行(PandemoNium)

キャラクターのイラストを描くのは楽しかった。
🎃と🐰がお気に入り。

カードは15種類もあるので、この類のゲームに慣れていない人は敷居が高く感じてしまうかもしれないと思い、できるだけカードの特徴が覚えやすいキャラ設定を心掛けた。

・ネコは相手に特定の手を出させる
・女の子はATKがゼロだけど効果が強い
・おじ(い)さんは効果で自傷する

など。

背景

キャラクターに合わせて、3つの背景イラストが必要になった。

・ハロウィン:渋谷
・不思議の国:ロンドン
・百鬼夜行 :京都

これはAIで作成。
新たなチャレンジだったが、思っていたよりも思ったように描いてもらえなくて苦労した。

京都の月はもっと小さく描いてほしかったが、何度言ってもこれ以上小さくしてくれず、まぁこれはこれで良いかと妥協した。100回ぐらいダメ出ししたので、AIも疲れてたんだと思う。

でかすぎる月

◼️あとがき

こうして、ぼうしやの処女作「MOOON」は完成しました。

🎃と🐰が好きな人には自信を持っておすすめできる作品となっております。👻や🎩や🐸もいます。🐈は3匹います。

2024/11/16(土)のゲームマーケットに出展するので、参加する方は是非ご検討ください。

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おしまい

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