P副隊長

南の島の消防で火災、救助、救急を兼任しています。 見てはいけないものや、見て欲しいもの…

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南の島の消防で火災、救助、救急を兼任しています。 見てはいけないものや、見て欲しいもの。知らない方がいいこと、知って欲しいこと色々。 ※記事はフィクションかもしれませんのであしからず。

記事一覧

子供が倒れてる。。。

もう冬も終わりかけ。 新型コロナ感染症が2類扱いから5類への議論も大詰め。 3年以上経過してるし、新型といっていいのかダメなのか分からないけど、個人的にはもうそろ…

P副隊長
1年前
3

私は血の匂いが苦手だ。 普通なら場数を重ねるにつれ免疫が付く。人間は大概のことには慣れていくはずなのに。 しかし、私はこれまで数えきれないくらい見てきたはずなの…

P副隊長
3年前
5

デス ヴォイス

デス ヴォイスをご存知でしょうか? デスヴォイスもしくはデスボイスとは、意識的、積極的に出す「ダミ声」「悪声」「がなり声」であり、主にデスメタル、ブラックメタル…

P副隊長
3年前
6

とある元旦の朝

年末年始は本当にいろんなことが起きる。 新年を迎えられなかった人、新年を迎えたばかりだったのに...という人。 表に出てこないだけで、実際は色んなことが起こってい…

P副隊長
3年前
4

引出しから女児

これはネコ型ロボットが未来からやってくるアニメの話ではない。 災害はいつもながら急に起きる。 この日も24時間勤務が終わる朝の指令だった。 ーーーーーーーーーー…

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3年前
5

飼い犬に〇された住人

12月になって男だらけの消防署も雰囲気が変わってきた。 仕事はいつも通りだけど、クリスマス、忘年会、そして年末年始が控えていて、やっぱり明るい雰囲気になる。 そん…

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3年前
7

ネコを助けに行っただけなのに

管理者からのお知らせ「この物件ではペットを飼ってはいけません。」 こんな当たり前のことが某県営住宅の掲示板に貼られている。 そのきっかけになったと思われる事案を…

P副隊長
3年前
6

救急車内のすごい違和感

沖縄の長い夏も終わり肌寒くなった頃の出来事。 季節の変わり目は体調を崩す人が多い。小さい子供はなおさらである。 熱がでてケイレンを起こす事案は結構多いのだ。 ケ…

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3年前
9

女湯と新米隊員

かれこれ10年以上前の初出勤の日。 消防学校で一通りのシゴキを終えて所属に戻った僕。 配属はリゾート地に近い海沿いの消防署だった。 初めは救急隊として勤務についた…

P副隊長
3年前
8

事故は風化しても、消えないもの

救急隊は予想を超える場面に遭遇することがよくるが、経験を重ねるにつれて耐性ができる。 良くも悪くも人間は慣れるのである。 仕事柄、悲惨な現場を見ることが多いから…

P副隊長
3年前
4

スズメバチと戦う隊長

消防署にハチ防護服という宇宙服のような服がある。 その名のとおり、ハチに刺されないように防護するための服なのだが、出番は滅多にない。 というのも、ハチ駆除は本来…

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3年前
6

ゴミ屋敷の壁に

出動指令「50代男性、動けけない。」 出動先  ○市〇町1-2-3 「おいおい、またアイツだよ。」という後輩隊員の心の声が聞こえた。 そこには管内で有名なAとい…

P副隊長
3年前
7
子供が倒れてる。。。

子供が倒れてる。。。

もう冬も終わりかけ。
新型コロナ感染症が2類扱いから5類への議論も大詰め。
3年以上経過してるし、新型といっていいのかダメなのか分からないけど、個人的にはもうそろそろ過去のものにしてほしいな。

さて、そんな長いコロナ禍の真っ只中の話。
さわやかな春の陽気とは裏腹に、僕たちは高気密の感染防護服をきて出動し、汗だくで流行りの「整う」を通り越す毎日を過ごしていた。

その日も朝一の出動から帰ってきて、

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血

私は血の匂いが苦手だ。

普通なら場数を重ねるにつれ免疫が付く。人間は大概のことには慣れていくはずなのに。

しかし、私はこれまで数えきれないくらい見てきたはずなのに、今だに苦手なのだ。

その要因となったであろう事案を紹介しよう。

※嫌な予感がした方、右上の×ボタンを押し画面を閉じましょう。

出動指令「30代の娘が倒れている、多量出血あり。」

出動先 ○市○町5-6-7

今でも状況をはっ

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デス ヴォイス

デス ヴォイス

デス ヴォイスをご存知でしょうか?

デスヴォイスもしくはデスボイスとは、意識的、積極的に出す「ダミ声」「悪声」「がなり声」であり、主にデスメタル、ブラックメタル、グラインドコア、ゴシックメタル、メタルコア、ポストハードコア、スクリーモなどのジャンルで多用される発声技法[1]。強い怒りや悲しみなどの感情や、不気味さ、汚さ、痛みや苦しみなどを表現するために使われる。(Wikipedia)

私はメタ

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とある元旦の朝

とある元旦の朝

年末年始は本当にいろんなことが起きる。

新年を迎えられなかった人、新年を迎えたばかりだったのに...という人。

表に出てこないだけで、実際は色んなことが起こっている。タイミングを図ったかのように。

ある年の元旦の朝。

管轄の警察署から119通報だった。

護岸沿いにて、「釣り人から、焼死体があるとの通報で現場に向かっている。」との情報。

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出動指

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引出しから女児

引出しから女児

これはネコ型ロボットが未来からやってくるアニメの話ではない。

災害はいつもながら急に起きる。

この日も24時間勤務が終わる朝の指令だった。

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出動指令「3歳女児、タンスの下敷き」

出動先 〇市〇町678 △アパート204

災害場所は直ぐに分かった。

出動先のポイントが、当時住んでいた家の近くのアパートに落ちている。

母親は相当パニックを起

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飼い犬に〇された住人

飼い犬に〇された住人

12月になって男だらけの消防署も雰囲気が変わってきた。

仕事はいつも通りだけど、クリスマス、忘年会、そして年末年始が控えていて、やっぱり明るい雰囲気になる。

そんな中、一年を振り返ったとき思い出されるのが、時季外れの台風が襲来したときのことだ。

夏の終わり、台風が直撃してから数日後の事案だった。

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その台風は夕方から暴風域に入り、翌朝には通

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ネコを助けに行っただけなのに

ネコを助けに行っただけなのに

管理者からのお知らせ「この物件ではペットを飼ってはいけません。」

こんな当たり前のことが某県営住宅の掲示板に貼られている。

そのきっかけになったと思われる事案を紹介しよう。

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出動指令「動物救助、ネコが高所から降りられない。」

出動先 ○市〇町 △県営住宅

5階建ての県営住宅の3階に住む住人からの通報だった。
「猫がベランダから見える高木

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救急車内のすごい違和感

救急車内のすごい違和感

沖縄の長い夏も終わり肌寒くなった頃の出来事。

季節の変わり目は体調を崩す人が多い。小さい子供はなおさらである。

熱がでてケイレンを起こす事案は結構多いのだ。

ケイレンには、全身が突っ張たり、腕をバタバタさせたり、一か所を凝視したりと色々なパターンがある。
ただ共通しているのが、大概の母親がパニック状態で119番通報することである。

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出動指令「

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女湯と新米隊員

女湯と新米隊員

かれこれ10年以上前の初出勤の日。

消防学校で一通りのシゴキを終えて所属に戻った僕。

配属はリゾート地に近い海沿いの消防署だった。

初めは救急隊として勤務についたのだが、緊張から一睡もできず朝を迎えていた。

翌朝の7時頃に5件目の指令が鳴った。

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出動指令 「20代女性、転倒して頭部負傷」

出動

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事故は風化しても、消えないもの

事故は風化しても、消えないもの

救急隊は予想を超える場面に遭遇することがよくるが、経験を重ねるにつれて耐性ができる。

良くも悪くも人間は慣れるのである。

仕事柄、悲惨な現場を見ることが多いからこそ、自分の子供のが発熱や痙攣を起こしても動じることはない。

僕が不在のときに長女が痙攣を起こし、嫁さんが救急車を呼んだことがあった。

事後の報告を受けた僕が「慌てることは無かったと思うよ。」と言ったことに対して、冷徹人間のような扱

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スズメバチと戦う隊長

スズメバチと戦う隊長

消防署にハチ防護服という宇宙服のような服がある。

その名のとおり、ハチに刺されないように防護するための服なのだが、出番は滅多にない。

というのも、ハチ駆除は本来は消防の仕事ではないのだ。

普段は役所の担当課が駆除を行うのだが、土日祝など担当課が休みの時に我々が行くことがある。

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出動

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ゴミ屋敷の壁に

ゴミ屋敷の壁に

出動指令「50代男性、動けけない。」

出動先  ○市〇町1-2-3

「おいおい、またアイツだよ。」という後輩隊員の心の声が聞こえた。

そこには管内で有名なAという男が住んでいる。

僕がこの管内に異動してきた3年前から、Aは119番をするようになった。

Aは足が悪くて生活保護を受けているのだが、その足で酒を買いに行くこともできる、何とも不思議な生活を送っている。

そして、酒を飲んでは体調

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