ウニとウミウシ
離島の旅から戻って2日目、まだ社会復帰後のペースが掴めずにいる。
具体的に言うと、仕事を始めると眠くなる。
なんて素直な体なのかと思う。
それで昨日は、仕事にならないなら遊びに行こうと切り替えて、ホームグラウンドの海に行った。
敦賀から越前方面に海沿いを北上したところにある、杉津(すいづ)という集落だ。
昨年仲良くなったおじさんたちが、
「春先にワカメの芽が出てくると、それを食べにウミウシが出てくる」
と教えてくれたので、そろそろかなと見に行ったのである。
結論から言うと、ウミウシは見当たらず、ウニとヒトデだけ見つけた。
陸からはこれくらいの探索が限界なのだろう。
ちゃんと探そうと思ったら、潜らなくてはならない。
流石に水温13〜4度の北陸の海には、私の2ミリのウエットスーツではもぐれる気がしない。
もう少し暖かくなるまで待つしかない。
それにしてもいつも思うのだが、このトゲだらけのウニは、どうして誰も取らないのだろう?
少し潜ればわんさかいる。
陸からでも見つけられる。
調べてみると、このトゲトゲのムラサキウニは、海藻類を根こそぎ食べてしまう嫌われ者らしい。
ムラサキウニが大繁殖すると磯焼けと言われる、荒れた砂漠のような海を作り出すのだそうだ。
だったらそうなる前に取って食べちゃえばいいのに、と思うのだけれど、手が回らないのかなんなのか、敦賀近辺ではどこの海岸にも山ほどいる。
おじさんたちに聞くと、磯焼けした海にいるムラサキウニは、ロクなものを食べてないので、中身がスカスカなのだそうだ。
スカスカなくせに、繁殖力だけは旺盛なので、採っても食べるところのない(=売れない)トゲトゲの群れだけが海に残り、困っているのに手の施しようがないのだという。
調べてみると、神奈川県の三浦市でも、同じようにムラサキウニによる磯焼けに困り、なんとかできないかと対策を考えて、市の特産品であるキャベツを食べさせて養殖を進めてきたのだそうだ。
工夫の天才はどこにでもいる。
キャベツウニは、今では三浦の特産品だ。
敦賀にもキャベツに変わる何かがあれば、この嫌われ者のウニを売り物に変えられるのになぁ。
ムラサキウニは、もともと雑食らしいので、クズ野菜でもパクパク食べてくれるのだろう。
ムラサキウニを集めて養殖に回し、自然界での数を減らせれば、海藻の森も回復し、ウミウシたちも、きっともっと姿を見せてくれるはず。
でも、ムラサキウニが減れば、今度はウミウシが、海藻を食べてしまう悪いヤツになってしまうのだろうな。
今だって、ワカメの芽を食べちゃう悪者扱いだったし。
生き物の世界は難しい。
**連続投稿80日目**