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私が働く理由〜ご機嫌な私でいたいから〜

母は専業主婦、金融機関で働く父が大黒柱として5人家族を養う家庭で、不自由なく育った私は、学校から帰ると母がいつも家にいて、おかえりを言ってくれる安心感が大好きで、私も子供ができたら、仕事は辞めて家にいることになるんだろうなとふわっと考えていた。

そんな気持ちもあってか、就職氷河期に、なかなか就職先が決まらず、大学の研究室推薦で入社した会社に対してもどこかお気楽な感情があった。嫌になったらお嫁さんになって辞めればいいやと。

さらに、大人からはよく「社会はそんなに甘くないぞ」「社会人になったら学生時代よりよっぽど大変なんだから」といわれてきたので、”働くことは辛いこと”という覚悟を持って社会人となった。

最初に入社した地方に本社を置く建材メーカーの東京支社で、新商材の営業を担当した。入社時は、自分が運転する営業車で先輩と営業先を回ったり、建設中のビルで現場の実測をしたり、業界では有名な方や大手企業の方との商談に同席したり、とにかくそれはとても新鮮で、体験したことのない世界に足を踏み入れた感覚だった。

営業マンとして独り立ちしてからは、特殊な商材である担当商品を効率的に売っていくにはどうしたらいいか、トライ&エラーを繰り返して、受注を伸ばしていった。

飛び込み営業から、通ううちに関係性ができ、説明する時間をもらえるようになったり、商品を使ってもらえるようになっていく過程が楽しかった。

そう、社会人になって初めて知った、

働くは楽しい。

アルバイトとは全く違う世界だった。
一人前の大人として生きているような、社会の一員だと実感できるような、初めての感覚だった。

資格取得がきっかけで転職した会社では長く、フリーペーパーの編集に携わった。毎号のテーマ決めでは、読者目線やトレンドだけでなく、記事広告として営業しやすいかという視点も取り入れて企画を考えた。

その制作の過程や、発行された時の喜び、クライアントからの感謝、読者からの反応、

どれもうれしい。楽しい!のである。

編集社ともめることもあるし、クライアントからクレームを受けることもある。撮影が予定通り進まなかったり、刷り直しになったこともある。

働くは楽しいことばかりじゃない。

でもこの仕事が私にもたらしてくれているのは楽しい仕事、好きな仕事ができているという自信であり、安心感。そして何より1日の大半が楽しいのだから、心がご機嫌なのである。

そんな私も3人の子供を生み、そのたびに産休と育休をもらって復帰させてもらった。
とてもありがたいことなのだけど、育児との両立は大変な毎日でもある。

周囲からは「3人も子供がいて働くのは大変でしょ。」と言われた。でも、働くことを辞めたいと思ったことは、一度もない。
働くは、それくらい私の中に自然にあるもので、まさか辞めるなんて考えたこともなかった。

そんな私にも、転機があった。
長女が小学校に入学した年、甘く見ていた私に重くのしかかったのは、
疲れている娘に、家事や兄弟のお世話をこなしながら、宿題をさせるということ。

娘が通う学校内の公立学童では、お勉強タイムが決まっていて、そこでみんな宿題をするのだけど、
最後までちゃんとやっているか、内容があっているかまではみてもらえない。

娘の進みが遅ければ、家に持ち帰りである。
漢字練習や計算ドリルだけでなく、毎日必ず計算カードを3回ずつ繰り返しやるとか音読をやるとかプラスアルファあり、疲れてやる気のでない娘を何とかやる気にさせるというのが、本当に大変だった。毎日のように、娘と衝突することになり、このままではいけないという危険信号を自分の中に感じた。

仕事をするのは自分のため。娘は私が働いていることで、寝るまでの数時間でテキパキと
タスクをこなすことを強いられていると感じ、大切な家族ができた以上、私のエゴに巻き込むことはできないと思った。

結局、元同僚の誘いで時間の融通が利き、子育てと両立できる環境が整っている現在の会社に入社することとなった。3社目。ママになって初めての転職である。

紙とアナログの業界が長かったが、メディアもWEBや動画にとって代わられる時代となることは目に見えていたから、いい転機だと
半ば自分に言い聞かせてのWEB業界への転職となった。

実際に未経験で時短勤務ながら、広告やSNS運用、WEBメディアなどあらゆる業務を経験させてもらっている。知らないを知る、自ら学ぶことはとても楽しく、また発見も多く、新鮮だ。

そんな私も今ワーママ10年目を迎え、働き方を模索中である。

きっかけは2つ。
1つは、子供の成長はあっという間だと気づいたこと。
子供の成長の早さだけでなく、その時期なりのかわいさがあり、親の関わり方次第で子供の成長の仕方にまで影響を与えるということに気づいたとき、子供をゆったり見つめ、一緒の時間を楽しみたいと思うようになった。

もう1つは、40歳を目前にしてあと何年働くことができるだろう。と考えたことである。
あと少ししかないというより、まだまだ働く時間がある。ならば今まで蓋をしてきたやりたいことに素直になって、挑戦してみようかと考えている。
「本当はやってみたかったんだけどね」という人生じゃなくて、「やってみた」方に行きたいと思った。

働き方や働く理由は、ライフステージや年齢、環境によって華麗に姿を変えるものなのかもしれない。

断固として変えない、ブレない自分の軸のようなものではなくて、変えていいもの。

私だって、入社したての頃に働く理由と聞かれたら、収入のためとか、考えたこともありません〜と答えたかもしれない。
経験を重ね、ライフスタイルが変化する中で、今の働く理由がある。

”自分がご機嫌でいるため。”

それが大切な家族にも周囲にもすべての関わる人に、しあわせをもたらすと信じている。

ママが笑えば、子供はうれしい。
家族と楽しい時間を過ごせたら、ママもまた働くを肯定して楽しめる。

しあわせの無限ループ。

ぐちゃぐちゃ考えずに、心の赴くままに働くを楽しめたら、いいと思う。

人生の大半を過ごしているかもしれない働く時間が楽しければ、
人生は楽しい!!


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