令和のクリスタルチェイサー感想 後篇 ~ジェネレーションギャップ~
たらばたえこです。
たまにゲームをやる普通のオタク、年齢は20代後半、インターネット中年です。
2021年11月~2022年1月にかけて、30年前…1991年発売の「クリスタルチェイサー~天空の魔晶球」というゲームを実況プレイしました。(完結済み)
ということで、この文章はクリスタルチェイサーの感想記事です。
なお、プレイきっかけを綴った前篇はコチラです。
【テキスト】
元ネタについて
前記事の通り、メイン目的であったテキストは全般的に好みで、つくづくこのためにプレイして良かったな~と思えました。
特に「語り手」が存在している構造そのものが好きなのかもしれません。
単語レベルで記載しているとキリが無いのでやめますが冒頭の「ヒーローショーに登場するヒーローの名前がSUKE6」(※歌舞伎の助六が元ネタ)というところからして好みでした。
とはいえ、これが面白いと思えるのは歌舞伎の演目「助六」の存在を知っていたからなんですよね。まだ古典が元ネタだとほんの少しは分かるものもあったのですが、正直元ネタ拾い切れないなあというのが率直な感想でした。
(30年前のゲームを誰の紹介もなく、脈絡なくプレイする私が悪い)
(当時PC-9800を所有していたターゲット層のイメージがゼロ)
お気に入りフレーズは第六話「夜の迷宮」より
のところです。
私はケレン味といいますか、いわゆる「お芝居がかったセリフ」が好きなので、具体的な元ネタがあるのか無いのかは分かっていないですがこれが好きでした。普通に天丼ギャグネタとしても面白かったです。
逆に第四話の森の中で、「ぶきはもっているだけじゃやくにたたないよ」などとドラクエ(または初期のデジタルRPGゲーム)のセリフを言ってくる「しあわせ鳥」が出てくるところは全く文脈が分からず、恐らくギャグ表現だったと思うのですが、完全に恐怖感しか感じませんでした。
読めない漢字について
人名や地名などの固有名詞に振り仮名があったり無かったりで、ものによっては正しい読み方が分からないのがちょっと残念でした。説明書とかには書いてあったりしたんですかねえ。
現代の発想だと思いますが、ゲーム内で用語集などあれば嬉しかったなと思いました。
分からなかったネタについて
前述の通り、拾い切れなかったネタが多かったのですが特に印象に残ったのは「8時半の女」(「8時半の男」が元ネタ)です。
後述しますがシナリオ全体通して、凄く良い意味で色褪せない物語だなという感想を抱いたので、余計にギャグと時事ネタの期限というものをしみじみ感じました。
私もどんどん時代の最先端の笑いのセンスについていけなくなるんだろうなあ…と最近とみに感じます。
(中川家の時代警察が好きです)
【シナリオ】
普遍的な良さ
正直なところ完全にテキストのみが目当てのプレイだったので、失礼ながらストーリーとしては悪い意味ではなく期待値がゼロでした。
そんな中で、きちんとした世界観、やりたいことを詰め込んだ、言いたいことを言い切った感など、総じて凄く良かったなと思いました。
テーマは個人的には「盛者必衰の理」と「強欲」を諫める倫理観の話だったかなと感じており、これはギャグと違って時代や世代問わず汎用的に薦められる良さがあるなと思いました。
一方で、個々の話の面白さが独立してしまっていて、連続性という意味ではあまりまとまりが良くなかったという印象もありました。
強いて言うならば、もう少しゲームの目的と全体像の匂わせがあると嬉しかったなという感じです。
たまに何で旅に出てるのかわからなくなったので…(そのための目的ガイドの「日記」なのでしょうけれども)
スターシステムがあったということを後から知ったりしたので、この辺は私の読解力・理解力・教養不足ですね。
球の正体のどんでん返しのギミックは良かったし、エンディングへの入りで「くそ…うまくまとめやがって……」と良い意味で悔しくなったので、総じて楽しめました。
要素として気になった点
鷹之進くん15歳、野苺ちゃん14歳という主役2人の年齢設定と、
ストーリーにおいての子宮と初潮の取り扱い方が印象的でした。ちょっと安易に引き合いに出すのが怖いのですがエヴァのアスカとか、「14歳」は少年少女を描くにあたりやはり永遠のテーマだよなあ、と思いました。
具体例が直ぐ浮かぶわけでは無いですが、和風ホラージャンルとかでも所謂穢れ概念とかと一緒に題材になる要素な気がします。
逆に言うと、野苺の初潮要素以外に2人が14~15歳である気があまりしませんでした。最後の恋愛要素について、若干とってつけた感がありました。
確かに愛ではあったけどね……?って感じというか…
この世界では成人年齢が低めなんでしょうか。元服イメージと言われれば、なんとなく納得感はあります。
恋愛というにしては、あまりにも家族愛寄りだったという感想です。
15歳にしては鷹之進がしっかりしすぎていて、ちょっと切なくなりました。
(最近、鬼滅を履修したのですが炭治郎くんを見ていた時の感覚に近い…)
物語の時代背景が江戸~昭和という感じだったので、これもまた私が感覚的に分からないというのもあるのでしょう。
鷹之進くんのお母さんはどんな人だったのかな…豪哲さんとの馴れ初めはお見合いだろうか…なんて気になったりもしました。
この世界観でもっと色々お話が見たい、文化背景を知りたいなと思いました。
【システム】
ADVというジャンルをレトロゲーム紹介動画以外で始めてちゃんとプレイした気がします。
超難易度の歌合戦含めて総当たりになってしまうところもあったが、頑張ればできる範囲内だったのでプレイストレスは総じて低め。
バッドエンド分岐はあるものの「時間が巻き戻るだけ」という救済があり、取返しがつかない要素が無いのはかなり親切。
UIも親切で分かりやすく、プレイしやすかったです。
他の要素を邪魔しない・迷わせない感があり、完成度高く感じました。
ゲームのプログラム・システム的なギミックは総じて全部よかったな…という感想です。日記読ませるとことか、最後のエンディングへの移り変わり部分とか、何回か調べるとセリフが変わるところとか、そういった細かいシステム面での作り込みが丁寧で、すごく好みでした。
【サウンド】
思った以上になりダンを思い出しました。
具体的にはオアシスとか、頼まれごとクリアの時のSEとか、戦闘シーンとか…特に効果音の「ピコキューン↑」が好きでした。
【グラフィック】
何よりキャラが全員可愛かったです。
背景画像も世界観の雰囲気を良く表していて好きでした。
絵柄として温かみがあるというか、SFなストーリーにメルヘンファンシー風のパステルな色使い、絵本的な見た目がすごく全体に合っていたなと思いました。
あと戦闘シーンなど、キャラクターの動きが細かくて良かったです。脈絡なく回転し始めた時はどうしようかと思ったけど
【総評】
オススメ度合
色々書きましたが、総じて楽しめましたし、プレイして良かったなと思うほどにはエンタメとして面白く、満足感がありました。
ただし、友人にオススメするかどうか、と言われるとちょっと同年代には勧めにくいかな…と思いました。
職場(IT企業)の40代くらいのエンジニア歴を持つ皆さんには自信を持ってオススメできるなという感じです。
(諸々無理なのは分かってはいますが、布教しやすい形、例えばCDとかSteamで渡せたらいいんだけどなー…と思います)
ゲームジャンルとして
選択肢のギミックとか、行き先選択のワクワク感にはゲームブック〜TRPGのようなアナログ的なものを思わせる良さを感じました。
近年単に趣味の話として「ゲーム好き」「ゲーマー」と言っても、ゲームジャンルやプレイスタイルがとにかく沢山あって、ゲームのどう言う要素が好きなのかで全然話が合わなかったりするじゃないですか。
(特に私はPvP苦手、格ゲーが一番苦手というタイプなので、FPS系の話が全く分からない)
そんな中で、今まで何となく好きなジャンルとして認識していた「ADV」というジャンルとシステムの理解が少し深まったことが一番良かったなと思ったポイントです。
その他、今回の実況プレイの影響で最近は、「書き手」と「語り手さん」の概念について想いを馳せるなどしています。
(例えばワトソンとホームズとコナンドイルの関係性のような意味で)
自分のゲーム創作について
改めて、私は悪い意味で「プレイしてもらうためにゲーム作ってる」のではなくて「システム」概念が好きだから「ゲーム創作」という概念を捏ね繰り回して楽しんでいるだけなんだなと分かりました。
全然分かってもらえたこと無いので敢えてインターネット上に書きますが、
私はデジタルアナログ問わず「仕組み」という意味での「システム」概念が本当に好きで、何なら感謝すらしていて、そこに別の好き概念である「エンタメ(遊び)」が絡んだ「ゲームシステム」というものに憧れとロマンを感じ、興奮を禁じ得ないのです。
(まあ統計と数学を解していないので本当の意味では楽しめていないのでしょうけれども)
最近の趣味としては娯楽の殿堂であるところのパチンコと曲作りがマイブームなのでゲーム製作を保留していますが、ひと段落ついたらまた再開しようと思ってはいます。
ゲーム作りって本当に果てしないのでどこかに締め切りを作りたいのですが、なかなか自分的にしっくりくる発表の場(即売会やコンテストやプラットフォームやコミュニティ)が見つからないんですよねえ…