(物語・小説)蝉と私 ~ 外を歩けば ~
とある夏の日。締め切った窓とカーテンの隙間から木漏れ日が差し込み、騒々しい蝉の鳴き声が響 いている。そんな中、私はいつもの物思いに耽っていた。
春夏秋冬、いつだって同じ事の繰り返しだ。 今は夏。ただ、それだけ。平穏で変わらない毎日を、この小さな部屋でやり過ごし。この生が終わりを迎えるまで、心穏やかに閉じこもっていたい。
そんな私の内面と外の世界の境界線。それを担う窓ガラスに、一匹の蝉がとまったようだ。
なぜ、この蝉は泣くのだろう。あまりにも短い命が、彼を悲しませるのだ