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【月刊noo】【8月号】
《月刊noo 2024.8月号 目次》
・ごあいさつ ~はじめに~
・ソ連邦のおもひでエッセイ:『のっぽのタチアナ』その2
・再掲BLOG:あなたの「死にたい」はどこから?私は頭痛から(涙)!(2015/11/5の記事の再掲です)
ごあいさつ ~はじめに~
夏…暑かったですよね。なんなら暦的には残暑の今もまだまだ暑いですよね。
夏のアクティビティといえば海に山にプールにお祭り、なんてイメージですが、近年は日中外にいるのがもはや危険なレベルの暑さ。
日本もイタリアみたいにシェスタ、午後のお昼寝の時間を公的にもうけてもいいと思います。
かくいう私もバテバテです。
でも、夏の終わりは嫌いじゃない。少しずつ建物の影の色が薄くなって、ひぐらしの鳴く夕暮れに、夜に秋の虫の声がして、景色の色が淡くなっていく。
暑さに気をとられがちですが、そんな季節の変わり目、あわいの季節の繊細さも味わっていけたらと思います。
ソ連邦のおもひでエッセイ:『のっぽのタチアナ』その2
私たち家族がソ連邦のモスクワに住んでいたころ、歴史の教科書にのりそうな大きな出来事は主に2つあった。
一つはソ連邦崩壊。もう一つは、その後に起こった軍事クーデターである。
ソ連邦崩壊やクーデターの頃の我が家の生活については、また詳しく書く機会を設けたい。
今回はまだ、私たちの家にハウスメイドとして通ってくれていた、のっぽのタチアナの話だ。
さて、皿を洗わせればいつもどこかベタベタで、作るカレーは水っぽく、全体的に雑だが陽気で親切だったタチアナは、クーデターの時期も我が家に通ってきてくれていた。
モスクワ市内が内戦状態となり、戦車がでたり銃撃戦が起きて、学校もお休みになっていた時期だ。
流れ弾の危険があるとのことで、窓からベットを離して、窓側に足を向けて寝るようにと大使館から各家庭に通達され、不要不急の外出どころか必要な買い出しさえ命の危機と隣り合わせの私達は戒厳令下にいるようなものだった。
父も大使館に詰めていて、なかなか帰ってこられない。時折りパラパラと市内のどこかから銃撃の音が聞こえてくる家の中で小さい子供2人をかかえてた母のストレスは相当だったと思う。
そんななかでタチアナは、いつものような家事と、食料や日用品の買い出しと、学校が休校になってヒマしてる私達の遊び相手をしに、地下鉄と徒歩で変わらず我が家に通ってきてくれていた。
一度、タチアナの帰りが遅く夜になってしまった時に、母はタチアナにタクシー代を渡そうとした。
市内で銃撃戦が散発している時に、夜遅く地下鉄駅まで歩かせるのは危なかろうという親切心でのことだったが、タチアナは受け取らなかった。
「マダム、ここは私達の街だから大丈夫だ」
雇い主がタクシー代をくれるというのだから、それをもらってタクシーで帰っても全然よかったし、タクシー代を受け取って地下鉄で帰り、もらったぶんを浮かせることだって出来たはずだ。
だけど気が良くて正直もののタチアナはどちらもせず、クーデター中の夜のモスクワを帰って行き、その後も我が家に通い続けてくれた。
母も、何度言っても洗ったお皿がベタベタしていても、タチアナのそういうところを信頼して、クビにしなかったのだと思う。
軍事クーデター中の、人気のない、日本の首都のようには明るくない夜のモスクワを、カツカツとヒールの靴で歩いている長身のタチアナを想像する。彼女は陽気でいい加減な、まったく普通の平均的なロシア人の中年女性だったけれど、母に聞いたそのエピソードは、特別にかっこいいと思っている。
再掲BLOG:あなたの「死にたい」はどこから?私は頭痛から(涙)!
※このblogは2015年に書いた記事の再掲です。台風と季節の変わり目で、頭痛に苦しんでいる友人知人が多いので、世の中の頭痛もちにエールをこめて再掲します。
皆様、こんにちは。
発熱と偏頭痛のダブルパンチ☆で、つい昨日まで軽率に「電車にGO!」したい気持ちでいっぱいだったモスクワカヌです。
今この頭痛から逃れるために頭をカチ割ってしまいたい。
という本末転倒なことが、体調のよくない時にはわりと本気で切実だったりします。
私はたびたびこのBLOGでも告白していますが、小太りのわりに病弱で、季節の変わり目、激しい寒暖差、忙しさでの体力低下やストレス、その全てでわりと簡単に体調を崩し、しかも体調を崩すと半分くらいの確率で偏頭痛がおこります。
この偏頭痛が曲者で、少しくらいの発熱なら「推して参る!」と強気にでれる私も、偏頭痛には「参りました!」と、両手と白旗をあげて降参するしかありません。
とにかく頭痛がくると、ひたすらにイタイ。
私は過去2回、交通事故で右即頭部の同じ場所を強打しており、その後遺症なのか偏頭痛も同じ場所から発生しているのですが、もう「何か生まれるのでは」というくらい痛む。
ブッダは母親の脇から生まれたそうですが、たとえ聖人の母になれるとしてもお断りしたい痛みです。
痛みは頭のみならず、右半身をシビレで覆い尽くし、しまいにはキーンという耳鳴りさえ聞こえてくる始末。1番ひどい時にはそこに嘔吐も加わって、まさに地獄の全身運動。
自分の呼吸すら響くし、うっかり咳でもしようものなら「ちょっと誰か私のコメカミで丑の刻参りやってない」と問いただしたくなる、釘を打たれるような鋭い痛み。
薬もきかないし、体力は落ちるし、絶え間ない痛みでメンタルもやられるしで、惰弱な私はすぐ「痛い死にたい」という気になります。
とにかく頭がいたい間は痛みに終わりが見えないし、痛みと連動して過去の辛い記憶やその時々の感情がフラッシュバックしてくるし、一人暮らしだと「痛い!なんとかして!」って泣きついたり八つ当たりする相手もいない。(するなって話しだけど)
メンタルが絹豆腐のごとくか弱い私はそんな自分をすぐ哀れんでしまうので、簡単に「そうだ、あの世行こう」
って、なるのですが、偏頭痛時にやってくるこの「死にたい」という気持ち、今はたとえ頭痛で脳髄が弾け飛びそうな最中であっても、「その死にたいは、ただの気分」と、黒マッキーのゴシック体太字レイアウトで、肝に銘じています。
体調のよくない時は、色々考えているように思えてマトモなことは何一つ考えられていないのに、「体の痛み」がそのマトモでない考えにある種の切実さを与えてしまうから、状態としてとってもよくない感じになる。
私は常々、この世で一番信用ならないのは自分自身だとは思っていますが(物忘れ、覚え違い、低スキルの三拍子のため、私が「こう」だと思うことはたいてい間違っている!)、体調不良の時の自分はそれに輪を100個くらいかけて信用ならない。
「親が自己申告してくる昔の成績、殺人現場で止まった時計、戦争が終わったら結婚すると言う男」と「体調のよくない時の死にたい」の信頼度はイコールです。
体調不良とは即ちゲームにおける「ステータス異常」と同じことなので、異常のまま考えたり実行したりすることにろくなことはありません。パーティーの仲間を攻撃(風邪菌を拡散)するか、自分で自分に攻撃(体調悪化)してライフを削り、最悪HPを0にするかです。
大人しく町の宿屋で休むか、医者に「エスナ」をかけてもらうか、時間がたって状態異常から回復するのを待つのが一番ですが、こと現実世界となると、やれ「仕事がー」やら「付き合いがー」やらで、状態異常のままMAPならぬリアル世界を歩き回って、自分で自分のダメージを大きくしてしまいがち。
日本の自殺率が半端ないと話題ですが、ステータス異常にかかった時にちゃんと休めない、休まないことも一因のような気が。
頭痛に悩まされて毎度「死にたい」となっている自分のために、熱をだして咳き込みながら「体は痛いし医者にかかる金はないし1人だし死にたい・・・」と思っているどこかの誰かのために、世界の真ん中で叫びたい。
その「死にたい」は、ただの気分だー!!!
たとえどれだけ本当らしくても、体調不良時=ステータス異常時の「死にたい」は気分本気じゃない。
「死にたい」と思ったら、まず全方位に不義理を働き全ての予定を3日分くらいはキャンセル
目覚ましなしで思う存分寝る。
食欲でたら美味しいものを食べる。
ゆっくりお風呂に浸かる。
その後あらためて自分に「死にたい」と問いかけてみるまでは、たとえ自分の感情がどれだけ「I can fly!」で盛り上がってても、飛ぶな吊るな駅には行くな、です。
体調が悪い時って、とにかく痛みから解放されたい「病んでる部分に侵された肉体の自分」と、軽率な行動をとられたくない「病んでない部分の自分」の攻防がすごい。
現実の体は布団のなかで唸る肉塊と化しているのですが、その内側では天界大戦争くらいの戦いが起こっている・・・。
なので今書いてることは全部、偏頭痛時の自分に言い聞かせていることです。
頭痛との戦いは孤独ですが、でもきっと、似たような戦いを戦っている方はいるはず。
皆さん、自分の体調不良に騙されてうっかり死なないように、お互い頑張りましょう(涙)
だって、気分で死んでしまうなんて、もったいないじゃないですか。
どうせ死ぬなら、気概をもって死ぬべきです。
それにほら、頭痛が去って朝が来て、その日が晴れだったりしたら、もうそれだけで「人生って素晴らしい」って気分になります。
そんなこんなで、今病み上がりの私はとっても幸せ。
すぐに忘れてしまうけど、多分本当は、1日どこも痛くなく過ごせるだけでよいのです。
どこも痛くない自分、サイコー!
今回もヘビーな戦いでしたが、やっぱり死ななくてよかったと思います。
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