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リアル魔窟!「重慶大厦(チョンキンマンション)」のゲストハウスに泊まってみた

2019年3月に香港を訪れてから、ずっと泊まってみたかった重慶大厦。今はなき九龍城砦を思わせるカオスな香りが漂っている。香港人の友人曰く「重慶大厦に行かないと香港人じゃない」という言葉があるそうだ(不到长城非好汉みたいだ)。今回はそんな重慶大厦の一室に泊まってみた潜入レポートである。


重慶大厦とは

重慶大厦は1961年に完成したビルである。九龍地域で一番賑やかな尖沙咀に建っており、尖沙咀駅からすぐの場所にある。香港島行きフェリー乗り場もすぐ側にあるので、非常に便利な場所にある。「大厦=マンション」の名の通り元々は住居として建てられたのだが、現在は繁華街の中心にありながらも多くの安宿・ゲストハウスがあるためバックパッカーの間で有名な建物となっている。昔は今よりも混沌を極めておりドラッグ・売春・殺人の巣窟だったそうだが、今は警察の立ち入りなども定期的に行われ治安が維持されている。

重慶大厦周辺を歩けば分かるが、重慶大厦内の店・宿は印僑が経営しており多くの印僑がここに住んでいる。近くに九龍新真寺(モスク)があるからか、ムスリム系の印僑が多いように感じた。また、アフリカ系の移民も多く住んでおり、広東語の飛び交う香港ではあるがここでの共通語は英語である。香港在住の香港人の友人Qちゃんは「香港のデモがあってから、みんな香港に住むマイノリティを応援するようになった。重慶大厦に住む印僑もマイノリティー。だから彼らを応援するために、今若者の間で重慶大厦が人気になっているんだよ」と教えてくれた。

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重慶大厦はA〜E棟の5つに分かれており、16〜17階建ての建物だ。各棟にエレベーターがあり、奇数階・偶数階しか止まらないエレベーターがそれぞれ1つずつある。初めて訪れた人はちょっと混乱してしまうだろう。防犯のためにエレベーター内の様子がモニターに映されている。


重慶大厦の中

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入り口の両脇には両替屋があり、奥に進んでいくと飲食店、電器屋などが開いており非常に活気がある。「活気がある」とは言ってもアングラ感が漂っているのは否めない。初めて訪れる人は少し怖いと思ってしまうかもしれない。慣れたら過ごしやすい場所である。

両替屋はいっぱいあるのでレートのいいところで両替するべきだ。有名な話だが、入り口付近の両替屋はレートが悪い!今回私が調査したところ、ある両替屋は1香港ドル=0.067円だったのに対し一番レートの良い両替屋は1香港ドル=0.0725円だった。同じ重慶大厦内の両替屋でご飯1食分くらいの金額差があるのだ。重慶大厦の両替屋はレートがいいことで有名だが、ちゃんと1階だけでなく2階の両替屋も周って比較してから両替するのをオススメする。


重慶大厦で宿を探す

重慶大厦に泊まる方法として、①booking.comなどであらかじめ予約、②現地に行って自分で探す、③重慶大厦前にいる印僑の客引きに紹介してもらう、などがある。

旅行に行く前にホテルは押さえておくのが普通(?)だと思うが、今回私はバックパッカーらしく(すぐこういうことをしたくなる病気なのだ)現地に行ってから宿を探すことにした。

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大きなカバンを持ってホテル一覧のプレートを眺めていたら100%客引きのお兄さんたちに声をかけられる。私は2人の客引きに付いて行って部屋を見せてもらったが、あまり魅力的に感じず断った。

結局booking.comで「重慶大厦で一番良い宿です!」とコメントの付いていたDay And Night Hotel(D棟10階)まで足を運んで泊まることにした。


Day And Night Hotel(D棟10階)

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D棟10階までエレベーターで上がり、受付へ。受付はハキハキとした感じの良い印僑のお母さんがしてくれた。「4泊5日なんですけど部屋ありますか?」と聞くと「そんなに泊まるの?!」と言われ、鍵のデポジット込みで500ドルでいいならと告げられた。

1日あたり約1750円だ。ドライヤーも無料貸出(重慶大厦内の宿の多くが貸出料を取る)、温水シャワーあり(他の宿はなかったりする)、24時間出入りOK(24時間と謳っているだけの宿もある)、テレビあり、暖かい飲み物無料でこの値段ならいいだろうと思いここに泊まることにした。

内装

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香港あるあるなのが「部屋が狭い」こと。この部屋も1人で泊まるのが精一杯の狭さだ。booking.comだとすごい綺麗な部屋の写真が掲載されていたが、全然違う部屋に通されるので期待してはいけない。

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温水も出るし断水もないので水回りは良い。排水もちゃんとしている。水圧はちょっと弱いがマシな方だと思う。

このほかにテレビ、冷蔵庫、冷房、ドライヤー、扇風機、金庫が備え付けられていた。今まで泊まったゲストハウスの中では最高レベルなので個人的には満足だが、シャワーするとトイレも濡れるとかゴキブリがいるとか寝具類に洗濯の形跡がないとか、そういうことが気になる人にはオススメできない。

部屋の外

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ホテルの部屋への道の入り口にはオートロックが付いており、ルームキー付属のカードをかざして入る。夜は真っ暗すぎて怖い。壁・ドアが薄いので他の宿泊客が電話している声も全部丸聞こえだ。また、あらぬ方向から水の音や足音がしてくるので怖い。だが4泊もしていたら段々慣れてきて、最後のほうはテレビつけてゴロゴロしていたし、生活音が聞こえるのもまた一興などと思って過ごしていた。もし泊まろうという人の中でお化け屋敷が苦手な人は暗くなる前に帰ろう。

まとめ

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4泊した感想は「住めば都」だ。「魔窟」「悪の巣窟」「現代版九龍城砦」などと呼ばれる重慶大厦だが、気をつければ女性1人でも問題なく過ごせる場所だと思う。ただの古いビルである。重慶大厦に住んでいる人もたくさんいる。彼らだって安全に暮らしたいはずだろうから、最低限の治安維持には努めているのではないかと思う。

香港のホテルに泊まろうとしたら安いところでも約3000円ぐらいはするが、ここ重慶大厦なら1000円前後で泊まれる宿もたくさんあるので「安く泊まりたい」「話のタネが欲しい」と思う方は是非泊まってみてほしい。


(おまけ)重慶大厦のグルメ「カレー」

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先ほど述べたように重慶大厦は多くの印僑が住んでいる。ハラール食、カレー、ビリヤニ、印僑のオンパレードなので、もはや重慶大厦はインドなのじゃないかと思い始める。「ここはインド、ここはインド…」と言いながら歩くと怖さが半減するのでブツブツ言いながら歩くと良いかもしれない。

挨拶程度なら大丈夫だが、ここにいる印僑のお兄さんたちと話し込むと連絡先を要求されることもしばしば。5歳の時から香港に住んでいるという印僑のお兄さんに「連絡先ちょうだい」と言われて「嗚呼、彼もまたインド人也…」と思った。基本的にはみんな優しいので大丈夫だ。

当然のことながらカレー屋さんも多く存在しており、有名なカレー屋さんは香港人でいっぱいだ。今回は一番人気(?)の咖哩王にお邪魔した。

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1階からE棟行きのエレベーターに乗り7階へ行く。

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Members onlyと書かれているが気にせず入ろう。書いてあるだけだから。

お昼時だったためか、すでに店内は客でいっぱいだった。アジア系じゃない人もちらほらいる。店員は香港人と印僑の人で広東語で話しかけられる。食事は大体80〜150香港ドル(1500円前後)ぐらいである。今回私はチキンカレーを食べた。チャパティー頼んだのに劣化版ナンみたいなのが出てきたので「インド以外でチャパティー頼むのってやっぱり難しい」と思った。



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味は本格的!辛すぎずまろやかでコクもばっちり!また来たときは食べたい。

ということで、カレーも美味しいので興味があれば是非食べて欲しい。



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