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3日目。台北市立美術館でふたたびの「一一重構:楊德昌」。(19回目の台湾旅2023/09)

迪化街をあとにして、YouBikeでふたたび台北市立美術館へ。
「一一重構:楊德昌」に再訪しました。

1996年。クローン羊の「ドリー」が誕生した年に「カップルズ」公開。

この日は金曜日でしたが実は中秋節で台湾は休日。
そのため会場はけっこうな人手だったのですが、10代から20代くらいの若いひとたちがとても多くて、驚くと共に感動しました。
彼の遺作である「ヤンヤン 夏の想い出」は2000年の作品。
その時点で生まれてすらいないひとたちも多いわけで、没後も彼の作品が生き続けている証を見た気がして泣けました。

展覧会の終わりには、張震、濱口竜介、イッセー尾形、岩井俊二、オリヴィエ・アサイヤス、ヴェルナー・ヘルツォーク、トニー・レインズが楊德昌について語るインタビューを上映する部屋があり、今回はゆっくり観ました(濱口竜介以外はみな、生前に親交のあった人たち)。

2024年2月、東京都写真美術館の「恵比寿映像祭」に本展のキュレーターのひとりである孫松榮さんがスピーカーとして来日されて、本展のコンセプトについて話されていました。
要約すると、本展ではテスト撮影時のフッテージなども発掘しインスタレーションを構成したが、エンターテインメント性を求めたのではなく、楊德昌の遺品、文物を再構築することで、彼の創作の精神を表出させた。
また、テキストによる評論ではなく、キュレーションによって楊德昌と言う作家の、まだ見出されていない要素を現出させるという新しい手法を試みた、とおっしゃっていました。
わたしはこの展覧会を体感的な批評行為であると思っていたので、答え合わせのようでとても有意義でした。


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