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読みたいのに読めない本があるときは

連休に長距離ドライブに行くため、紙の地図を買いに行った。
ついでにぶらぶらと店内をめぐる。
最近はAmazonで買ってしまうことが多いので、本屋をぶらつくのは久しぶりなのだ。

マンガの棚をのぞくと、涙腺崩壊マンガの決定版「星守る犬」の村上たかし先生の新作が出ていた。

彼の書く話だ。
どう考えても傑作にちがいなく、控えめに言っても超面白いに決まっている。
けれど、私はどうしてもその本をレジに持っていけなかった。
パラパラめくった中に「死」を連想するコマが見えたからだ。

だめだ、読めない、と思って、そっと棚に戻した。

体の異変は、一か月ほど前から起きている。
原因不明で治療法がない「舌痛症」というものになった。
音が聞こえにくくなり、テレビのボリュームが3つほど上がった。
寝ても寝ても、疲れが取れず頭が重い。
人の顔がますますわからない。

(ちなみに、舌痛症は離島にいた間は全く症状が出なかった)

それを関連付けて考えたことが無かったのだが、本屋の漫画の棚で、大好きな作家の読みたい本を「読めない」と思ったことで、すべてがつながった。

ああ。私そうとうナーバスになってるんだな。

来る日も来る日も、戦争、戦争。
終わる気配もない。
わざわざ「この攻撃で3か月の赤ちゃんが死んだ」などとテロップが流れる。
泣き叫ぶお母さんを大写しにする。

生命力に満ち溢れ、自身が元気な時には、悲しい話はいくらでも読める。
フィクションだし、ノンフィクションでも違う世界の話だし、関係ないし。
でも、今はダメみたいだ。

あの哀しみが、同じ世界で起きてるのを知っていて、悲しいフィクションを楽しめる気がしない。

ごめん、と思いながら、テレビのコンセントを抜いた。
今日からしばらくネットニュースも見ない。
意識して外に行き、新緑と海と空に浸る。
元気を注入して、もう一回向き合うから、少しだけごめんなさい。
ちゃんと戻ってきて、私にできることを考えます。

**連続投稿90日目**

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