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清潔感と天秤で釣り合うもの
モテアマスに住むことは、オススメしない。
特に女子。絶対にやめたほうがいい。
これだけは最初に言っておく。
モテアマスに住んでから1週間、(休日は実家に帰ったので5日間)
掃除したい欲、物をとにかく捨てたい欲に駆られ続けている。
ガラクタばかりのリビング。
いつからあるのか分からない冷蔵庫の中の調味料。
私が与えられたドミトリー部屋に置いてある誰かの私物。
どこかの隙間に物を落とすと、必ず埃も一緒についてくる。
便座のふたをあけると、茶色い物体が便器にこびりついている。
終電を逃して一泊泊まらせてもらうだけならまだ許せる。
でも、毎日この光景と共に暮らしていくと思うと、深いため息が出る。
「実家に帰りたい。」
今のところ毎朝毎晩思っている。
では、なぜそんなところに住んでいるのか。
清潔感のなさと天秤にかけて、ギリギリ釣り合ってしまうものがあるからだ。
それは、立地と安さ。そして人である。
モテアマスは三軒茶屋から徒歩5分。
光熱費・水道代・電気代込みでドミトリーは5万2000円、1人部屋は約7万円。しかも敷金礼金なしの即日入居可。
三軒茶屋でこの家賃と待遇の良さはなかなかない。絶対ありえない。
家の汚さに半分目をつむれば、都心に安く住める部屋が手に入るのだ。
ただそれだけでは汚さの天秤には釣り合わない。
ギリギリ天秤に釣り合うようになっている一番の要因は、「人」である。
清潔感に目をつむってまでモテアマスに住もうとしている人、訪ねてくる人、そもそもモテアマスを作り上げた人が「普通」なわけがない。
それぞれに謎の経歴があり、理解できない感性があり、面白い思考をもっている。
価値観の異なる人たちと共同生活を送ると、巡り巡って完璧でない自分を肯定できる。人生なんとかなるものだと自然に思えてくる。
モテアマスがもたらす最大に罪な誘惑である。
だから、今週も住んでしまうのだ。
インターン住民日記1。