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「なぜか大切にされる女性になるマナーと心得56 オトナ女子のふるまい手帖」(髙田将代著)出版記念イベント 『一日限りのフィニッシングスクール』体験レポート

大阪府枚方市にある蔦屋書店T-Siteで開催された、髙田将代さんの出版記念イベントに参加させていただきました。会場はコロナウイルスの感染防止対策に一人一組の使い捨て手袋が用意されているという徹底ぶり。吹き抜けの解放感あふれるカフェスペースに壁一面に見上げるばかりの本がならぶ素敵なところでした。
今回はそのレポートをお届けしたいと思います。

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(枚方T-Site四階カフェスペース)

マナーの真髄とはなんでしょうか?

「マナー」「お作法」「礼儀」「しきたり」…これらの言葉を聞いて、みなさんはどんな気持ちになりますか?
どんな経験を思い出すでしょう?

「いろいろと細かいことにうるさくて、めんどくさそう」
「上流階級の人たちのものという感じで敷居が高い」
「知らないと恥をかくから必要な時だけネットで調べている」
「大人の教養っぽい。身に着けていないとダメな人みたい」

若い世代になるにつれ、ネガティブな印象を持っている人の方が多いように思います。私もかつてはそう思っていました。マナーや礼儀というのを正解が存在する試験のように思っていたのです。「ここではこうふるまうのが正しい」という答えだけたくさん知っていても、そんなことに一体何の意味があるのだろうか? 人間の中身がそんなことで判断できるわけがないのにと思っていました。今思えば、中身も何もない若造が何を言うかと笑ってしまうのですが、若いって本当に怖いです。

当時の私は、マナーというものを「〇」「×」で人をジャッジし、その場にそぐわない者を判別するフィルターだと決めつけて反発していたのでした。

あああ。タイムマシンが欲しい。20代のおバカな私に、この本を読めと言いたい。音読カードを作って、ちゃんと読んだ日にはハンコを押してやりたい。なんなら寝る前に一章ずつ耳元で読み聞かせてやりたい。

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それくらい「オトナ女子のふるまい手帖」はこれからを生きる若い女の子たちの糧になる必読図書だと思うのです。
この本に書かれていることに通底するのは「きちんとふるまうのは相手のため」というマナーの真髄です。つまり、だらしない自分のまま相手の前に立つことは、相手を「だらしなく扱ってもかまわない、私はあなたをその程度の人だと思っている」というメッセージになりかねないというお話なのです。

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「え?! そんなつもりは全然ないんです。私がきっちりできないのは単に私の性格が雑だからであって、あなたのことはとても大好きだし尊敬しています!」こんな言い訳をさせてもらえる関係が作れればまだ挽回のチャンスはありますが、初対面で関係が途切れてしまうことだって十分にありますよね。だって、初めてあった人にあなたの普段の性格がどうかなんてわからないんですもの。わかるのは今日のあなたの様子だけ。

具体的に想像してみましょう。
例えば、あなたが憧れの先輩と初デートの約束を取り付け、二週間も前から楽しみにして服も新調し、美容院にも出向いて、エステも行っちゃいましたという気合とともに臨んだとしましょう。当日、約束の映画館に現れた先輩が上下グレーのスエットで髪は寝ぐせでぼさぼさ、無精ひげも剃ってないありさまだったらどう感じますか? 「それでも好き好き!」と思えたら幸せですが、たいていの場合は「この人、私ほど楽しみにしていたわけじゃないんだな」と感じて張り切った自分が悲しくなりませんか?

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マナーってここなんです。相手をがっかりさせたり悲しくさせたりしないように尊重する気持ちでふるまうことなのです。おしゃれは自分のためならず。丁寧な所作もメイクも人から自分がどう見られるかを気にして磨くのではありません。TPOをわきまえてその場にふさわしくふるまうことで、相手に対する敬意と思いやりを表すために学ぶのです。

……目からうろこがバリバリぽとんでした。おしゃれって自分を喜ばせるために自分の好きな格好をすることだとばかり思っていましたものですから。

そんな私に、本日の講師まーちゃんこと髙田将代先生から開口一番こんなお言葉が。

「最近の風潮として特に、個が大事、自分を主張できることが大切と言われていますよね。もちろんそれは私も大事なことだとは思うのですが、自分が自分がと『我』を出すより、相手を優先する気持ちを当たり前に持っている人の方が、私は美しいと感じます。いつでも相手の立場に立って考えられるって素敵なことだと思いませんか?」

「マナーというのは人をジャッジするためにあるものではありません。相手も自分も心地よく過ごすために、人間関係を良好にし、お互いが幸せに過ごせるようにあるものだと私は思っているんです」

なるほど、ジャッジされていたわけじゃなかったんですね。私が勝手にできないことをジャッジされていると思い込んでいただけだったのか。
まーちゃんは続けます。

「だから、マナー違反を指摘する方がマナー違反なんですよ。だって指摘された方は、恥ずかしいしちゃんとしなきゃって焦っちゃって楽しめないでしょう? 本当に美しいふるまいが身についている人は、そんな時にさりげなくフォローできる人ですよね。誰も不快にせず楽しく最後まで過ごせるように心を配れる人こそ本当に美しい人だと思います。でも、そういうときにフォローできる人でいたいと思ったら、やっぱりマナーの基本は知っておいた方がいいでしょう? だから、マナーは自分がフォーマルな場でジャッジされないために学ぶというよりは、やはり周りの人たちと楽しく過ごせることを大事に考えて学ぶのが正解なんじゃないかと思うんです」

まーちゃんはにっこりと微笑みました。うんうん、学びます! 学ばせてください、先生!

「とはいえ、美しいふるまいが身についていると、自分自身が得をすることもたくさんあるんです。たとえば、こちらにいらっしゃるMCの依子さんは、蔦屋書店のブックコンシェルジュに2000人の応募があった中から選ばれたお一人なんですが、最初の面接のときに面接官に見られていたのは、座って話を聞いていた後姿なんですって。背筋がピンと伸びてまっすぐに話を聞いている姿からは誠意ややる気を感じますよね。美しい姿勢一つでその人の内面まで表すことができるんです。こんなお話を聞くと自分を美しく見せるふるまいを知らないのは、損をしていると思いませんか?」

小柄なまーちゃんが他を圧倒するオーラをまとい凛と立っていると、説得力が倍増、みんなすっかりやる気になっています。先生どうやったら美しく見えますか? 私でも美しく見えますか? 

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姿勢こそ美しいふるまいの基本

 ここからは、二人一組のワークショップで美しい立ち方・座り方をレッスンしました。

「まず、立ち方をお見せしますね。ここは、年齢が出るんですよ。見ていてくださいね」

座っているまーちゃんは、腰を曲げ上半身を前に傾け、いかにも「どっこらしょ」という姿勢で立ち上がりました。

「こういうふうに立ち上がるのと」

今度は、背筋を伸ばして背骨が地面と垂直になるようにキープしたまま、空から一本の糸で引っ張られるようにすっと立ち上がります。

「こういう風に立つのとでは、どちらが美しくきちんとして見えますか? あとの方ですよね。じゃあみなさんもやってみましょうか。足は揃えなくても大丈夫、前後に半歩すらしてバランスを取ってもいいです。そのまま、真上にすっと立ち上がってみてください。座るときも同じです。前かがみにならないで、まっすぐおしりをすとんと落とす感じです。」

ぐらり。そもそも足をそろえて立ち上がるということを普段しないのでバランスをとるのが難しい。
まーちゃんが実演して見せてくれると簡単そうなのに、会場からは「あっ」「きゃっ」という声が聞こえます。

「ふらつきますよね。良い姿勢を保とうとすると筋肉を使うんです。若い方は『これのどこがそんなにつらいの?』っていうお顔をされていらっしゃるんですが、私たちくらいの年齢になると筋力も衰えますから、まっすぐな姿勢の保持がだんだんむつかしくなってきます。この立ったり座ったりを繰り返すだけでも筋肉痛になる方もいらっしゃるくらいなんですよ」

なるほど、筋肉は裏切らないってことですね、先生! 美しさのために筋トレします!
美しく立てるようになったら、今度は美しい座り姿勢の練習です。スマートフォンでペアの方と写真を撮り合ってビフォーアフターの違いを確認します。

「お互いのスマートフォンを交換したら三パターンの写真を撮ってくださいね。まずは、よく見る姿勢ですが、足を椅子の中に引いて座っているところ。膝よりもかかとが後ろに来ている状態です。二つ目は膝の真下にかかとが来るように座ってみてください。そして最後はかかとを膝よりも意識して前に置く。足先をぐっと前に突き出す感じですね。足の甲を自分の顔だと思って相手に向ける意識で前に出してみてください。撮影が終わったら、スマートフォンを元に戻してどう見えるかをご覧になってね」

まーちゃんの言うとおりに三つのパターンで撮影した写真がこちらです。

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なんということでしょう。あくまで比較の問題ではありますが、私の太短い足でもかかとの置き場所によって三倍くらい細長く見えているではないですか! 早速、今日の帰りの電車の中から実践できるスキルです。

周りの皆さんも「きれい!」「全然違うわ」とおっしゃりながらスマートフォンの画面に見入っています。
たったこれだけのことなのに。

「女の人は美しい自分を知っていると自信が持てますよね。ふるまい一つでいくらでも美しさを磨けるのですから、気づいたときに少しずつでいいので自分のふるまいをチェックしてみてはいかがでしょうか。最初から全部はできなくて当たり前です。思い出した時に姿勢を正す。信号待ちの間やテレビを見ているときなど、ふとした時に気づいて正す。その積み重ねが歳を重ねても美しい自分を作ると思うんです。そうして、ふるまいに気を付けているといつの間にか心も整ってくるんですね」

見事なまでの説得力!
なるほど、心も見た目も美しく整えられるオトナ女子の最強の武器が「ふるまい」なんですね。

フィニッシングスクールを終えて、すっかりその気になった私は帰りの電車の車内でもずっと「足の甲は顔とおなじ」と心の中で唱えながら2時間良い姿勢をキープし続け、おしりと背中が筋肉痛という状態でこの原稿を書いています。

美は一日にしてならず。目指せエレガンス。
半年後の私を見ていたまえよ、ふっふっふ。(←この意識がすでにマナー違反な気が。笑)

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(最後の写真はまーちゃんの出版のきっかけを作ってくださった、ブックオリティ株式会社の、レジェンド編集者タカトモさんこと高橋朋宏さんと、その時のまーちゃんのメンター平城好誠さんです。)

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はんだあゆみ
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。