見出し画像

『かつしか、夜のゆめ』創作ノート 前編

今週末の24日の日曜日に、第33回かつしか演劇祭にて、モスクワカヌ脚本『かつしか、夜のゆめ』が上演されます。
出演者は全員、小学生から高校生までの子供たち。舞台に立つだけでなく、小道具作りや広報等も出演者が中心で、それこそ劇団のように、「皆で一つの公演をつくる」ということを大事に、稽古に励まれています。

稽古見学にも行きましたが、皆で声をかけ合ったり助け合ったりしながら頑張ってらして、その様子がめっちゃキラキラして見えました。

真剣な稽古場の様子


宣伝動画がTikTokなのに時代を感じるアラフォー…。私の小学生の頃とかポケベルでしたよ、ポケベル…!広末涼子がCMしてましたよ。
インタビュイーも動画の編集も子供たちです。すごい。
※こちらのインスタアカウントから宣伝動画などを視聴できます。

『かつしか、夜の夢』は、本作の演出で、私も劇団劇作家や劇作家女子会。の舞台で何度もお世話になったベテラン俳優であり、気のいい兄さんのような方でもある西村純さんにお声がけをいただいて書きおろした新作です。
これまで高校演劇の脚本は何度か書かせていただいたのですが、小中学生の子供たちが出演者になる脚本はほとんど書いたことがなかったので、素敵な機会をいただけたなと思っています。

いよいよ24日に本番を迎えるのですが、今週末の上演前に、創作ノートなど書いてみました。
観劇前でも観劇後でも、よろしければ作品とあわせて楽しんでもらえたら幸いです。

①脚本を書く前に

さて、脚本をお引き受けするにあたっていただいたリクエストは、「葛飾区を題材に」ということ。
上演団体も葛飾区に根付いた活動をしており、参加する子供たちも葛飾区に住んでいる子が多いので、「自分が住んでいる町や人を好きになるきっかけになれば」という思いがこめられたリクエストです。
その思いにこたえる脚本を書くには、まずは葛飾の街を知らなくては…と、葛飾区の歴史や沿革をざっくり調べ、かつ執筆にはいる前のとある日に、実際に葛飾の街を一人で歩きまわる日をつくりました。

葛飾区。恥ずかしながら、某派出所漫画で有名な街、くらいの知識しか持ち合わせていなかった私。
その漫画に出てくることで有名な亀有駅におりると、さっそくその漫画のキャラクターの銅像がお出迎えしてくれます。
物語が、現実に生きる人々の生活にしっかり溶け込んでいるのだなと、物書きの端くれとしては嬉しくなる気持ちです。
さて、駅に降りたったはいいものの、葛飾区を歩こう、とだけ決めていて、その他はノープラン。
脚本もほぼプロットをたてずに書く派なのですが、取材もその日のフィーリングで、という気持ちでした。よく言えば自由、悪く言うと無計画。
ですが亀有には、駅からすぐ近くに亀有香取神社という有名な神社がある、ということは知っていましたので、まずはそこに行ってみようと歩き出します。

亀有香取神社の狛亀さん

駅から本当にすぐ近く。徒歩5分くらいの場所にある亀有香取神社。
敷地が広くて、同じ敷地のなかには道祖神神社という小ぶりな神社もあります。
そして、鳥居の前には狛犬ならぬ、狛亀。全国的にも珍しいこの狛亀も、亀有香取神社の特色だそうです。確かに、私も色んな神社に行ったことがありますが、狛亀は初めて。
神社を守る役割があるので、亀、というには強そうですが、どことなくユーモラスさもあり、気になる存在です。

本殿への道

亀有香取神社の本殿にて、「今度葛飾区のことを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。」とお参りとご挨拶。
亀有香取神社と同じ敷地内の道祖神社にも、同じようにお参りします。

道祖神社

隣にはキャプテン翼の絵馬かけや両津勘吉の銅像もあって、それらと比べるとちょっと地味ですが、古くからこの場所にありつづけている神社の貫禄というか、自負みたいなものを感じます。
(狛犬も狛亀もいないけれど、この小さな神社にも、神社を守るなにかがいるのかもしれないな)
ふと、そんな想像をしました。

なんとなく、その場で葛飾区にある神社を検索してみたところ、ここから歩いて行ける距離に、いくつか神社があります。
(この神社をめぐってみようか)
ふとそう思いました。言葉にしづらいのですが、予感がします。

物語の書き初めには、書く人や時期によって色んなスタイルがあると思うのですが、自分には時々、「物語のしっぽ」が目の前をチラチラするような、井戸水のために土を掘っていて水の匂いに気が付くような、そういうところから本を書き始められる時があります。
これまでの経験上、そんな時は、そのはっきりとつかめないしっぽや匂いを追いかけてみるべし。
形を決めずに始めてみたところから見えるものもある…ということで、突然の葛飾区神社巡りがスタートです。
(後編に続く)

◼️公演情報
第33回かつしか演劇祭
Stage Project IRISe
『かつしか、夜のゆめ』
作:モスクワカヌ
演出:西村純
制作:伴あさみ(未来教育劇団ここたね)

▼日時と場所
11/24(日)  17:50~18:35@かめありリリオホール
※上演時間約45分
※入場無料

▼出演者
中野結梨
佐々木もも
金澤杏佳
川島史子
佐々木さくら
林陽菜
伊藤虹花
笹村心鈴
奥村心
渡辺優空

▼あらすじ
葛飾区に住む高校生あきらは、亀有香取神社でのお祭りの夜、あるお願いごとをしたことをきっかけに、神社の付喪神や稲荷達と出会い、かつての親友や大切な思い出とも出会いなおしていく。葛飾を舞台にした、一夜の夢のような物語。

いいなと思ったら応援しよう!

モスクワカヌ/mosukuwakanu
応援・サポート、いつもありがとうございます。 気持や生活、いろいろ助かります。 サポートを頂いた方宛てに、御礼に私の推し名言をメッセージ中です。 これからも応援どうぞよろしくお願いします。