「呪術廻戦」が第2の「鬼滅の刃」ではなく「東京喰種 トーキョーグール」にならないか不安な件。
「鬼滅」ブームが冷めやらぬ昨今、徐々にしかし着実に認知度を上げているジャンプ漫画がありますね。
そう「呪術廻戦」です。
近場の本屋に出かけたら全巻売り切れでした。
嬉しい気持ちと、正直信じられないという気持ちでいっぱいです。
1クール目のアニメのクオリティも非常によく、
五条先生の無下限のイケメン力のおかげで、新たなファン層も取り入れることに成功したようです。
コロナ自粛によるおうち時間が増えたこと、
鬼滅の刃によって漫画を手に取るという習慣が広くついたこと、
サブスク文化の浸透によってアニメが身近になったこと、
これによって今の状況は生み出されているように感じます。
そしてそれを不安に思う私がいます。
似たような持ち上げ方をされ、そして忘れさられた作品を思い出すからです。
「東京喰種 トーキョーグール」です。
呪術廻戦とは
まず呪術廻戦の面白さについてです。ネタバレありです。
不安だのなんだのと序文で書きましたが、間違いなく面白い作品です。それも現在進行形です。いままさに渋谷事変クライマックス、めちゃくちゃ面白い。毎週楽しみにしています。
連載中、もしかしてこれはヤバい作品なのでは?と思い始めたポイントは2つあります。
1つ目は京都姉妹校 交流会編、言わずもがな、あの男のせいです。マイベストフレンド。
東堂葵
階級:一級呪術師
身長と尻がデカい女がタイプです
とにもかくにも、こいつが出てきてから呪術廻戦から目が離せなくなりました。画面にいるだけで面白い。喋れば面白い。なのに強い、ゴリラなのに頭が良い。マイブラザー。
2つ目は、「突如脳内に溢れ出した、存在しない記憶」です。
連載時にこの展開を見た時には震えました。
これまでの漫画の展開がひっくり返る。主人公である虎杖を見る目が180度変わる衝撃でした。たったこれだけの一文で、この漫画の厚みがグッと増し、もう一度読み返したくなる。こういうのを伏線というのだと唸りました。
お兄ちゃんだぞ!
以上が、他の人にも読んでほしい、ここがヤバくて面白いんだよ!
と私がお勧めする時に伝えたい、2つのポイントでした。
他にもたくさんの魅力があります。
BLEACHの卍解にも似た、中二病をくすぐる必殺必中の「領域展開」というカッコいい必殺技。
ハンターハンターのボマーのような、術式の開示によって術式効果が底上げされるという設定。
BLEACHでは自分の能力をべらべらと喋るせいで負けるという失態がありましたが、それをうまく生かしています。
そしてNARUTOのカカシ先生のようなアイマスクを取ったらイケメンフェイスが現れる最強の男 五条先生。
そんな彼が繰り出す超絶かっこよくて強い領域展開「無量空処」。
哲学の世界の「アキレスと亀」を思わせる無下限の術式というちょっとややこしいけれど知的好奇心をくすぐる能力です。
過去の少年漫画のいいところを踏襲しながら、かなり容赦のないスピーディーな展開によって今もなお面白さを更新し続けています。
特に主人公虎杖君に対しては辛い展開が続きます
このように、自信をもって面白いと言える作品、呪術廻戦なんですが、
これはあくまで漫画をよく読む層、サブカル層に刺さる漫画だと感じていました。
決して全国で売り切れるような、ましてやメルカリで高額転売されるような作品にはなりえない、と失礼ながら思っていました。
しかしそれは現実となっているようです。
これからどうなってしまうのか、あまりいいイメージは湧きません。
なぜなら、
「東京喰種 トーキョーグール」です。
東京喰種の顛末
「東京喰種 トーキョーグール」は、週刊ヤングジャンプにて2011年から2018年まで連載された石田スイ氏によるダークファンタジー作品です。
これもめちゃくちゃ面白い作品のひとつでした。主人公カネキくんがひどい目に遭い、毎週続きが気になって木曜日が楽しみでした。
特に白カネキになるあたりの展開は、今までに見たことのない容赦のない描写に震え、これはやべえ!と興奮したものです。
もちろんアニメ化も楽しみでした。
アニメ1期は普通に面白く、カネキ君コスプレなど流行りました。
しかしなんだかよく分からなくなってきたのが、突然の原作終了と、アニメ2期にあたる√A(ルートA)あたりからです。オリジナルといいながら最終話の着地点は同じでした。なら原作通りやっていればよかったのに。
数か月後に「東京喰種トーキョーグール:re」と名を変え連載再開。
亜門さん関係など煮え切らない展開が続き、しまいにはカネキ君の発狂芸とまで言われてしまっていました。作画はどんどんとはっきりとしない抽象的な線の描写が増え、見たかったものが見れない、ずっとそんな風に思っていたら連載は終了しました。
そして実写映画も作られました。
1作目はかなり良く作られていたように感じます。
しかしトーカちゃん役関連でいろいろあり、完結後に余計なミソがついてしまった記憶があります。
アニメ化前後では、東京喰種はヤングジャンプをひっぱる看板漫画となり、かなりメディアでも取り沙汰され盛り上げられていました。
そんな大人気漫画の顛末が、
アニメ2期、オリジナル原作で迷走
実写映画、配役問題でゴタゴタ
仕事が多すぎて原作者が疲弊
というのはあまりにも悲しい。
原作ファンとしては、人気になるのはうれしい。でもアニメや映画など、漫画原作とは違うところの影響で、漫画自体がボロボロになってしまったことが悔しかったんです。
これが、書店で売り切れになった呪術廻戦を見た時に感じた私の不安です。
鬼滅の刃を人気絶頂300億を迎える前に終わらせたのは、英断だったと思います。
呪術廻戦の明日はどっちだ
さて、呪術廻戦は今、渋谷事変クライマックス。黒幕の正体が見え隠れし、高専側も呪霊側も、双方ともにダメージは深く、虎杖君はかなり厳しい状況に置かれています。もう高専側には戻れない可能性もあります。
この話がひと段落すると、場面変わってゼロ巻の主人公、特級呪術師の一人の乙骨先輩エピソードに移り変わるなんてこともあるかもしれません。
まだ本編に多くの謎は残っており、これからもっと面白くなると確信しています。
そしてアニメ第2クールには、マイベストフレンド東堂の登場と、五条先生の2度目の見せ場ムラサキが待っています。まだまだ盛り上がっていくでしょう。
金儲けと本編のクオリティどちらが大事なのか、サラリーマンとクリエイターの狭間で揺れ動く、みたいな葛藤もあるのでしょうか。
後生ですから、大衆向けにマイルドになる、マスメディアのせいで潰される、なんて未来がないことを祈ります。
以上